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本編 婚約破棄編(仮)
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レオナルド王子の手はまるで赤ん坊の手のように綺麗だった。
「あの、レオナルド王子?」
「ん、なんだ?」
「剣術を学んだことは?」
「うむ、小さい頃は習ったが、この平和な国に不要だ」
(えーっと、治安が悪いんでしょ?)
かなり、頼りないと思ってしまった。
私はちらっとアーサーを見るが、まだ機嫌が直っていないようだ。とはいえ、レオナルド王子を優先せずにいられるわけはない。
(大丈夫だよ・・・っ。何かがあったら少し痛い目を合う程度に守ってやる)
(いやいや、ダメだって。傷ついたら濡れ衣を着せられるかわからないわよ?)
(へいへーいっ)
私はアーサーとアイコンタクトをかわす。私たちは先ほどから不穏な空気を感じ取っていた。
私もそれなりに、戦えるくらいにはお父様から剣術を学んでいる。お父様は変な男がいたらその剣技で倒してしまえと言われている。
(でも・・・・・・はははっ)
「ふんふん、ふふんっ」
私の剣技はどうやら、出会った中で一番変な男性を守るために使わなければならないかもしれません。路地裏からひしひし感じる殺気。商売をしている人は基本的にはレオナルド王子に好印象のようだけれど、陳列している商品を散らかされて、怒りをぐっと堪えて笑顔を作っていた。
(変だけれど、思ったよりは・・・普通の人なのかな?)
お父様はとても素敵な方で優秀な方だ。
私が小さい頃は気づかないくらい良き父として、笑顔が絶えない方だと思っていた。けれど、大きくなるにつれて、そんな偉大なる父は、私ならそんな余裕な顔なんてできないくらい、領地を守るために必死に外交や内政を行っていたことを知った。辺境の領地を守るのもとても大変なこと。だから、私もお父様のお手伝いを頑張って来た。途中、領民のみんなのために何かをするのが楽しくて、教会のお手伝いや、みんなの暮らしのお手伝いにはまってしまったが、お父様はそれも大事な領主の娘の仕事だと笑って褒めてくれた。本当にそれでいいのか、不安だったけれど、村同士の道路の整備をしたいと私が呟いたらみんなは率先して手伝ってくれた。その時、私は今までやってきたことが無駄ではなく、人との繋がりの大切さを学んだ。
「ん? どうかしたか?」
「レオナルド王子は物知りだと思いまして…」
「そうだろ、そうだろ」
そんな領地をいくつも取りまとめている王家の血筋のレオナルド王子はもっと、異次元の凄さだと思っていたけれど、変な人なだけで普通の人だなと思った。
(確かに色々知っているご様子だけれど、知識だけで日常を知らない? それとも、お父様と同じように隠しているだけ?)
「さっ、おススメの店があるんだ」
(あっ、わかった)
彼は子どもなんだ。
手だけじゃなくて、心も子どもなんだ。教えられたことはしっかりできるけれど、自分で考えるところまで成長していない感じなのかもしれない。でも、なんだか懐かしい。昔、秘密基地の連れて行ってくれた男の子を思い出してしまった。
(あれ、あの男の子って誰だっけ?)
「ほらほら、行くぞ」
(あっ)
さっきよりも強い殺気を背中に感じた。
「振り向くな」
アーサーが落ち着いた声で私にだけ聞こえるように囁いた。
「あの、レオナルド王子?」
「ん、なんだ?」
「剣術を学んだことは?」
「うむ、小さい頃は習ったが、この平和な国に不要だ」
(えーっと、治安が悪いんでしょ?)
かなり、頼りないと思ってしまった。
私はちらっとアーサーを見るが、まだ機嫌が直っていないようだ。とはいえ、レオナルド王子を優先せずにいられるわけはない。
(大丈夫だよ・・・っ。何かがあったら少し痛い目を合う程度に守ってやる)
(いやいや、ダメだって。傷ついたら濡れ衣を着せられるかわからないわよ?)
(へいへーいっ)
私はアーサーとアイコンタクトをかわす。私たちは先ほどから不穏な空気を感じ取っていた。
私もそれなりに、戦えるくらいにはお父様から剣術を学んでいる。お父様は変な男がいたらその剣技で倒してしまえと言われている。
(でも・・・・・・はははっ)
「ふんふん、ふふんっ」
私の剣技はどうやら、出会った中で一番変な男性を守るために使わなければならないかもしれません。路地裏からひしひし感じる殺気。商売をしている人は基本的にはレオナルド王子に好印象のようだけれど、陳列している商品を散らかされて、怒りをぐっと堪えて笑顔を作っていた。
(変だけれど、思ったよりは・・・普通の人なのかな?)
お父様はとても素敵な方で優秀な方だ。
私が小さい頃は気づかないくらい良き父として、笑顔が絶えない方だと思っていた。けれど、大きくなるにつれて、そんな偉大なる父は、私ならそんな余裕な顔なんてできないくらい、領地を守るために必死に外交や内政を行っていたことを知った。辺境の領地を守るのもとても大変なこと。だから、私もお父様のお手伝いを頑張って来た。途中、領民のみんなのために何かをするのが楽しくて、教会のお手伝いや、みんなの暮らしのお手伝いにはまってしまったが、お父様はそれも大事な領主の娘の仕事だと笑って褒めてくれた。本当にそれでいいのか、不安だったけれど、村同士の道路の整備をしたいと私が呟いたらみんなは率先して手伝ってくれた。その時、私は今までやってきたことが無駄ではなく、人との繋がりの大切さを学んだ。
「ん? どうかしたか?」
「レオナルド王子は物知りだと思いまして…」
「そうだろ、そうだろ」
そんな領地をいくつも取りまとめている王家の血筋のレオナルド王子はもっと、異次元の凄さだと思っていたけれど、変な人なだけで普通の人だなと思った。
(確かに色々知っているご様子だけれど、知識だけで日常を知らない? それとも、お父様と同じように隠しているだけ?)
「さっ、おススメの店があるんだ」
(あっ、わかった)
彼は子どもなんだ。
手だけじゃなくて、心も子どもなんだ。教えられたことはしっかりできるけれど、自分で考えるところまで成長していない感じなのかもしれない。でも、なんだか懐かしい。昔、秘密基地の連れて行ってくれた男の子を思い出してしまった。
(あれ、あの男の子って誰だっけ?)
「ほらほら、行くぞ」
(あっ)
さっきよりも強い殺気を背中に感じた。
「振り向くな」
アーサーが落ち着いた声で私にだけ聞こえるように囁いた。
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