【完結】私聖女なんですけど?なんで、私に味方するのが魔王だけなんですか・・・。

西東友一

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 私は急いで、目を閉じて神様を呼ぶ。

(神様、神様っ、助けてくださいっ!!)

『およよっ?呼んだ?』

 全身トガで布を巻いてあるのに、脱ぎかけだったらしく、片方の肩を出している。全然セクシーじゃないし、なんなら、シップがちらっと見えてるんですけど。

(どっどういうことですか? なんか、私、魔女扱いを受けて、魔女狩りされそうなんですけどっ!)

『あー・・・うん』

 ちょっと、のんきな神様に苛つく。

(えっ?もしかして、本当はあなたは悪魔なんですか?デビルなんですか?悪い奴なんですか?)

『いやいや、ちゃんと転生の時に説明した通り、この世界の神じゃよ?』

(でも、私魔女扱いされてるんですけど、どういうことですか?)

『うーん、じゃから、この世界を変えて欲しいって言ったじゃろ・・・?』

(言ってない、言ってない。聖女として活躍してほしいとしか)


『そうそれ、この世は腐っとるんじゃよ』


 私の中で目を背けていた押し入れのガラクタたちが爆発したような瞬間だった。
 押し入れは勝手に整理されて行く、きっと膨らんで見えているけれど、きっと大丈夫。きっと、きっと・・・。
 
『そちも、うすうす気づいとったじゃろ?』

(えぇ・・・、というか二人称統一してくれる?混乱するから)

『ごめん・・・。つまりはじゃ、食べ物がたくさんあり過ぎると、価格が安くなるじゃろ?そうすると、利権を持っている人らがな・・・』

 私にお年寄り虐待の趣味は全くない。頭を抱えてこの状況を嘆きたかったけれど、目の前でしょげているお爺ちゃんを救えないようでは、私らしくも、そして『聖女』らしくもない。

(私こそ、ごめんなさい。ちょっと、うん、気持ちの整理が・・・)

『いやいや、わかるぞい。だって、だいたいの転生者がこのパターンで死ぬんじゃもん』

(いや、それなら、早く言えよ。てめーのせいじゃねーかよっ)

 これはイジメではない。教育だ。
 いや・・・ツッコミかな。

『しょぼんぬ』

 このお爺さんというか、神様。
 本当に面白いよ、うん。
 でもね、今、私死にそうなんです。
 謝りながらもどことなく余裕があるその顔に腹が立ってきました。

『でも、安心しろい。一人、助っ人を用意しておいた。それもとってもイケメンじゃ』

(・・・話を聞こう)

 イケメンは正義だ。

(それで、そいつの性格は?)

 女子だけでやるできる男のマネをしながら、私は神様に尋ねる。

『真面目な奴じゃ・・・。世界を信じ、世界の平和を願い、世界を憂き、その優しさゆえに涙し、その正義感ゆえに暗黒の世界でも立ち上がる・・・好きな女のためなら己の全てをかけられる・・・そんな男じゃ』

 うーん、悪くはなさそうだ。
 クールで影があるイケメンだろうか。
 そんなイケメンに優しく抱きしめられるのは悪くない。
 やっぱり、イケメンは正義だ。

「さっ、歩けっ」

「ん?」

 いつの間にか神様と会話していたら縄で縛られていた。
 あれ、これって・・・・・・間に合わないやつですか?
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