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そして、僕は……
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僕の爆弾発言に謁見の間の空気が一瞬固まる。
【えい、ええい、何を言うかと思えば! 王子になりすますことがかなわぬと知れば、今度はわしを犯人扱いにするなど、言語道断。わしを王弟テオブロと知っての狼藉か!!】
テオブロ一人が沸騰した薬缶みたいになってがなり散らすけど、騎士はぴくりとも動かない。そっか……テオブロは王様の弟な訳ね。じゃぁ、王子がコータル様一人なら、それで次の王様は自分のモノって訳だ。充分な動機あり過ぎで、僕と彼の言うことのどちらが真実か量りかねているのだろうし、騎士は基本的に王様に従うもの。テオブロは王様じゃないもんね。
【な、何をしておる。この大悪人を早く捕らえぬか!】
【テオブロよ……お前よもやコータルを手に掛けたとは言うまいな】
その時、王様が沈痛な面もちでテオブロにそう言った。
【王よ、王はこの血を分けた弟の言うことより、素性も分からぬ輩の言うことを信じるおつもりですか!】
【わしとて信じとうはないが、かねがねあまり良くない噂も聞いておるのだぞ】
【……】
王子様の暗殺計画は今回に始まったことじゃないらしい。テオブロは、王様にそう言われて、拳を握りしめ、唇をかんで黙っていたけど、
【なぜじゃ、なぜわしの言うことを聞かん。もういい、ならばわしがこの大罪人を成敗してやる!】
と、逆上し、先輩にいきなり切りかかった。ダメだ、王子様だけじゃなくって、先輩まで殺される! 僕は、やっぱり自分のスキルなんて一切無視して、テオブロと先輩の間に割り込んで……
僕はテオブロに、あっさりばっさり切られた。スローモーションで視界が横に流れていく。その時に床に飛び散った血が見えて、意外と血ってよく飛ぶもんだなと思う。
切られたところは痛いと言うより熱かった。それに、心臓がふたつになったみたいに、切れたところから動悸を打つ。それくらい血が流れているんだろうか。一旦、床に転がってしまうと、頭を上げることすらできなかった。
その後、なおも先輩を切ろうとするテオブロは、王様が騎士に取り押さえるよう命じて、あっと言う間に取り押さえられた。テオブロが、
【なぜわしがこのような仕打ちをされねばならん。罪人はこやつらじゃ! 離せ、離さぬか!】
と、大声で叫びながら暴れるのを数人ががりで抑えて謁見の間の外に連れ出されていくのが見えた。
「宮本、しっかりしろ!」
騒動が収まったあと、先輩が慌てて僕を抱き起こす。すると、僕の目に、超どアップのエリーサちゃんの泣き顔が飛び込んできた。
【エリーサちゃん、せっかくの、ドレス、汚れちゃうよ】
僕はそう言って、彼女の頬の涙を掬った。
【ビク! ドレスなんてどうでも良いよ。ねぇ、あたし お父様の言う通り、ビクのお嫁さんになる。だからお願い、死なないで!】
? なんでお父様の言う通りにするとどうしてエリーサちゃんが僕と結婚しなきゃなんないのか、その辺が全く分からない。でも、切られてすぐはとっても熱かった身体は、ずいぶんと血が抜けてしまったのだろうか、今度は急激な寒さがやってきて、ふるえで口が上手く動かくなってきはじめた。
【なに? お嫁さん】
というのがやっとで、それもものすごく小さい声しか出なかった。
【ヨシャッシャ、ヨシャッシャ……】
すると、エリーサちゃんは懸命に美久と発音しようとした。それを聞いて先輩が、
【一度に言おうとすると発音できないんなら、区切ればいい。ヨシ、ヒサ。さぁ、言ってごらん】
と助け船を出す。
【ヨッシー、ヒッサ……ヨッシー、ヒッサ】
エリーサちゃんは一文字ずつ区切って僕の名を呼ぶ。でも、ヨッシーなんていったら長い舌で卵を飲み込まなきゃならなくなりそうなんだけどなんて、つっこみを脳内ではいれつつ、それでもかわいいから許すと僕は思っていた。
【な……に】
【好きだから、大好きだから! 死なないで、お願いずっとあたしのそばにいて!】
実は僕も君が好きだよ。君がいかついおっさんのときから、たぶん。自分が同じ男に惹かれる意味が解らなくて戸惑ってしまったりもしたけれど、きっと僕はマシューの中にちゃんと君を見つけていたんだと思うよ。
だけど、僕はその想いを彼女に伝えることはできなかった。『Ilove you』と言った言葉は、荒い自分の息にかき消されて、そして……僕の意識は深い闇の中へと沈んでいった。
【えい、ええい、何を言うかと思えば! 王子になりすますことがかなわぬと知れば、今度はわしを犯人扱いにするなど、言語道断。わしを王弟テオブロと知っての狼藉か!!】
テオブロ一人が沸騰した薬缶みたいになってがなり散らすけど、騎士はぴくりとも動かない。そっか……テオブロは王様の弟な訳ね。じゃぁ、王子がコータル様一人なら、それで次の王様は自分のモノって訳だ。充分な動機あり過ぎで、僕と彼の言うことのどちらが真実か量りかねているのだろうし、騎士は基本的に王様に従うもの。テオブロは王様じゃないもんね。
【な、何をしておる。この大悪人を早く捕らえぬか!】
【テオブロよ……お前よもやコータルを手に掛けたとは言うまいな】
その時、王様が沈痛な面もちでテオブロにそう言った。
【王よ、王はこの血を分けた弟の言うことより、素性も分からぬ輩の言うことを信じるおつもりですか!】
【わしとて信じとうはないが、かねがねあまり良くない噂も聞いておるのだぞ】
【……】
王子様の暗殺計画は今回に始まったことじゃないらしい。テオブロは、王様にそう言われて、拳を握りしめ、唇をかんで黙っていたけど、
【なぜじゃ、なぜわしの言うことを聞かん。もういい、ならばわしがこの大罪人を成敗してやる!】
と、逆上し、先輩にいきなり切りかかった。ダメだ、王子様だけじゃなくって、先輩まで殺される! 僕は、やっぱり自分のスキルなんて一切無視して、テオブロと先輩の間に割り込んで……
僕はテオブロに、あっさりばっさり切られた。スローモーションで視界が横に流れていく。その時に床に飛び散った血が見えて、意外と血ってよく飛ぶもんだなと思う。
切られたところは痛いと言うより熱かった。それに、心臓がふたつになったみたいに、切れたところから動悸を打つ。それくらい血が流れているんだろうか。一旦、床に転がってしまうと、頭を上げることすらできなかった。
その後、なおも先輩を切ろうとするテオブロは、王様が騎士に取り押さえるよう命じて、あっと言う間に取り押さえられた。テオブロが、
【なぜわしがこのような仕打ちをされねばならん。罪人はこやつらじゃ! 離せ、離さぬか!】
と、大声で叫びながら暴れるのを数人ががりで抑えて謁見の間の外に連れ出されていくのが見えた。
「宮本、しっかりしろ!」
騒動が収まったあと、先輩が慌てて僕を抱き起こす。すると、僕の目に、超どアップのエリーサちゃんの泣き顔が飛び込んできた。
【エリーサちゃん、せっかくの、ドレス、汚れちゃうよ】
僕はそう言って、彼女の頬の涙を掬った。
【ビク! ドレスなんてどうでも良いよ。ねぇ、あたし お父様の言う通り、ビクのお嫁さんになる。だからお願い、死なないで!】
? なんでお父様の言う通りにするとどうしてエリーサちゃんが僕と結婚しなきゃなんないのか、その辺が全く分からない。でも、切られてすぐはとっても熱かった身体は、ずいぶんと血が抜けてしまったのだろうか、今度は急激な寒さがやってきて、ふるえで口が上手く動かくなってきはじめた。
【なに? お嫁さん】
というのがやっとで、それもものすごく小さい声しか出なかった。
【ヨシャッシャ、ヨシャッシャ……】
すると、エリーサちゃんは懸命に美久と発音しようとした。それを聞いて先輩が、
【一度に言おうとすると発音できないんなら、区切ればいい。ヨシ、ヒサ。さぁ、言ってごらん】
と助け船を出す。
【ヨッシー、ヒッサ……ヨッシー、ヒッサ】
エリーサちゃんは一文字ずつ区切って僕の名を呼ぶ。でも、ヨッシーなんていったら長い舌で卵を飲み込まなきゃならなくなりそうなんだけどなんて、つっこみを脳内ではいれつつ、それでもかわいいから許すと僕は思っていた。
【な……に】
【好きだから、大好きだから! 死なないで、お願いずっとあたしのそばにいて!】
実は僕も君が好きだよ。君がいかついおっさんのときから、たぶん。自分が同じ男に惹かれる意味が解らなくて戸惑ってしまったりもしたけれど、きっと僕はマシューの中にちゃんと君を見つけていたんだと思うよ。
だけど、僕はその想いを彼女に伝えることはできなかった。『Ilove you』と言った言葉は、荒い自分の息にかき消されて、そして……僕の意識は深い闇の中へと沈んでいった。
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