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20.ジェイドの屈辱
「くそっ、ここはエバーガーデニア王国・・・いや、それ以上ではないかっ!!?」
衛兵の前で悪態を付くジェイド。
誰も何とも言えなかった。
「あの裏切者め・・・」
「お待たせしました」
憤怒のジェイドとは対照的に穏やかな顔をしたマハラジャがやってきた。元から気質が変わらない二人だけれど、今はまるで二人の王子の立ち振る舞いはそれぞれの国の豊かさを表しているようだった。
「客人を待たせるとは良い身分だな、盗人?」
ジェイドの言葉はマハラジャに対して言った言葉であったけれど、弱い者に強く当たるのが身に沁みついていたジェイドはマハラジャではなく、後ろにいたミシェルを睨んだ。けれど、ミシェルはジェイドが睨んでも微動だにしなかった。違和感を覚えたジェイドが逆にたじろぐ。それ以上、ミシェルを見ていられなかったジェイドはマハラジャに目線を移す。
「おい、勝手にこいつを連れて行ったんだ。この前言った5倍の払え」
そう言って、右手を広げて見せるジェイドに困った顔をするマハラジャ。しかし、ジェイドにはどことなく余裕があるマハラジャの顔に腹が立った。
「やっぱり、10倍だ」
そう言って両手を広げて見せるジェイド。最初にマハラジャに言った額もあり得ない額であり、5倍であれば国が傾くどころの騒ぎでなく、10倍などこの世に払える国は存在しなかった。そのような子どもっぽいセリフを本気で言うジェイドは世間知らずな王子では済まされなかった。
「私は貴方に言われてエバーガーデニア王国を離れ、自らこの国に来ました」
ミシェルが一歩前に出る。
「なっ」
ジェイドは聞かれもしないのに自らミシェルが毅然と喋ったのを初めて見たので、さらにたじろぐ。
「王家は乞わないのでしょ? ジェイド」
その言葉はジェイドがミシェルに婚約破棄した時に吐いたセリフ。
ミシェルの心に突き刺さっていた錆びた楔。乞うたのであれば、それは王子と呼ぶことも、様呼びもいらない。
「ぐぬぬぬぬっ」
(この子娘がああっ)
うじうじしているだけのミシェルが、これ見よがしに自分へ敵意を向けているのが無性に腹立たしかったジェイド。ジェイドは剣の柄に手をかける。
「うっ・・・」
しかし、ガラハラ王国の衛兵がそれに気が付かない。一瞬で衛兵たちが動き出し、一人がいつでもマハラジャとミシェルの盾になれる位置へ、一人が、いつでもジェイドの首を飛ばせる位置へ動く。ジェイドも丸腰で訪れたわけではなく、付いてきた衛兵はいたけれど、怖気づくしかできなかった。それを見て、ジェイドもさすがに分が悪いと判断し、それ以上動かなかったけれど、悔しさのあまり、剣の柄を握った手が充血し、震えていた。
衛兵の前で悪態を付くジェイド。
誰も何とも言えなかった。
「あの裏切者め・・・」
「お待たせしました」
憤怒のジェイドとは対照的に穏やかな顔をしたマハラジャがやってきた。元から気質が変わらない二人だけれど、今はまるで二人の王子の立ち振る舞いはそれぞれの国の豊かさを表しているようだった。
「客人を待たせるとは良い身分だな、盗人?」
ジェイドの言葉はマハラジャに対して言った言葉であったけれど、弱い者に強く当たるのが身に沁みついていたジェイドはマハラジャではなく、後ろにいたミシェルを睨んだ。けれど、ミシェルはジェイドが睨んでも微動だにしなかった。違和感を覚えたジェイドが逆にたじろぐ。それ以上、ミシェルを見ていられなかったジェイドはマハラジャに目線を移す。
「おい、勝手にこいつを連れて行ったんだ。この前言った5倍の払え」
そう言って、右手を広げて見せるジェイドに困った顔をするマハラジャ。しかし、ジェイドにはどことなく余裕があるマハラジャの顔に腹が立った。
「やっぱり、10倍だ」
そう言って両手を広げて見せるジェイド。最初にマハラジャに言った額もあり得ない額であり、5倍であれば国が傾くどころの騒ぎでなく、10倍などこの世に払える国は存在しなかった。そのような子どもっぽいセリフを本気で言うジェイドは世間知らずな王子では済まされなかった。
「私は貴方に言われてエバーガーデニア王国を離れ、自らこの国に来ました」
ミシェルが一歩前に出る。
「なっ」
ジェイドは聞かれもしないのに自らミシェルが毅然と喋ったのを初めて見たので、さらにたじろぐ。
「王家は乞わないのでしょ? ジェイド」
その言葉はジェイドがミシェルに婚約破棄した時に吐いたセリフ。
ミシェルの心に突き刺さっていた錆びた楔。乞うたのであれば、それは王子と呼ぶことも、様呼びもいらない。
「ぐぬぬぬぬっ」
(この子娘がああっ)
うじうじしているだけのミシェルが、これ見よがしに自分へ敵意を向けているのが無性に腹立たしかったジェイド。ジェイドは剣の柄に手をかける。
「うっ・・・」
しかし、ガラハラ王国の衛兵がそれに気が付かない。一瞬で衛兵たちが動き出し、一人がいつでもマハラジャとミシェルの盾になれる位置へ、一人が、いつでもジェイドの首を飛ばせる位置へ動く。ジェイドも丸腰で訪れたわけではなく、付いてきた衛兵はいたけれど、怖気づくしかできなかった。それを見て、ジェイドもさすがに分が悪いと判断し、それ以上動かなかったけれど、悔しさのあまり、剣の柄を握った手が充血し、震えていた。
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