5 / 17
5
しおりを挟む
「はぁ…」
私が睨みっぱなしでいると、カケルが再びため息をついた。
「あのな、そういう意地汚いところが嫌いなんだよ」
(はあああああっ!?)
「俺はラフランチェスカで働く料理人だぞ?そんな端金で…。それに失敗作はちゃんと捨てろって言ってるのに食べてよぉ、舌が馬鹿舌になるわ、太るわ、家畜になっちまうぞっ」
「きゃははははっ」
大爆笑する女。
この女はわかっていない。確かにこの男の働くラフランチェスカは一流フレンチ料理屋だ。けれど、カケルはまだまだ駆け出し中の見習い雑用係だ。夢は大きいのはまぁ、素敵なことだが、一流を気取って、家では全く料理も作らないし、言う割にはまだ全然大したことがないのだ。
私も騙された時期があったけれど、それでも自分が家事をして、舵を切れば、きっとうまく行けると思ってここまできたけれど…。
(これだから、イケメンはっ)
多分カケルはイケメンでそれなりにある程度のことができたから、人から物を言われることがなかったのだろう。先輩の料理人から八つ当たりされたとか私に話をしてくれた時に、アドバイスじゃない?と伝えても嫌な顔をするだけだった。
そんなカケルがそれでもなんとかその場所に入れるのは、一人とても優秀で優しい先輩がいたからだ。名前は忘れてしまったけれど、カケルよりも大人っぽくて優しいオーラがある人だった。駄犬も優秀な人を嗅ぎつける嗅覚だけはあるようで、その人の言うことはよく聞いたらしく、その人が教えた部分はラフランチェスカでも後れを取っていないらしい。
うん、その人もイケメンだった気がするし、私にもよくしてくれた。私はカケルと付き合ったばかりの時期だったから、この目の前のバカのように浮気心は全くなかったので、忘れてしまったけれど、その人がいる時にはカケルはデートでフランチェスカによく連れて行ってくれた。ただ、独立したらしく、その人が居なくなったら、連れて行ってくれることもなくなってしまったし、カケルはダメダメに磨きがかかっている様子なのだけれど…。
「その点、レイカの方がわかっているな…どうだ、俺と結婚してみるか?」
(はっ?)
「えー、ほんとー、するするっ!!」
ぴょんぴょん跳ねるレイカ。
(いやいやいや、目の前に婚約者が居て、そして、プロポーズ…?おいおい、そんなの一夫多妻制の国でもびっくりよ)
「おっ、マジか。やったね。レイカは優しそうだし、嬉しいぜ」
「うん、優しいよーっ、料理も得意だよーーーっ」
「おっ、何が得意だ」
「目玉焼きぃーーっ」
「そうか、そうかすごいすごい」
レイカの頭を撫でるカケル。
先に婚約していたはずの私がなぜだか、蚊帳の外だった。
私が睨みっぱなしでいると、カケルが再びため息をついた。
「あのな、そういう意地汚いところが嫌いなんだよ」
(はあああああっ!?)
「俺はラフランチェスカで働く料理人だぞ?そんな端金で…。それに失敗作はちゃんと捨てろって言ってるのに食べてよぉ、舌が馬鹿舌になるわ、太るわ、家畜になっちまうぞっ」
「きゃははははっ」
大爆笑する女。
この女はわかっていない。確かにこの男の働くラフランチェスカは一流フレンチ料理屋だ。けれど、カケルはまだまだ駆け出し中の見習い雑用係だ。夢は大きいのはまぁ、素敵なことだが、一流を気取って、家では全く料理も作らないし、言う割にはまだ全然大したことがないのだ。
私も騙された時期があったけれど、それでも自分が家事をして、舵を切れば、きっとうまく行けると思ってここまできたけれど…。
(これだから、イケメンはっ)
多分カケルはイケメンでそれなりにある程度のことができたから、人から物を言われることがなかったのだろう。先輩の料理人から八つ当たりされたとか私に話をしてくれた時に、アドバイスじゃない?と伝えても嫌な顔をするだけだった。
そんなカケルがそれでもなんとかその場所に入れるのは、一人とても優秀で優しい先輩がいたからだ。名前は忘れてしまったけれど、カケルよりも大人っぽくて優しいオーラがある人だった。駄犬も優秀な人を嗅ぎつける嗅覚だけはあるようで、その人の言うことはよく聞いたらしく、その人が教えた部分はラフランチェスカでも後れを取っていないらしい。
うん、その人もイケメンだった気がするし、私にもよくしてくれた。私はカケルと付き合ったばかりの時期だったから、この目の前のバカのように浮気心は全くなかったので、忘れてしまったけれど、その人がいる時にはカケルはデートでフランチェスカによく連れて行ってくれた。ただ、独立したらしく、その人が居なくなったら、連れて行ってくれることもなくなってしまったし、カケルはダメダメに磨きがかかっている様子なのだけれど…。
「その点、レイカの方がわかっているな…どうだ、俺と結婚してみるか?」
(はっ?)
「えー、ほんとー、するするっ!!」
ぴょんぴょん跳ねるレイカ。
(いやいやいや、目の前に婚約者が居て、そして、プロポーズ…?おいおい、そんなの一夫多妻制の国でもびっくりよ)
「おっ、マジか。やったね。レイカは優しそうだし、嬉しいぜ」
「うん、優しいよーっ、料理も得意だよーーーっ」
「おっ、何が得意だ」
「目玉焼きぃーーっ」
「そうか、そうかすごいすごい」
レイカの頭を撫でるカケル。
先に婚約していたはずの私がなぜだか、蚊帳の外だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
【SS更新】付き合ってもいないのに、幼なじみの佐藤がプロポーズしてきた(本編完結済)
ぽぽよ
恋愛
「俺らさ、結婚しない?」
三十二歳、独身同士。
幼なじみの佐藤が、たこ焼きパーティの最中に突然言い出した。
付き合ってもないのに。
夢見てた甘いプロポーズじゃないけれど、佐藤となら居心地いいし、給料もあるし、嫁姑問題もないし、性格も知ってる。
断る理由が、ない。
こうして、交際0日で結婚することが決まった。
「とりあえず同棲すっか」
軽いノリで決まってゆく未来。
ゆるっとだらっと流れていく物語。
※本編は全7話。
※本編完結後、ゆるいSS投稿予定。
※サイドストーリー(切なめ)投稿予定。
※スパダリは一人もいません笑
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる