【完結】私聖女なんですけど?なんで、私に味方するのが魔王だけなんですか・・・。

西東友一

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『それはじゃな・・・』

(はい)

『わからん』

(・・・)

 私は言葉に詰まってしまう。

『だって、仕方ないじゃろ? お主たちはたくさんの人を殺した』

(でも、それ以上の人を救ったでしょ?)

 人間の組織はピラミッドだ。
 王族や貴族に比べれば、平民はものすごいいる。
 そんな人たちが虐げられることなく、幸せに過ごしてほしい。

『でも・・・量の問題じゃないし・・・』

(でも、王族や貴族が虐げるから、いけないんでしょ? それに何よ、私みたいに都合が悪いからって魔女扱いして、殺している彼らに正義があるの?)

 当然、優秀な王族や貴族は殺していないつもりだ。
 そして、多少のことなら統治するために仕方ないと執行猶予を与えて、様子を見ている。
 私たちだって、人を殺したくはない。

『でもでも・・・』

 自分への後ろめたさのせいなのか、目の前にいる神様の優柔不断さのせいなのか。
 前世の記憶が少し思い出した。

(悪いことがあれば、部下の個人のせい、手柄は上司や組織のおかげ・・・・・・っ。ふざけないでよっ。神様、あなたがノアの箱舟のように選別してくれれば・・・最後の審判を用意すれば・・・こんな世の中にならなかったんじゃないの?私たちに嫌な仕事を押し付けて、なんで・・・)

「エミリー・・・?」

 魔王が私を呼んだ。
 どうやら、私の涙を濡らしたようだった。

「ん? あなたは、悪くない。悪くないわ」

「すまない、僕はこんな方法でしか、世界を平和にできない。でも、キミだけは必ず守る。そして、全てが済んだら、キミが僕を殺して、キミが世界の・・・んっ」

 私は彼の唇を奪った。

「私はいつまでも、あなたと共にいるわ。ルシファー」

 そう言うと、彼は照れ臭そうに笑う。

「もう、ルシファーは卒業したんだ。今はルシウスさ」

「はいはい、そうでしたね、ルシファー」

「もー、エミリーっ」

「ふふふっ」

「はははっ」

 私たちは世界を征服した。
 それまではときどき顔を見せていた神様も顔を見せなくなり、神様として、最後の最後まで、私たちは正しいのか正しくないのかはっきりしなかった。

 だから、私たちは問う。

 私たちは正しいのかと。

 それは、全ての国民が決めること。
 いや違う。全ての国民が同じ正義を求めるはずはない。 
 じゃあ、誰が決める?  

 ・・・それは、私たち自身が決めること。

 でも、私はいまいち自分を信じられないこともある。
 だけど、彼は言ってくれる。

「どんな時でも、キミがキミ自身を嫌いになっても、僕はキミの味方さ」

 他の言うことは信用できないけれど、私は彼のその言葉だけは一生信じると決めた。
 
 だって、信じる者は救われる・・・でしょ? ねっ、神様。



 おしまい。
 
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感想 3

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みんなの感想(3件)

おゆう
2021.10.03 おゆう

まさかの元勇者さんでしたか(゚A゚;)ゴクリ。

2021.10.04 西東友一

おゆう様
お読みいただきありがとうござます。
おゆう様のおかげで、今日は良く寝れそうです。
引き続きお楽しみくださいませ。

解除
おゆう
2021.10.02 おゆう

聖女と魔王が愛情育んだり、勇者と魔王が友情育んだりとか大好物です😆。

2021.10.03 西東友一

おゆう様
お読みいただきありがとうござます。
感想読むの怖い怖い、だけど気になる病なので、そう言っていただけると嬉しいです。

解除
2021.10.01 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

2021.10.01 西東友一

Hitachi様

お読みいただきありがとうござます。
Hitachi様のセンスが尊い。
幸せな気持ちになれました。

解除

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