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本編
9話 見つける人×見つける想い
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「遠くへいっちゃったな」
私は天に手を伸ばす。
「誰がですか?」
聞きなれない優しい男性の声がするので振り返る。
シュナイデル王子だ。
私は急いで手を引っ込めて、赤面しながら下を向く。
(恥ずかしいっ)
リリィの気持ちが少しわかったかもしれない。
こんな美形の王子様の前ではしたないことをすれば、みっともない自分が恥ずかしくなる。
シュナイデル王子はそんな私の気持ちなんてどんどん近づいてくる。
普段は気にしないのに、髪がはねてるんじゃないかとか、顔を洗ったけどもっとしっかり洗えば良かったとか頭がぐるぐるする。
せめてもの救いはシュナイデル王子は身長が高いからそこまで顔が近くに・・・
「・・・っ」
シュナイデル王子が腰を曲げて私の顔に顔を近づけてまじまじと見る。
「うん、少し疲れているようだね。昨日はよく眠れなかったのかい?」
私は思わず、後ろを向く。
失礼なのは重々承知だし、そんな少女という歳でもないし、ましてや妹の夫に対してこんな態度をとってしまうのは申し訳ないけれど、それぐらい・・・
(かっこいい・・・)
これは恋じゃない。
(そう、恋じゃない。ただ、あまりに美しすぎるから・・・よ)
「あぁ、申し訳ない。アンヌ様。レディーに対して失礼なことをしてしまったね」
そう言って、黙っているシュナイデル王子だったのでどうしたのかなとちらっと振り返ると、シュナイデル王子は頭を下げていた。
「あっ、頭をあげてください、王子っ」
私はあたふたすると、王子が頭をあげてくすりとする。
「ははっ、かわいらしいですね、アンヌ様は」
これじゃあ、あわてんぼうのメイドのメアリーのことを言ってられない。
私は再び赤面してしまう。
「ご冗談を」
「僕はお世辞を言いませんよ。嘘をつくのが嫌いなので」
私は一瞬その笑顔に見惚れてしまった。
(いいなぁ、リリィは・・・)
「どうされましたか?アンヌ様」
「えっ?」
ぼーっとしていた私にシュナイデル王子が少し動揺している。
私の頬につーっと冷たいものが通る。
触ってみると液体で、涙と理解するのに少し時間がかかった。
だって、自分でもなぜ泣いているのかわからなかったから。
「あぁ、なるほど・・・そういうことか。あははっ」
「アンヌ・・・様?」
私の乾いた笑いに困惑するシュナイデル王子。
「いえ、すいませんっ。あまりにシュナイデル王子がいい人過ぎて感動してしまいました。あははっ、だって・・・ねっ、こんなに素敵なんだもんっ。リリィは、幸せ者よ。ぜーったい、リリィを幸せにしてくださいね、シュナイデル王子。それじゃあ、失礼しますっ」
私は正直者のシュナイデル王子に嘘をついた。
私は急いで深々とおじぎをして、足がとられないようにロングスカートを持ち上げながら走った。
私は顔をくしゃくしゃにしながら走った。
(私はなんて・・・醜いんだろっ)
私はずーっと昔から胸に引っかかったものを理解した。
(私はリリィを羨ましいと思っていたんだ、そして・・・恋しちゃったんだ)
私は天に手を伸ばす。
「誰がですか?」
聞きなれない優しい男性の声がするので振り返る。
シュナイデル王子だ。
私は急いで手を引っ込めて、赤面しながら下を向く。
(恥ずかしいっ)
リリィの気持ちが少しわかったかもしれない。
こんな美形の王子様の前ではしたないことをすれば、みっともない自分が恥ずかしくなる。
シュナイデル王子はそんな私の気持ちなんてどんどん近づいてくる。
普段は気にしないのに、髪がはねてるんじゃないかとか、顔を洗ったけどもっとしっかり洗えば良かったとか頭がぐるぐるする。
せめてもの救いはシュナイデル王子は身長が高いからそこまで顔が近くに・・・
「・・・っ」
シュナイデル王子が腰を曲げて私の顔に顔を近づけてまじまじと見る。
「うん、少し疲れているようだね。昨日はよく眠れなかったのかい?」
私は思わず、後ろを向く。
失礼なのは重々承知だし、そんな少女という歳でもないし、ましてや妹の夫に対してこんな態度をとってしまうのは申し訳ないけれど、それぐらい・・・
(かっこいい・・・)
これは恋じゃない。
(そう、恋じゃない。ただ、あまりに美しすぎるから・・・よ)
「あぁ、申し訳ない。アンヌ様。レディーに対して失礼なことをしてしまったね」
そう言って、黙っているシュナイデル王子だったのでどうしたのかなとちらっと振り返ると、シュナイデル王子は頭を下げていた。
「あっ、頭をあげてください、王子っ」
私はあたふたすると、王子が頭をあげてくすりとする。
「ははっ、かわいらしいですね、アンヌ様は」
これじゃあ、あわてんぼうのメイドのメアリーのことを言ってられない。
私は再び赤面してしまう。
「ご冗談を」
「僕はお世辞を言いませんよ。嘘をつくのが嫌いなので」
私は一瞬その笑顔に見惚れてしまった。
(いいなぁ、リリィは・・・)
「どうされましたか?アンヌ様」
「えっ?」
ぼーっとしていた私にシュナイデル王子が少し動揺している。
私の頬につーっと冷たいものが通る。
触ってみると液体で、涙と理解するのに少し時間がかかった。
だって、自分でもなぜ泣いているのかわからなかったから。
「あぁ、なるほど・・・そういうことか。あははっ」
「アンヌ・・・様?」
私の乾いた笑いに困惑するシュナイデル王子。
「いえ、すいませんっ。あまりにシュナイデル王子がいい人過ぎて感動してしまいました。あははっ、だって・・・ねっ、こんなに素敵なんだもんっ。リリィは、幸せ者よ。ぜーったい、リリィを幸せにしてくださいね、シュナイデル王子。それじゃあ、失礼しますっ」
私は正直者のシュナイデル王子に嘘をついた。
私は急いで深々とおじぎをして、足がとられないようにロングスカートを持ち上げながら走った。
私は顔をくしゃくしゃにしながら走った。
(私はなんて・・・醜いんだろっ)
私はずーっと昔から胸に引っかかったものを理解した。
(私はリリィを羨ましいと思っていたんだ、そして・・・恋しちゃったんだ)
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