料理が下手だから婚約破棄ですか…。じゃあ、慰謝料で美味しい物でも食べに行こうと思ったら…そうなっちゃいますか(笑)

西東友一

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「あっ、そうだ。僕、車で来ているから、送るよ…あれっ」

 ジト目で私はミナトさんを見る。
 いや、別に私が恋愛脳なのがいけないのかもしれない。
 とは言え、電話をかけたら、名前を当てられて、嬉しそうに店前でお出迎えしてくれて、料理もご馳走してくれて、連絡先を交換してほしいと言われれば、ちょっとそう言う目で見られているのではないかと思うのも仕方ないじゃないかと思う。

「いいです。用事は済んだのであればこれで…」

「あの、好きですっ!!付き合ってくださいっ!!」

 ミナトさんは顔を赤らめながら、急に告白してきた。
 無防備だった私のハートは傷だらけだったはず。
 だけど、いつの間にか綺麗になっていて、ときめいてしまう。
 
 もう、アオハルなんて言葉のブームが去ったように、私たちも青春をするような歳は去った。
 こんな風に白いお洋服を着飾って、化粧をして綺麗になり、あの頃のように馬鹿みたいに大声で笑って、友達同士で抱き合って泣いたり、飛び跳ねたりしている私じゃないし、周りもみんな肩書きを背負っている。

 ミナトさんの言い方はヘタレな言い方だったと思う。
 ギャップと言えば、聞こえはいいけれど、大人っぽい部分と、青年っぽい部分がちぐはぐしている。
 でも、その青年っぽさが、作りやすさよりも見栄えの良さを優先した一皿を創れるのかもしれない。

 私と言えば、OLだからだろうか。
 人付き合いがベースとして、社会生活を送って来たから、よくも悪くも性格が丸くなったし、効率重視で自由な発想なんて求められる機会はほとんどなく、子どもっぽさは心の奥へ奥へと手が届かない所へと隠されてしまった。

 でも、ミナトさんのだからこそかもしれない。
 ミナトさんのそのシンプルな言葉は社会人として身に着けた色々なものをすり抜けて、私の心に響いた。

「ごめんなさいっ!!」

 ただ、嬉しすぎて、これが嘘だったら私のハートは完全崩壊を起こす。私の心の中の老婆心のような年老いた私が「簡単に男を信用したらならん」と囁いてきて、私はそれに従った。

「あはは……っ。そうだよね……っ」

 ミナトさんは苦笑いをしていた。けれど、とても切ない顔をしていてその寂しさを私が埋めたいと思った。やはり、私はアプローチされるよりもそうやって、一歩引かれると追いたくなる傾向があるみたいだ。
 すると、心の中に若者の私が現れて、「彼にこの身を預けるんだっ」と叫んでいて、年老いた私が「一時の感情に身を任せてはいかん」と言い争っていた。

 私がそんな心の中の二人を「まぁまぁ」となだめると、二人は互いに向けていた目線を一緒に私に向けてきて、「「じゃあ、貴女はどうしたいんだ?」」と尋ねて来た。

 私は………
 

 
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