回復師の再就職は容易です。魔王討伐した勇者パーティーにいたのに国王からの感謝状に名前がない私は国を去ります。

西東友一

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孤独な旅、歓迎のニアメア王国

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 第一陣が撤退し、第二陣の舞台が戦場へ赴く。
 これが人同士の戦争であれば、夜には基本攻撃をせずに停戦するが、相手は知性のない動物型の魔物。アレキサンダー王子は第三陣まで用意してあり、三交代制を計画していた。第一陣は休憩し英気を養う必要があるのだが、指揮を担うアレキサンダー王子には休みはない。

「作戦会議に入る。フレイア、軍団長と大臣達を集めておいてくれ」

「はっ」

 フレイアは頭を下げて返事をする。返事を確認したアレキサンダー王子はフレイアに指示を出して、目的地を目指して急ぎ足で歩く。

「王子はどこへ?」

「もちろんフローレンス様のところだ」

 圧倒的な補助能力。
 アレキサンダー王子はフローレンスをさすが勇者のパーティーだと改めて感心した。
 いつもなら、自分の見えないところで、国民に死傷者が出ているかもしれないと心苦しかったが、安心感包まれている。

「まだ、彼女の力が身にまとっているのだろうか?」

(お礼を言わなくては)

 アレキサンダー王子は高揚感を覚えつつも、はやる気持ちを抑えて、フローレンスを見つけた。
 
「フローレンス様っ……」

(僕は馬鹿だ……)

 フローレンスはとても疲弊しつつも両手を組みながら握り締め、味方への回復と強化、敵への弱体化を必死に行っていた。それも、彼女には戦場を俯瞰しているように見えており、どこに重点的に力を使えばいいのかはっきり分かっており、自分の力を分配した。そのマルチタスクはアレキサンダー王子の比ではない。アレキサンダー王子には、フローレンスがか弱い少女と神の領域に達している聖女の相反する姿に見え、慈愛と敬愛の気持ちで満たされた。

「フロー……」

 アレキサンダー王子はフローレンスに声を掛けるのを止めて、その場から立ち去った。

「招集終わりました」

 アレキサンダー王子が帰って来たのを見て、フレイアが会議室へ案内をしようとするが、アレキサンダー王子はそれを拒み、フレイアも見ずにそのまま歩いていく。当然、フレイアはアレキサンダー王子が答えてくれないので、彼の後を追うと、

「避難所?」

 アレキサンダー王子は避難所の扉を開けた。
 避難所には子どもやお年寄り、ケガや病気の青年……そしてそんな青年たちを介抱している回復師がいた。王子は回復師たちのところへ向かって、

「回復師の諸君。最低限の人数だけ残して、私に付いて来てほしい」

 王子の青い瞳が回復師を見るが、皆目を逸らしたり、怯えた顔で王子を見る。そんな中一人の回復師が勇気を出して、震えながら手を上げる。

「それは……私たち回復師に戦場に赴けと言うことですか?」
 
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