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取引と小さな手
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やっちまったな! 俺‼︎
なにがまずいって、フード付きの上着を忘れて来たことだ。あの状況で、悠長に部屋まで上着を取りに帰ったりできないだろう⁈
ぐったりしたススを抱き止めて尻餅を付いたまま、酒場の入り口から漏れる逆光を背負ったおっさんたちと向き合う。こいつらが、ブチを痛めつけたんだな? とても五歳には見えない痩せた小さな子どもを、手足が捻れるほどになぶったんだ。こいつら、人間の皮を被った化け物だ。⋯⋯この髭面じゃ、人間の皮も被れていないけれどな!
「ブチ、おいで」
兄を見つけた瞬間はニコニコしていたブチも、背後のおっさんの気配に怯えてビクビクと肩を震わせている。ススを支える手を片方だけ空けると、ブチがまろぶように飛び込んできた。よしよし、恐かったな。ぽんぽんと背中を叩いてやると、幼児特有の甲高い声で泣き出した。子どもの泣き声は胸が詰まる。
「⋯⋯聖女様?」
「黒い髪だ!」
「ガキを治したぞ⁈」
最後のヤツ、前に出てこいや! ブチの怪我の原因はお前か⁈
思うばかりで言葉にはしない。悔しいが実際に前に出てこられても、俺には対処のしようがない。心の中で悪態をつくので精一杯だ。
「マスター! 聖女様だ‼︎ 間違いだとしても相当な上玉だぞ!」
おっさんのひとりが店の中に向かって濁声で呼びかけると、のっそりと縦も横も大きい男が姿を現した。マスターなんて呼ばれているけれど、どう見たってその筋の人みたいな容貌をしている。スキンヘッドに顳顬の傷跡って、どこの漫画のキャラクターだよ。エプロンが笑っちゃうくらい小さい。
三十六計逃げるが勝ちだ!
そうは思ったけれど悲しいかな。失神した子どもとギャン泣きする子どもを、まとめて抱き上げる腕力を持ち合わせていない。ギリギリと奥歯を噛む。
「おう、丁重にお連れしろや」
マスターの声に頷いて、おっさんが俺の腕からブチをもぎ取った。ブチはますます激しく泣いて手足をバタつかせる。おっさんは忌々しげに「うるせぇ」と呟くと、小さな身体を頭上に持ち上げた。
「返せ!」
「お待ちなさい‼︎」
俺の声に重なったのは、シュウさんの鋭い声だった。一緒にヤンジャンコンビと宿舎に残っていた小隊のみんながいる。清潔ではあるけれど、どこか粗野な傭兵の扮装をした体格の大きな男たちの先頭で、シュウさんは凛として立っていた。
⋯⋯て言うか、殺気が只者じゃない。もしかしたらシュウさんは、ただの侍従ではないのかもしれない。
おっさんはシュウさんに気圧されて、しおしおとブチを地面に下ろした。けれど片腕を掴んで半分ぶら下げるみたいにぞんざいだ。ブチはひっと息を吸い込んで固まった。叫び声は止まったけれど大きな目からぼたぼたと涙をこぼしている。
「ブチを返せ」
俺はもう一度、おっさんに向かってゆっくりと言葉を発した。それを鼻で笑ったのはマスターだ。
「ガキをこっちに連れて来い。聖女様はきっとお優しいから、せっかく治療したガキがもう一度痛い目にあうのは嫌でしょうなぁ」
マスターがニヤニヤ笑うと、傭兵たちの纏う空気感が変わった⋯⋯ように感じた。いや、俺ってどうしようもなくシロウトだから、なんとなくしかわからない。ただ、みんなの表情が怖いことになっていて、この状況に激怒しているのがわかる。もちろん俺も腹の底がふつふつと煮えている。
傭兵団のみんなからは少し距離がある。ヤンがわずかに身動いろだのが見えたけど、おっさんがブチの腕を引っ張り上げたので、なにかを仕掛けることはなかった。
ブチは片手で吊るされて苦痛に表情を歪めている。あれじゃあ、脱臼しちゃうじゃないか。
「俺は聖女じゃない。見てわかるだろう?」
「はっ、かわい子ちゃんが可愛いことを言ってらっしゃいますな」
取ってつけた敬語が忌々しい。
俺はブチを人質に取られたまま、酒場のマスターとは名ばかりの破落戸に取っ捕まった。おっさんが懐中から取り出したナイフをブチの首に押し当てたのを見たら、言うことを聞かざるを得ない。
せめてススをシュウさんに預けたくて、マスターに交渉する。流石に子どもをふたりも人質にするのは面倒くさいと思ったのか、要望は聞き入れられた。ススをその場に置いてこっちに来いと言われたのには抵抗した。俺が離れた瞬間にススに危害を加えられるなんて、冗談じゃない。
マスターは傭兵団が傍に寄ることは認めなかった。その中でエプロンをつけたままのシュウさんを侮ったのか、ススの引き渡しに彼を指名した。
傍にやって来たシュウさんは、子どもを軽々と抱き上げながら、俺の耳元でそっとささやいた。
「ブチは諦めますか?」
「そんな馬鹿な」
「でしょうね」
彼は俺の答えがわかっていたように微笑んだ。
「必ずお傍に参ります。ブチと絶対に離れないでください」
去り際に懐中に何かを突っ込まれた。実にさりげないスマートな仕草で、マスターも気づかなかったようだ。ススをシュウさんに預けると、俺は安心してマスターの傍に寄った。とりあえず、俺の生命の危険はない。ブチのそれはマスターの気持ち次第だけれども。
「おう。お前ら『暁だったよな? はっ、よくあるダサい名前だな。なんで聖女様を隠してた?」
俺の肩に馴れ馴れしく手を置いたマスターが、勝ち誇ったように言った。酒とタバコと油の臭いがする。油染みたエプロンを見るに料理はしているようだが、こんなタバコ臭いやつが作った料理は食べたくない。
「その方は聖女様ではありませんよ。うちの団長の許嫁です」
「はっ。薄汚ねぇ傭兵風情が、聖女様を手に入れて天下取りでもする気かよ」
「いや、だから。俺、聖女じゃないって」
「ガキを瞬時に治しておいて、ごまかそうったってそうはいかねぇや」
ニヤニヤと笑う表情に反吐が出る。コイツ自分の店で客が年端も行かない子どもに乱暴していたのを知っていて、この態度かよ。
「とにかく俺は聖女じゃない。おっさんたちもよく覚えておけ! 俺は一言も、自分が聖女だって言ってないからな‼︎ どうせ俺のことは領主に売るんだろう? そのときにブチの身体に新しい傷が針の先ほどでも付いていたら、絶食でもして自分を痛めつけて、お前たちに虐待されたって言ってやるからな‼︎」
実際にはしないけど。いや、だって。シュウさんが必ず来てくれるって言ってるし、ヤンジャンコンビだってさっきから凄い形相をしている。なによりここにはいないギィが、それをすることは絶対に許さないだろう。
そんな俺の心情はマスターにはわからないわけで、大事な金蔓にそんなことをされて値崩れしても困るはずだ。戦う術を持たない俺がブチを救おうと思ったら、身を削るしかない。
「ルン様! それはなりません。ご自身を大切になさってください‼︎」
シュウさんの迫真の演技が凄い。必死さが伝わって、本気で説教をされている気分だ。ここは彼の演技に乗っておこう。
「その子を害したら、俺は自分を傷つけるからな」
あえてシュウさんのことは無視した体で言葉を紡ぐ。領主、ひいては宰相の怒りを買ってしまえ。それが、ブチを傷つけたお前たちへの報復だ!
こうして俺はブチと一緒に酒場に閉じ込められた後、領主館からの迎えだという馬車に乗せられた。
幼い子どもの手は、絶対に離さない。
それだけは、心に誓った。
なにがまずいって、フード付きの上着を忘れて来たことだ。あの状況で、悠長に部屋まで上着を取りに帰ったりできないだろう⁈
ぐったりしたススを抱き止めて尻餅を付いたまま、酒場の入り口から漏れる逆光を背負ったおっさんたちと向き合う。こいつらが、ブチを痛めつけたんだな? とても五歳には見えない痩せた小さな子どもを、手足が捻れるほどになぶったんだ。こいつら、人間の皮を被った化け物だ。⋯⋯この髭面じゃ、人間の皮も被れていないけれどな!
「ブチ、おいで」
兄を見つけた瞬間はニコニコしていたブチも、背後のおっさんの気配に怯えてビクビクと肩を震わせている。ススを支える手を片方だけ空けると、ブチがまろぶように飛び込んできた。よしよし、恐かったな。ぽんぽんと背中を叩いてやると、幼児特有の甲高い声で泣き出した。子どもの泣き声は胸が詰まる。
「⋯⋯聖女様?」
「黒い髪だ!」
「ガキを治したぞ⁈」
最後のヤツ、前に出てこいや! ブチの怪我の原因はお前か⁈
思うばかりで言葉にはしない。悔しいが実際に前に出てこられても、俺には対処のしようがない。心の中で悪態をつくので精一杯だ。
「マスター! 聖女様だ‼︎ 間違いだとしても相当な上玉だぞ!」
おっさんのひとりが店の中に向かって濁声で呼びかけると、のっそりと縦も横も大きい男が姿を現した。マスターなんて呼ばれているけれど、どう見たってその筋の人みたいな容貌をしている。スキンヘッドに顳顬の傷跡って、どこの漫画のキャラクターだよ。エプロンが笑っちゃうくらい小さい。
三十六計逃げるが勝ちだ!
そうは思ったけれど悲しいかな。失神した子どもとギャン泣きする子どもを、まとめて抱き上げる腕力を持ち合わせていない。ギリギリと奥歯を噛む。
「おう、丁重にお連れしろや」
マスターの声に頷いて、おっさんが俺の腕からブチをもぎ取った。ブチはますます激しく泣いて手足をバタつかせる。おっさんは忌々しげに「うるせぇ」と呟くと、小さな身体を頭上に持ち上げた。
「返せ!」
「お待ちなさい‼︎」
俺の声に重なったのは、シュウさんの鋭い声だった。一緒にヤンジャンコンビと宿舎に残っていた小隊のみんながいる。清潔ではあるけれど、どこか粗野な傭兵の扮装をした体格の大きな男たちの先頭で、シュウさんは凛として立っていた。
⋯⋯て言うか、殺気が只者じゃない。もしかしたらシュウさんは、ただの侍従ではないのかもしれない。
おっさんはシュウさんに気圧されて、しおしおとブチを地面に下ろした。けれど片腕を掴んで半分ぶら下げるみたいにぞんざいだ。ブチはひっと息を吸い込んで固まった。叫び声は止まったけれど大きな目からぼたぼたと涙をこぼしている。
「ブチを返せ」
俺はもう一度、おっさんに向かってゆっくりと言葉を発した。それを鼻で笑ったのはマスターだ。
「ガキをこっちに連れて来い。聖女様はきっとお優しいから、せっかく治療したガキがもう一度痛い目にあうのは嫌でしょうなぁ」
マスターがニヤニヤ笑うと、傭兵たちの纏う空気感が変わった⋯⋯ように感じた。いや、俺ってどうしようもなくシロウトだから、なんとなくしかわからない。ただ、みんなの表情が怖いことになっていて、この状況に激怒しているのがわかる。もちろん俺も腹の底がふつふつと煮えている。
傭兵団のみんなからは少し距離がある。ヤンがわずかに身動いろだのが見えたけど、おっさんがブチの腕を引っ張り上げたので、なにかを仕掛けることはなかった。
ブチは片手で吊るされて苦痛に表情を歪めている。あれじゃあ、脱臼しちゃうじゃないか。
「俺は聖女じゃない。見てわかるだろう?」
「はっ、かわい子ちゃんが可愛いことを言ってらっしゃいますな」
取ってつけた敬語が忌々しい。
俺はブチを人質に取られたまま、酒場のマスターとは名ばかりの破落戸に取っ捕まった。おっさんが懐中から取り出したナイフをブチの首に押し当てたのを見たら、言うことを聞かざるを得ない。
せめてススをシュウさんに預けたくて、マスターに交渉する。流石に子どもをふたりも人質にするのは面倒くさいと思ったのか、要望は聞き入れられた。ススをその場に置いてこっちに来いと言われたのには抵抗した。俺が離れた瞬間にススに危害を加えられるなんて、冗談じゃない。
マスターは傭兵団が傍に寄ることは認めなかった。その中でエプロンをつけたままのシュウさんを侮ったのか、ススの引き渡しに彼を指名した。
傍にやって来たシュウさんは、子どもを軽々と抱き上げながら、俺の耳元でそっとささやいた。
「ブチは諦めますか?」
「そんな馬鹿な」
「でしょうね」
彼は俺の答えがわかっていたように微笑んだ。
「必ずお傍に参ります。ブチと絶対に離れないでください」
去り際に懐中に何かを突っ込まれた。実にさりげないスマートな仕草で、マスターも気づかなかったようだ。ススをシュウさんに預けると、俺は安心してマスターの傍に寄った。とりあえず、俺の生命の危険はない。ブチのそれはマスターの気持ち次第だけれども。
「おう。お前ら『暁だったよな? はっ、よくあるダサい名前だな。なんで聖女様を隠してた?」
俺の肩に馴れ馴れしく手を置いたマスターが、勝ち誇ったように言った。酒とタバコと油の臭いがする。油染みたエプロンを見るに料理はしているようだが、こんなタバコ臭いやつが作った料理は食べたくない。
「その方は聖女様ではありませんよ。うちの団長の許嫁です」
「はっ。薄汚ねぇ傭兵風情が、聖女様を手に入れて天下取りでもする気かよ」
「いや、だから。俺、聖女じゃないって」
「ガキを瞬時に治しておいて、ごまかそうったってそうはいかねぇや」
ニヤニヤと笑う表情に反吐が出る。コイツ自分の店で客が年端も行かない子どもに乱暴していたのを知っていて、この態度かよ。
「とにかく俺は聖女じゃない。おっさんたちもよく覚えておけ! 俺は一言も、自分が聖女だって言ってないからな‼︎ どうせ俺のことは領主に売るんだろう? そのときにブチの身体に新しい傷が針の先ほどでも付いていたら、絶食でもして自分を痛めつけて、お前たちに虐待されたって言ってやるからな‼︎」
実際にはしないけど。いや、だって。シュウさんが必ず来てくれるって言ってるし、ヤンジャンコンビだってさっきから凄い形相をしている。なによりここにはいないギィが、それをすることは絶対に許さないだろう。
そんな俺の心情はマスターにはわからないわけで、大事な金蔓にそんなことをされて値崩れしても困るはずだ。戦う術を持たない俺がブチを救おうと思ったら、身を削るしかない。
「ルン様! それはなりません。ご自身を大切になさってください‼︎」
シュウさんの迫真の演技が凄い。必死さが伝わって、本気で説教をされている気分だ。ここは彼の演技に乗っておこう。
「その子を害したら、俺は自分を傷つけるからな」
あえてシュウさんのことは無視した体で言葉を紡ぐ。領主、ひいては宰相の怒りを買ってしまえ。それが、ブチを傷つけたお前たちへの報復だ!
こうして俺はブチと一緒に酒場に閉じ込められた後、領主館からの迎えだという馬車に乗せられた。
幼い子どもの手は、絶対に離さない。
それだけは、心に誓った。
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