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「そこ左です」
「OK」
私は助手席からミナトさんに指示を出す。
すると、左ハンドルのミナトさんが滑らかにカーブしていく。
とても、座り心地のいい椅子。
「ねぇ、ミナトさん」
「ん、なんだい?ユリさん」
「この助手席に何人女の人を乗せたんですか?」
「あははは……っ」
ミナトさんは嘘はつかないようだけれど、苦笑いをするタイプらしい。
夜の明かりで明暗を繰り返す、ミナトさんの横顔はさっきよりも大人っぽくて、素敵だと思った。
「大人の男性ってずるいですよね。そうやって笑ってごまかすんだから」
「大人の男性がずるいかどうかはわからないけれど、僕はずるい男だよ」
意外だった。
誠実そうに見えるのに、自分のことをずるいだなんて言うとは思わなかった。
「どう…ずるいんですか?」
「聞きたい?」
「ええ」
「………君たちが分かれたと聞いて、喜んでしまった」
先ほどまでは話すときに私に時々視線を向けていたミナトさんは全然こちらに視線を向けてくれなかった。
「あいつに来たんだ、それで舞い上がってしまった。そして、キミの傷ついた心の隙間に入り込もうとした。ずるいだろ?」
ちょっと、自己嫌悪した顔をする。
「そんなことは・・・」
「でも、……好きなんだ。この気持ちには嘘偽りはないよ」
少し頬を赤らめるミナトさん。
私たちはそれから私の家の前に着くまで最低限の言葉しか喋らなかった。
「じゃあ、ここで」
「うん」
ニコっと笑うミナトさん。
その顔は答えを求めていなかった。
だから、私もほっとして、
「ありがとうございました」
笑顔で返事ができた。
車の扉を閉めて、私は歩き出す。
(これでいいのだろうか)
足が前に出なくなる。
これじゃあ、いけない。
なにが?
どこに?
前に、だ。
私は引き返すと、ミナトさんが助手席の窓を開ける。
「ねぇ、私の家でお茶でも飲んでいきませんか?」
「えっ・・・いいのかい?」
やっぱり嘘だった。
だって、ミナトさんは頬を赤らめ、少年のように綺麗な期待した目をしていたから。あぁ、変な意味の期待じゃなく、ね。そう、自分の作品が賞に選ばれた子どものような感じ。
「ええ、もちろん。やっぱり、このままじゃ後味悪いので」
私の言い方に苦笑いするミナトさん。
「じゃあ、パーキングに車を置いてくるね」
そう言って、ミナトさんが車を走らせて、10分ぐらいすると、コンビニの袋を持ってやってきた。
「何買ってきたんですか?」
私は一緒に歩きながら、覗こうとするとお菓子っぽいものが見えたけど、中身はよく見えない。
「秘密だよ」
「えっ・・・まさか・・・」
私が顔を赤らめると、ミナトさんも顔を赤らめた。
「OK」
私は助手席からミナトさんに指示を出す。
すると、左ハンドルのミナトさんが滑らかにカーブしていく。
とても、座り心地のいい椅子。
「ねぇ、ミナトさん」
「ん、なんだい?ユリさん」
「この助手席に何人女の人を乗せたんですか?」
「あははは……っ」
ミナトさんは嘘はつかないようだけれど、苦笑いをするタイプらしい。
夜の明かりで明暗を繰り返す、ミナトさんの横顔はさっきよりも大人っぽくて、素敵だと思った。
「大人の男性ってずるいですよね。そうやって笑ってごまかすんだから」
「大人の男性がずるいかどうかはわからないけれど、僕はずるい男だよ」
意外だった。
誠実そうに見えるのに、自分のことをずるいだなんて言うとは思わなかった。
「どう…ずるいんですか?」
「聞きたい?」
「ええ」
「………君たちが分かれたと聞いて、喜んでしまった」
先ほどまでは話すときに私に時々視線を向けていたミナトさんは全然こちらに視線を向けてくれなかった。
「あいつに来たんだ、それで舞い上がってしまった。そして、キミの傷ついた心の隙間に入り込もうとした。ずるいだろ?」
ちょっと、自己嫌悪した顔をする。
「そんなことは・・・」
「でも、……好きなんだ。この気持ちには嘘偽りはないよ」
少し頬を赤らめるミナトさん。
私たちはそれから私の家の前に着くまで最低限の言葉しか喋らなかった。
「じゃあ、ここで」
「うん」
ニコっと笑うミナトさん。
その顔は答えを求めていなかった。
だから、私もほっとして、
「ありがとうございました」
笑顔で返事ができた。
車の扉を閉めて、私は歩き出す。
(これでいいのだろうか)
足が前に出なくなる。
これじゃあ、いけない。
なにが?
どこに?
前に、だ。
私は引き返すと、ミナトさんが助手席の窓を開ける。
「ねぇ、私の家でお茶でも飲んでいきませんか?」
「えっ・・・いいのかい?」
やっぱり嘘だった。
だって、ミナトさんは頬を赤らめ、少年のように綺麗な期待した目をしていたから。あぁ、変な意味の期待じゃなく、ね。そう、自分の作品が賞に選ばれた子どものような感じ。
「ええ、もちろん。やっぱり、このままじゃ後味悪いので」
私の言い方に苦笑いするミナトさん。
「じゃあ、パーキングに車を置いてくるね」
そう言って、ミナトさんが車を走らせて、10分ぐらいすると、コンビニの袋を持ってやってきた。
「何買ってきたんですか?」
私は一緒に歩きながら、覗こうとするとお菓子っぽいものが見えたけど、中身はよく見えない。
「秘密だよ」
「えっ・・・まさか・・・」
私が顔を赤らめると、ミナトさんも顔を赤らめた。
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