【完結】私聖女なんですけど?なんで、私に味方するのが魔王だけなんですか・・・。

西東友一

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(神様っ!!!)

『・・・ばれ・・・』

 いやいや、昔の無線じゃないんだから、3Gだってちゃんと繋がるはずですから。
 教会の一番前じゃなきゃ、電波が悪くなるとかありえないですからっ!!!
 どんだけ、弱い神様なんですかっ!!!

「ほらっ、大人しく歩けっ」

 いや、絶対に嫌。せめて、あのクソ爺に文句を一言言わずに死んでたまるか。

「なんだこいつ、女のくせになんちゅう馬力だ」

「ここで、やらないで、いつやるのよっ!!」

 私は根性で、さっきまで神様と念話できた場所へと行こうとする。
 一歩、二歩、三歩・・・

「手伝うぞっ」

 複数の男たちがロープを引っ張り、私はたどり着くことができなかった。

「あ~、神様が・・・神様が・・・」

 私の様子を見て、少しは信仰心がありそうな人が、私を捕まえたことに罪悪感を覚えた顔をしていた。
 私はその人の顔を見て、訴える。

「助けて、神様と話をさせてっ。お願い・・・っ」

 夫妻だろうか、その二人が震えながら、私に手を差し伸べようとする。

(うん、そうよっ、さっ、早く・・・)

 スッ

 しかし、隣の厳しい顔をした女性がその手を制した。

「さるぐつわを」

 その女性がそう言うと、布を口に当てられて頭の後ろで縛られてしまった。
 その女性は私を見下ろしながら、フッと笑った。
 くっそーっ、くそくそっ。

 私はそのまま連れて行かれる。さすがにもう体力も残っていないし、仲間もいない。

(この後どうなるんだろう・・・)

 死ぬことはもう受け入れた。
 問題はループ系なのか、それとも転生終了のお知らせなのかだ。

「やっぱり、火あぶりですかね? それとも、ギロチン」

 やっぱり嘘。
 死刑、怖い。

 そんなことをさらっといえる、このぽっちゃり系小心者の男、怖いわよ。マジで。

「んんっ、んんっ」

 私はもう一度暴れる。

「もう、殴って、大人しくさせますか?」

 今度は、スキンヘッドで眉毛もない目がギンギンの男がそんなことを言い出す。
 いやいや、ここ貴族と王族しかいないはずでしょ、いつからいんのよ、あんた。
 あんたが貴族以上だったら、世も末だよ、ほんとに。

 

 バンッ!!!

 

 扉が思いっきり開いた。
 外の眩しい光がみんなを襲い、眩しそうな顔をしている。
 当然私も目の虹彩を絞る。あぁ、これ理科のテストに出るやつね・・・って、こんな風にピンチで余裕なの神様に似て来たかしら。でも、私の心臓が高鳴るの。

 イケメンが・・・来たんか? 私の王子様が来たんか?
 クールで、一途な、ナイスガイが来たんか?

「ちょっと、待ったぁ!!!!!!」

 あれ、ちょっと声が大きいんですけど・・・運命の人なんですよね?
 そうですよね? 

 
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