呪いのネックレスの効力は絶大でしたけれど、結婚前夜に妬んだ妹が奪ってくれたので婚約破棄します。

西東友一

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 私はシャルル王子と一緒の部屋で寝る。

 そう発言した本人である私、そして相手であるシャルル王子が赤面しているのに対して、ロベルトとジャーネットは面白くない顔をしていた。

「クロエの部屋はベッドが一つしかないだろうが。こんな夜中に別の部屋を用意するなんて、ありえないぞ」

 ロベルトは、ジャーネットの肩に添えていた手を離し、腕を組みながら眉間にしわを寄せて私に言ってきた。

「いいです、今の部屋で構いません」

「「なっ」」

 意外にもロベルトとシャルル王子が同時に言った。

「あっ、ご安心ください、シャルル王子。私は、椅子で寝ますので」

「そんな、レディーにそんなことができるはずがない。いいよ、ボクが椅子で寝るから」

「いえいえどうぞどうぞ」

「いやいやどうぞどうぞ」

 私とシャルル王子がお互いベッドを譲り合う。

「おんや? 夫婦なら当然ベッドは狭くとも二人で寝るものではないのか? それに呼び方も王子と敬称を付ける妻がどこにいるんだろうな、クロエ」

 そんな姿を見て、ロベルトが意地悪な言い方をしてきた。

「わっ、私が寝相が悪いからよっ。でも、そうね一緒で言いかしらね、アナタ」

「うっ、うんそうだね。ク、クロエ」

 ぎこちないながらも私たちは瞬時に夫婦を演じた。

「ふんっ、まあいい。こんな茶番も今日までだ。明日になれば・・・・・・」

 私たちを馬鹿にしたような鼻で笑ったロベルトは何かを想像して、今度は悪だくみをしている顔をし、ジャーネットに「いくぞ」と言って、彼女と一緒に暗闇に消えていった。

 それから、私とシャルル王子は使用人たちと一緒に私の寝室へと向かった。使用人たちと別れ際に、使用人の話に耳を傾けると、寝室の扉の向こう側に二人見張りに立つと話をしていた。

 聞き耳を恥ずかしいから立てないでくださいね、なんて言った方がいいのか悩んだけど、邪推されそうだと思ったのでやめた。

「ここです」

 ロベルトの屋敷の一室だから、別にここで暮らしていたわけではないし、がっつり私の部屋というわけでもないのだけれど、シャルル王子を招き入れるのはなんだか恥ずかしかった。

「へぇ・・・」

 シャルル王子が部屋を見渡して漏らした声が私の羞恥心を再び刺激する。

「あっ、これは違うんです」

 ベッドの掛け布団が半分くらい床に落ちている。きっと、記憶を思い出した時、苦痛でもがいて落としてしまったのだろう。色んな負の感情が一気に押し寄せて、ロベルトに一言言わなければ身体も心も割れてしまいそうだったと言え、淑女として恥ずかしい限りだ。

(そう、淑女としてよ・・・)

 社交の場で粗相をしてしまうことだってあるけれど、そういう時は仕事と割り振って感情的にならず、動揺しない私。

 なのになぜ、今はこんなにドギマギしてしまうのだろうか?
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