【完結】癒しの歌が鬱陶しいから処刑するって言われちゃいました。なので、国外に逃げてみようと思います。

西東友一

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「ごくごくごくっ・・・」

「ばくばくばくばくっ。むぐっ・・・ゴクゴクゴクッ」

 謙虚に飲み物を飲むアーニャと手辺り次第ごはんと飲み物を貪るルーカス。
 二人は、とてもきれいな宮殿の中で食事をとっていた。

「まぁ、慌てずに。料理はたくさんあるのだから」

 とても心優しそうな国王様が微笑みながら、二人を見る。
 そう、ここはルマンド王国ではない。
 隣国にあるユーロピア王国だ。

 隣国と言っても、森を超え山を越え、砂漠を超えないと辿り着かないその土地はルマンド王国から侵略することは到底不可能だったため、とても平和な国だった。

「ありがとうございます、国王様」

「おお、ようやく喋れるようになりましたな。アーニャ殿。いや、ルーカス殿がおっしゃる通り、声だけでもとても美しい」

 過酷な旅。
 ルーカスは兵士で鍛えていたこともあり、多少は平気だったけれど、アーニャは国から一度も出たことがない歌姫。過酷な環境で声が擦れ、美しい声が失われていた。けれど、ユーロピア王国に着き、国王から美味しい水を頂戴したことで、ようやく元通りの声を出すことができたのだ。

 アーニャは安心するとともに、国王がベタ褒めするので、赤面した。

「私ができることはただ一つです、国王様。歌ってもよろしいでしょうか?」

「おおっ、ぜひとも、ぜひとも」

 コンコンッ

 扉をノックする音が聞こえた。

「誰じゃ」

「ボクです」

 ルーカスは食べ物を口に含んだままフリーズさせ、アーニャもアーニャでフリーズして、顔を見合わせる。

「あぁ、安心してくだされ。わしの息子じゃ・・・よし、入れ」

 ガチャッ

 扉が開いて、青年が部屋へと入ってくる。

「お食事のところすいま・・・」

 王子が顔を上げると、アーニャがおり、そのアーニャの姿に魂でも奪われたように王子も固まってしまった。

「ごっくん、そんなに見られると・・・照れちまうぜ」

 勘違いしたルーカスがアーニャの代わりに反応するけれど、アーニャもアーニャで王子様を見て、動けなくなっていた。

「こほん、それで、レオよ。どうした?」

「はっ、すいません。父上。ルマンド王国がこちらに向かっているとのことです」

「なんとっ!?」

 アーニャと国王とルーカスは互いに顔を見合わせるけれど、三人とも驚いた顔をしていた。

「連戦連勝のルマンド王国はニア王国、テラスタ共和国を攻め落とし、その勢いのままこちらの国へと向かっているそうです」

「なんと・・・」

 ユーロピア王国だって全てが自然に囲まれているわけではない。
 整備された道がある隣国ニア王国とは交易が盛んで、ニア王国はテラスタ共和国とも仲が良く道が整備されている。つまり、ルマンド王国は遠回りをして、ユーロピア王国に攻めていこうとしているのだった。

「うーん、困った」

「困りましたね・・・」

 頭を抱える国王。
 腕を組んで眉間にしわを寄せるレオこと、レオナルド王子。

「困ったぜ」

(((お前が言うなっ)))

 全然困って無さそうにルーカスが食べながら言うので、他の3人は心の中で突っ込んでいた。
 
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