道の先には……(僕と先輩の異世界とりかえばや物語)

神山 備

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僕……視力検査が必要ですか

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自分のそんな感情を振り払うかのように、僕はガザの実をがりっと大きな口で齧った。酸っぱい! それも梅干しなんて目じゃないくらい目から星が出てきそうなくらいの酸っぱさ! 思わず口が歪んだまま固まる。
「ふ、ふっはい!」
真っ赤な色からは想像できなかったその味に驚いて、僕は思わず噛まずに飲み込んでしまった。
【あ、ごめん。不味かったか? 俺は食ったことがないからな】
その様子に、マシューが慌ててそう言う。そうだよな、見るからに体育会系の(その割には非力らしいけど)マシューが魔法系の回復アイテムを食べることなんてないんだろう。でも、ならよくこんな実の事を知っていたなと思った。まぁ、こっちの方では食べなくても基本のアイテムなのかもしれないけどね。
【ううん、ちょっと(実はかなりなんだけど)酸っぱかっただけ。心配しなくて、えっ?……!】
それに対して心配しないでと言おうとした僕は驚いた。目の前にいたマシューがいきなりシュルシュルと縮んでかわいい女の子になっていたのだ。歳はたぶん、十歳前後。同じ茶髪で碧眼なんだけど、髪は長くて緩やかにウエーブがかかっている。
【ど、どうした?】
思わずガン見してしまった僕に、マシューは赤くなりながらそう答えた。
だけど、そう見えたのは一瞬で、そう言った彼は元のいかついおっさんだった。
【ぼ、僕疲れてるのかな】
【【?】】
【あの……一瞬マシューが女の子に見えたから……】
「ば、バッカじゃね? どこをどう見たって、こいつ、おっさん丸出しだろうが」
それに対して、先輩は息も絶え絶えに笑っている。マシューも、
【昨日の仕返しか、俺のどこが女だ。しかも女の子?】
と、目くじら立てて怒ってはいるが、それがどことなく焦っているように思えるのは気のせいか。
「使ったことのない魔法を使って、頭いかれたんじゃねぇか? もうこのまま飯食わないで寝ろ」
先輩にそう言われて、僕は乱暴にベッドに寝かされた。ご飯抜きだなんて、とんでもない!
「えーっ、ご飯は食べますよ。僕MP切れで倒れたんですよ。食べなきゃ回復しませんよ」
先輩のご飯抜き発言に、僕は猛抗議する。でも、日本語のわからないマシューは心配そうに僕たちを見つめていた。それに気づいた先輩は、
【心配すんな、大丈夫だよ。この食い気バカが簡単にくたばるかってんだ。飯抜いて寝ろってったら、怒ってんだよ】
と説明してした。その説明も説明だけど、それに対して大きく頷いて納得するマシューもマシューだ。

 うー、二人のために頑張って倒れたのに、労わってくんない……ふん、先輩もマシューも大っキライだ! 
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