6 / 15
6
しおりを挟む
遥人はベンチで防具を着け始める。
そんな彼の元へ二人の少年が遥人へ近づいていく。
「いや、惜しかったね、遥人くん」
「センスあるよ、キミ」
「あなた方は・・・」
遥人は名前を憶えていない、外野を守っていた6番バッターと7番バッターの二人に声をかけられて、次の言葉が出ない。
「あぁ、その人たちは、モブローとモブジローよ」
楓の言葉の「モブ」に引っかかる遥人。
「はああっ!?なんすか、どっちがどっちでもいい人みたいな名前はっ!!?確かに特徴がない顔で、校舎であっても気づかないかもしれませんが、一緒に戦う仲間でしょっ!!?ニックネームを付けるにしたって「モブ」扱いは雑過ぎません!!?」
「「はっはっはっはっ」」
遥人のツッコミにモブローとモブジローが元気よく笑う。
「「本名さっ」」
親指を立ててグッドポーズをしてくる二人。
「うわーひくわーーっ。一緒に戦っている仲間を「モブ」扱いするなんてーーっ」
棒読み気味に楓が言う。
「へっへっ?」
遥人はモブローとモブジロー、そして楓を順番に何度も見るけれど、嘘を言っている様子はない。
ベンチの全員がじーっと、遥人の人格を疑うような目で見る。
「さっいてーーーっ」
遥人の幼馴染の平井太鳳(ひらいたお)が横目でゴミを見るように遥人を見る。
「ちょっと、待ってよ、太鳳。太鳳はどっちがどっちかわかるの?」
「・・・恥に恥を重ねるなんて・・・ホントひどいわ」
「あっ、絶対、太鳳もわかんないでしょっ!!ねぇ!!」
太鳳は必死に澄ました顔をしてセカンドへと走っていく。
「がっかりだぜ・・・相棒」
金剛も遥人の顔を真っすぐ見ることはせず、筋肉をぴくぴくさせている。
「猛はどっちがどっちか・・・」
「じゃあな!!」
ファーストへ猛ダッシュする金剛。
ポンッ
「まっ、元気を出したまえ」
遥人の肩を優しく叩く麗。
「麗さん・・・っ」
「まぁ、私という主人公の前ではキミも「モブ」だがなっ。はーっはっはっはっ」
大笑いしながら、サードへ向かっていく麗。
「遥人くん・・・信じてたのに・・・」
その可愛らしい声に遥人は後ろを向く。
「ひっ」
まるで小動物のような可愛らしい子が、目をウルウルさせながら怯えて震えていた。
その子の名前は小宮千尋(こみやちひろ)1年生。
唯一のベンチ要員としてみんなを2年でマネージャーのポジションの牛山と応援していたメンバーだ。
「違うんだ、ちひろちゃんっ。ちなみに・・・ちひろちゃんは・・・っ」
「ひいいっ」
遥人が声をかけようと、手を伸ばすと千尋は頭を抱えながら防行体制を取る。
「やめなさいよっ、ハルト。汚らわしい」
まるで小動物のように可愛らしく、千尋と同じ顔の女の子が遥人を睨みつける。
同じ顔をしていても、こちらは狂犬。その女の子の名前は小宮千早(こみやちはや)1年生で、センターを守っていた。
「きっと、ボクらの区別も遥人くんはつかないんだ・・・」
「いや、それはつくぞ。ちひろちゃん。かわいいのがちひろちゃん、かわいくないのがちはやだ」
「はあああああんっ!?」
千早が阿修羅のような形相で遥人を見る。
「千尋はかわいいけど、私がかわいくないってどういうことよっ!?ハルトッ!!」
「さっきから、「ちゃん呼び」しているけど・・・ボク男だよ?遥人くん」
「あぁ、もちろん。知っているよ」
「うぅぅ・・・っ」
(そう、ちひろは男だ。だが、かわいい)
見た目のかわいさもそうだが、千尋の立ち振る舞いは男心をくすぐる。
男女ともに人気が高い千尋。
「ほら、早くしろよっ」
「はーいっ」
千尋を構って満足した遥人はすっかりモブローとモブジローのことなんか忘れ、再びホームベースへ向かった。
そんな彼の元へ二人の少年が遥人へ近づいていく。
「いや、惜しかったね、遥人くん」
「センスあるよ、キミ」
「あなた方は・・・」
遥人は名前を憶えていない、外野を守っていた6番バッターと7番バッターの二人に声をかけられて、次の言葉が出ない。
「あぁ、その人たちは、モブローとモブジローよ」
楓の言葉の「モブ」に引っかかる遥人。
「はああっ!?なんすか、どっちがどっちでもいい人みたいな名前はっ!!?確かに特徴がない顔で、校舎であっても気づかないかもしれませんが、一緒に戦う仲間でしょっ!!?ニックネームを付けるにしたって「モブ」扱いは雑過ぎません!!?」
「「はっはっはっはっ」」
遥人のツッコミにモブローとモブジローが元気よく笑う。
「「本名さっ」」
親指を立ててグッドポーズをしてくる二人。
「うわーひくわーーっ。一緒に戦っている仲間を「モブ」扱いするなんてーーっ」
棒読み気味に楓が言う。
「へっへっ?」
遥人はモブローとモブジロー、そして楓を順番に何度も見るけれど、嘘を言っている様子はない。
ベンチの全員がじーっと、遥人の人格を疑うような目で見る。
「さっいてーーーっ」
遥人の幼馴染の平井太鳳(ひらいたお)が横目でゴミを見るように遥人を見る。
「ちょっと、待ってよ、太鳳。太鳳はどっちがどっちかわかるの?」
「・・・恥に恥を重ねるなんて・・・ホントひどいわ」
「あっ、絶対、太鳳もわかんないでしょっ!!ねぇ!!」
太鳳は必死に澄ました顔をしてセカンドへと走っていく。
「がっかりだぜ・・・相棒」
金剛も遥人の顔を真っすぐ見ることはせず、筋肉をぴくぴくさせている。
「猛はどっちがどっちか・・・」
「じゃあな!!」
ファーストへ猛ダッシュする金剛。
ポンッ
「まっ、元気を出したまえ」
遥人の肩を優しく叩く麗。
「麗さん・・・っ」
「まぁ、私という主人公の前ではキミも「モブ」だがなっ。はーっはっはっはっ」
大笑いしながら、サードへ向かっていく麗。
「遥人くん・・・信じてたのに・・・」
その可愛らしい声に遥人は後ろを向く。
「ひっ」
まるで小動物のような可愛らしい子が、目をウルウルさせながら怯えて震えていた。
その子の名前は小宮千尋(こみやちひろ)1年生。
唯一のベンチ要員としてみんなを2年でマネージャーのポジションの牛山と応援していたメンバーだ。
「違うんだ、ちひろちゃんっ。ちなみに・・・ちひろちゃんは・・・っ」
「ひいいっ」
遥人が声をかけようと、手を伸ばすと千尋は頭を抱えながら防行体制を取る。
「やめなさいよっ、ハルト。汚らわしい」
まるで小動物のように可愛らしく、千尋と同じ顔の女の子が遥人を睨みつける。
同じ顔をしていても、こちらは狂犬。その女の子の名前は小宮千早(こみやちはや)1年生で、センターを守っていた。
「きっと、ボクらの区別も遥人くんはつかないんだ・・・」
「いや、それはつくぞ。ちひろちゃん。かわいいのがちひろちゃん、かわいくないのがちはやだ」
「はあああああんっ!?」
千早が阿修羅のような形相で遥人を見る。
「千尋はかわいいけど、私がかわいくないってどういうことよっ!?ハルトッ!!」
「さっきから、「ちゃん呼び」しているけど・・・ボク男だよ?遥人くん」
「あぁ、もちろん。知っているよ」
「うぅぅ・・・っ」
(そう、ちひろは男だ。だが、かわいい)
見た目のかわいさもそうだが、千尋の立ち振る舞いは男心をくすぐる。
男女ともに人気が高い千尋。
「ほら、早くしろよっ」
「はーいっ」
千尋を構って満足した遥人はすっかりモブローとモブジローのことなんか忘れ、再びホームベースへ向かった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる