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「どうかな?」
私はお盆を胸に抱えながら、婚約者のカケルが食べているのを見守る。
今日の料理は、ご飯とみそ汁とハンバーグ。ハンバーグのお皿には彩りと栄養を考えて、ニンジンとジャガイモ、インゲンを乗せて、味に厳しい彼に認められようと、ソースは自家製の自信作を使用した。
「んっ」
彼は私の質問に答えないまま、みそ汁の次はハンバーグに箸を伸ばす。
「そのソース…結構頑張ってみたんだ」
カケルがハンバーグに箸を入れると、肉汁がぶわっと出てきた。
(良かったぁ)
色々な本などを見て、焼き加減などにこだわってみたが、上手く行ったみたいだ。
私は感想を楽しみにしながら、左右に揺れてみる。
しかし、カケルは険しい顔をしながら、ニンジンやジャガイモ、そして、ご飯を口に入れる。
「ねぇってば、どーなのよ?」
私は彼を揺らして、評価を促す。
「10点」
「えーっほんとにっ!!」
私がお盆を離して、両手で万歳してそのままハイタッチしようとすると、カケルは箸を置いて、冷めた目で私を見る。
「100点満点中な」
「えっ…」
私は急に肩が重くなって、両手を下げる。
「全然わかってないな、ユリは。みそ汁の出汁はちゃんと取ってない、みそ汁にジャガイモを入れているのに、ハンバーグのお皿にもジャガイモが乗っている。そして、大きさはまばら。同時進行で作ったんだろうが、みそ汁のジャガイモは火の通り加減が雑…はぁ…」
料理を作ったらため息をつかれてしまった。
その上、おでこをごしごししている、ちょっと汚ったらしくて、ムカツク。
それに喜んでくれるかなとわくわくしながら作っていた料理の時間がばかばかしく感じて、とても徒労で無駄な時間だったと思うように鳴り、疲れがどっと出た。
「で、でも…ハンバーグは完璧でしょっ!?」
確かに手を抜いたところもあった。
でも、仕事から帰って来て、買い物して料理すれば、出汁なんか取っている時間はなかったし、一極集中のメインディッシュに力を注いだのだから、それで100点満点中10点は…。
「ソースの掛け方が雑。料理は見た目からだ」
カケルは右手をピースのような形にして、人差し指と中指で、自分の両目を指さす。「ここだぞ、わかるかっ?おん?」と煽られている感じがしてとても不愉快だ。
「それに俺んちの台所の調味料が目にはいなかったのか?味付けが素人だ」
そう、ここはカケルのアパートの部屋。
フレンチの料理人として働いている彼はキッチンで部屋を選んだと言っており、たいそう立派なキッチンと、とてもたくさんの調味料が置いてあった。普通のOLの私にはあり過ぎて全くわからないし、聞いたことがない調味料もあり過ぎた。なんなら、どこの国の言葉で書いてあるのかわからない瓶もたくさんあった。
それを素人の私が使えこなせというのは、ちょっと横暴だ。
「だって…」
「料理にだってはない。食べる人の感想が全てだ」
そう言って、立ち上がるカケル。
「えっ、ちょっと…」
私は引き留めようとするが、
「外で食べてくる。食器、片づけとけよ。あと、この前作った肉じゃが。我慢して食べたけど、捨てていいから。あと、お前ラップすらちゃんとできねえのかよ」
そんなひどい捨て台詞まで吐いてカケルは部屋から出ていった。
私はお盆を胸に抱えながら、婚約者のカケルが食べているのを見守る。
今日の料理は、ご飯とみそ汁とハンバーグ。ハンバーグのお皿には彩りと栄養を考えて、ニンジンとジャガイモ、インゲンを乗せて、味に厳しい彼に認められようと、ソースは自家製の自信作を使用した。
「んっ」
彼は私の質問に答えないまま、みそ汁の次はハンバーグに箸を伸ばす。
「そのソース…結構頑張ってみたんだ」
カケルがハンバーグに箸を入れると、肉汁がぶわっと出てきた。
(良かったぁ)
色々な本などを見て、焼き加減などにこだわってみたが、上手く行ったみたいだ。
私は感想を楽しみにしながら、左右に揺れてみる。
しかし、カケルは険しい顔をしながら、ニンジンやジャガイモ、そして、ご飯を口に入れる。
「ねぇってば、どーなのよ?」
私は彼を揺らして、評価を促す。
「10点」
「えーっほんとにっ!!」
私がお盆を離して、両手で万歳してそのままハイタッチしようとすると、カケルは箸を置いて、冷めた目で私を見る。
「100点満点中な」
「えっ…」
私は急に肩が重くなって、両手を下げる。
「全然わかってないな、ユリは。みそ汁の出汁はちゃんと取ってない、みそ汁にジャガイモを入れているのに、ハンバーグのお皿にもジャガイモが乗っている。そして、大きさはまばら。同時進行で作ったんだろうが、みそ汁のジャガイモは火の通り加減が雑…はぁ…」
料理を作ったらため息をつかれてしまった。
その上、おでこをごしごししている、ちょっと汚ったらしくて、ムカツク。
それに喜んでくれるかなとわくわくしながら作っていた料理の時間がばかばかしく感じて、とても徒労で無駄な時間だったと思うように鳴り、疲れがどっと出た。
「で、でも…ハンバーグは完璧でしょっ!?」
確かに手を抜いたところもあった。
でも、仕事から帰って来て、買い物して料理すれば、出汁なんか取っている時間はなかったし、一極集中のメインディッシュに力を注いだのだから、それで100点満点中10点は…。
「ソースの掛け方が雑。料理は見た目からだ」
カケルは右手をピースのような形にして、人差し指と中指で、自分の両目を指さす。「ここだぞ、わかるかっ?おん?」と煽られている感じがしてとても不愉快だ。
「それに俺んちの台所の調味料が目にはいなかったのか?味付けが素人だ」
そう、ここはカケルのアパートの部屋。
フレンチの料理人として働いている彼はキッチンで部屋を選んだと言っており、たいそう立派なキッチンと、とてもたくさんの調味料が置いてあった。普通のOLの私にはあり過ぎて全くわからないし、聞いたことがない調味料もあり過ぎた。なんなら、どこの国の言葉で書いてあるのかわからない瓶もたくさんあった。
それを素人の私が使えこなせというのは、ちょっと横暴だ。
「だって…」
「料理にだってはない。食べる人の感想が全てだ」
そう言って、立ち上がるカケル。
「えっ、ちょっと…」
私は引き留めようとするが、
「外で食べてくる。食器、片づけとけよ。あと、この前作った肉じゃが。我慢して食べたけど、捨てていいから。あと、お前ラップすらちゃんとできねえのかよ」
そんなひどい捨て台詞まで吐いてカケルは部屋から出ていった。
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