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本編
第55 抱いた悋気 12
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「……はい」
逃れるように離れた身体を近付ける。
キスをしやすいように、ギガイに抱え上げる高さを変えられ、レフラはそっと唇を寄せていく。
触れ合った所から柔らかな感触を感じて、恐る恐る開いた唇から舌先を差し出し、ギガイの唇の間に舌先を沿わせた。それなのに、開かれることのない唇は、一見すると迎え入れる気がないようだった。
(差し込めと言っていたのはギガイ様なのに、なんで……?)
戸惑いながらも、舌先で隙間をノックする。
それでも開かれない唇を、レフラがはむはむと唇で食みながら軽く吸った。
「ギガイさま、開けて……」
レフラのその強請る声が気に入ったのか、ククッと喉元で笑った様子の後、ようやくギガイの唇と歯列が開かれてレフラの舌を受け入れた。
その隙間からおずおずと舌を奥の方へと差し込んでいく。
深く差し込んだ状態で敏感な舌裏を舐め上げられれば、ゾクゾクッとしたした痺れが身体の中心へと走っていき、レフラは思わず舌を引き抜きかけた。
「ぅぁ……ぅぅっ、……っう」
だけどその動きは予想されていたのかもしれない。
舌を引き戻そうとした瞬間に、強く舌を吸い上げられ、そのまま歯が立てられる。
「ふ……ぁ、っぁぁ……」
やだやだ、と訴えようにも舌を噛まれた状態では首を振ることさえできないのだ。レフラは分かって欲しくて、カリカリとギガイの胸元を引っ掻いた。
ギガイが傷付けることはないと知りつつも、痛みを伝えてくるその愛咬に、ジワッと涙が浮かんでくる。
「ふぅ……っ、……ぅぅ、ふっ……」
そうなれば、漏れる声も自然と涙で湿っていた。
ギガイの指が眦の涙を拭い取り、歯を立てられていた舌もようやく解放を許される。その場所へ今度は労るように愛撫をギガイの舌先から与えられれば、痛みを得ていた所から感じる痺れは、始めに裏筋を舐められた時よりビリビリと強い刺激を伝えてきた。
「んっ、んぅっ…んんっ……!」
そんな痛みと柔らかな刺激と、言いようのない快感と。奪われる呼吸を繰り返して、気が付けば差し込んでいたはずの舌がいつの間にか受け入れる側に変わっていた。
首筋を掌で撫でられて、身体にゾワゾワとした感覚が走って行く。
「ふ…ぁ…っぁ……」
口蓋や愛咬が繰り返された舌は、とても敏感な状態なのだ。そんな場所を何度も撫でるように這わされていた舌が、ついでのように喉奥まで犯していくのだから。そのせいで、レフラはどんどん呼吸さえもままならなくなっていた。
解放を求める訴えも、嬌声さえもギガイの口腔内へ吸い込まれる。
「ぁっ…ふぁ…っぁぅ……っ」
苦しいのに気持ち良くて、時々呼吸のために解放されて。息継ぎと一緒に声が漏れ出るような、そんなキスをもうどれぐらい与えられたのか、分からなくなった頃だった。
ギガイの舌からようやく口腔内を解放されて、口角から零れた唾液をギガイによって拭われる。
「だいぶ気持ちが良さそうだな」
そのまま酸欠でぼんやりした頭でギガイの言葉を反芻しながら、レフラは素直にコクッと頷いた。
涙が溜まっていたのかもしれない。
頬に添えられた指先がレフラの眦を拭ってくれる。次にこの指がどこを触ってくれるのか、疼く身体はどうしても期待をしてしまっていた。
それなのに、スリスリと頬を撫でてくれる指先は、一向にそこから動く様子がなぜかない。確かにそれだけでも心地良い。でもさんざん煽られた身体では、それだけでは全然足りなかった。
逃れるように離れた身体を近付ける。
キスをしやすいように、ギガイに抱え上げる高さを変えられ、レフラはそっと唇を寄せていく。
触れ合った所から柔らかな感触を感じて、恐る恐る開いた唇から舌先を差し出し、ギガイの唇の間に舌先を沿わせた。それなのに、開かれることのない唇は、一見すると迎え入れる気がないようだった。
(差し込めと言っていたのはギガイ様なのに、なんで……?)
戸惑いながらも、舌先で隙間をノックする。
それでも開かれない唇を、レフラがはむはむと唇で食みながら軽く吸った。
「ギガイさま、開けて……」
レフラのその強請る声が気に入ったのか、ククッと喉元で笑った様子の後、ようやくギガイの唇と歯列が開かれてレフラの舌を受け入れた。
その隙間からおずおずと舌を奥の方へと差し込んでいく。
深く差し込んだ状態で敏感な舌裏を舐め上げられれば、ゾクゾクッとしたした痺れが身体の中心へと走っていき、レフラは思わず舌を引き抜きかけた。
「ぅぁ……ぅぅっ、……っう」
だけどその動きは予想されていたのかもしれない。
舌を引き戻そうとした瞬間に、強く舌を吸い上げられ、そのまま歯が立てられる。
「ふ……ぁ、っぁぁ……」
やだやだ、と訴えようにも舌を噛まれた状態では首を振ることさえできないのだ。レフラは分かって欲しくて、カリカリとギガイの胸元を引っ掻いた。
ギガイが傷付けることはないと知りつつも、痛みを伝えてくるその愛咬に、ジワッと涙が浮かんでくる。
「ふぅ……っ、……ぅぅ、ふっ……」
そうなれば、漏れる声も自然と涙で湿っていた。
ギガイの指が眦の涙を拭い取り、歯を立てられていた舌もようやく解放を許される。その場所へ今度は労るように愛撫をギガイの舌先から与えられれば、痛みを得ていた所から感じる痺れは、始めに裏筋を舐められた時よりビリビリと強い刺激を伝えてきた。
「んっ、んぅっ…んんっ……!」
そんな痛みと柔らかな刺激と、言いようのない快感と。奪われる呼吸を繰り返して、気が付けば差し込んでいたはずの舌がいつの間にか受け入れる側に変わっていた。
首筋を掌で撫でられて、身体にゾワゾワとした感覚が走って行く。
「ふ…ぁ…っぁ……」
口蓋や愛咬が繰り返された舌は、とても敏感な状態なのだ。そんな場所を何度も撫でるように這わされていた舌が、ついでのように喉奥まで犯していくのだから。そのせいで、レフラはどんどん呼吸さえもままならなくなっていた。
解放を求める訴えも、嬌声さえもギガイの口腔内へ吸い込まれる。
「ぁっ…ふぁ…っぁぅ……っ」
苦しいのに気持ち良くて、時々呼吸のために解放されて。息継ぎと一緒に声が漏れ出るような、そんなキスをもうどれぐらい与えられたのか、分からなくなった頃だった。
ギガイの舌からようやく口腔内を解放されて、口角から零れた唾液をギガイによって拭われる。
「だいぶ気持ちが良さそうだな」
そのまま酸欠でぼんやりした頭でギガイの言葉を反芻しながら、レフラは素直にコクッと頷いた。
涙が溜まっていたのかもしれない。
頬に添えられた指先がレフラの眦を拭ってくれる。次にこの指がどこを触ってくれるのか、疼く身体はどうしても期待をしてしまっていた。
それなのに、スリスリと頬を撫でてくれる指先は、一向にそこから動く様子がなぜかない。確かにそれだけでも心地良い。でもさんざん煽られた身体では、それだけでは全然足りなかった。
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