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熱烈歓迎?
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翌日、俺は薫んちに行った。ナビが示すのは、超ド級の高級住宅街。都内に住んでても一回も行ったことがないとこだ。
そして、俺は薫んちの前で盛大にため息を吐いた。何が、叔父様の家より小じんまりしてるだよっ 白亜の豪邸じゃんかよ。じゃぁ、社長の家はどんなだってんだ。
それもそのはず、薫の父親の谷山紀文は画家で、一枚書きゃ、ん千万だっつー話だ。うええ、ますます俺、場違いじゃん。一回フラれた時点ですんなり諦めとくべきだったか。
ま、いつまでもビビってる訳にも行かないんで、とりあえずインターフォンを押す。はーい、という返事の後薫が玄関のドアを開いた途端……
家の奥の方から巨大な物体が俺に向かって突進してきた。
「うわっ」
体当たりしてきたそれを、俺は転びそうになりながらも何とか受け止めた。
「げっ」
動く毛玉、いや犬、確かボルゾイってやつだ。そいつは、俺の肩をがっしり掴むと、俺の口元を……
ペロペロと舐めだした。そのままディープキスされそうな勢いだ。よく見ると笑顔っぽいし(犬の感情なんて判んねぇけど)尻尾振ってやがる。肩掴まれて首元にこられたときには、殺られるって本気で思ったぜ。一応、ここん家の家族を分捕ってくアウェイな訳だし。獣は人間よりそういうことに数段敏感らしいからな。
「ミランダ、こらっ止めなさい! Sit!」
薫にそう怒鳴られて、巨大な毛玉もとい、ミランダは渋々と薫の前にちんと座った。しかし、熱烈歓迎の意志は示したいのか、はぁはぁ言いながら尻尾だけはまだ振っている。
そこに薫の母親らしき女性が玄関に現れた。薫の外人度をさらに上げた感じで、小紋をを小ぎれいに着こなした姿は、どっかの旅館の名物女将っぽい。彼女は、
「あらぁ、ミランダちゃんも女の子ねぇ、イケメンはわかるのね」
と言ってミランダの頭を撫でた。
「顔じゃないわよ、鮎川あんたサラミ食べたでしょ」
「ああ、正確に言えば、サラミの乗っかったピザをな」
50日も留守にしてるんだ、冷蔵庫にあったもんは調味料をのぞけば全滅、かろうじてフリーザーに残ってた冷凍ピザだけしか食うもんがなかったんだよ。昨日帰りがけにうっかりと買うのを忘れたんだ。でも、何でそれがサラミだって判るんだ? 薫は
「ママ、彼女は鮎川の胃の中のものに反応してるだけよ。ミランダ、いくら好きだってあんたサラミに反応しすぎ」
と言いながら俺を見上げてニヤリと笑うと、
「モテたんじゃなくて残念だったわね。この子サラミに目がないのよ」
と言った。バーカ、犬にモテたって嬉しかねぇよ。サラミに惚れてくれてありがとうだ。
まぁ、そのバカ犬のおかげで幾分緊張感が取れて、俺は通されたそれこそそこだけで俺のアパートの部屋の何倍あるんだっていうリビングで薫の父親を待った。
「やぁ、お待たせ。君が鮎川君?」
そして現れた薫の父親は、一人娘がかっさらわれるのだというのに、さっきのバカ犬も顔負けの満面の笑顔だ。
「初めまして、鮎川幸太郎です」
俺は一旦座っていたソファーから立ち上がって深々とお辞儀をする。
「谷山紀文です。退院おめでとう」
「ありがとうございます」
俺は、礼を言った後、咳払いをして、いきなり本題をきりだした。
「今日はですね、お嬢さんと結婚を前提におつ……」
しかし、紀文氏は俺の口上が終わらない内に、
「そんな堅いことは抜き抜き。鮎川君薫と結婚したいんでしょ。どうぞどうぞ、こんな面倒臭いので良かったら、是非」
と、さっさと俺たちの結婚を承諾してしちまったのだ。それにしてもノリ軽っ! しかもトドメに、
「いやぁ、君がずっと眠ったままだったらどうしようかと思ってたんだよ。それでも生きてるんだから、そちらのご両親に承諾もらって病床で式だけ挙げようかとか」
とまで言う。こっちが言い出す前に親公認なのも何だかなんだが、意識のない奴と結婚させようだなんて、どんだけ薫を追い出したいんだか。ホントに血つながってんのか? 母親の外人的要素の方が際だって、いまいち判んねぇぞ。
「パパ!」
さすがにその発言にブチ切れて薫が思いっ切り父親を睨む。
「じょ、冗談だよ、薫。さすがに眠ったままの人間を後継者にするなんてお義父さんが許さないさ。でもね、私は嬉しいんだよ。大事な娘を絵描きになぞやるんじゃなかったって、そりゃ肩身の狭い思いをしてきたんだから」
まぁな、父親としちゃいくら金取れるってったって、絵描きなんて次売れるか売れねぇか分かんねぇヤクザな商売認められねぇよな、当の会長は結構でけぇ会社のTOPな訳だし。解るよ、何か一カ所聞き捨てならねぇ事聞いた気もするけど、取りあえず薫の親の反対はないってことだな。
――ピンポ~ン――
その時、インターフォンがなったかと思うと、だだだだっと廊下を走る音がして、
「間に合った? 僕、間に合った?」
と飛び込んできたのは、我が社の社長、櫟原武氏。しばらくして、もそもそっと絵梨紗も入ってきた。
じゃぁ、ここからご挨拶第二ラウンド突入ってか?
そして、俺は薫んちの前で盛大にため息を吐いた。何が、叔父様の家より小じんまりしてるだよっ 白亜の豪邸じゃんかよ。じゃぁ、社長の家はどんなだってんだ。
それもそのはず、薫の父親の谷山紀文は画家で、一枚書きゃ、ん千万だっつー話だ。うええ、ますます俺、場違いじゃん。一回フラれた時点ですんなり諦めとくべきだったか。
ま、いつまでもビビってる訳にも行かないんで、とりあえずインターフォンを押す。はーい、という返事の後薫が玄関のドアを開いた途端……
家の奥の方から巨大な物体が俺に向かって突進してきた。
「うわっ」
体当たりしてきたそれを、俺は転びそうになりながらも何とか受け止めた。
「げっ」
動く毛玉、いや犬、確かボルゾイってやつだ。そいつは、俺の肩をがっしり掴むと、俺の口元を……
ペロペロと舐めだした。そのままディープキスされそうな勢いだ。よく見ると笑顔っぽいし(犬の感情なんて判んねぇけど)尻尾振ってやがる。肩掴まれて首元にこられたときには、殺られるって本気で思ったぜ。一応、ここん家の家族を分捕ってくアウェイな訳だし。獣は人間よりそういうことに数段敏感らしいからな。
「ミランダ、こらっ止めなさい! Sit!」
薫にそう怒鳴られて、巨大な毛玉もとい、ミランダは渋々と薫の前にちんと座った。しかし、熱烈歓迎の意志は示したいのか、はぁはぁ言いながら尻尾だけはまだ振っている。
そこに薫の母親らしき女性が玄関に現れた。薫の外人度をさらに上げた感じで、小紋をを小ぎれいに着こなした姿は、どっかの旅館の名物女将っぽい。彼女は、
「あらぁ、ミランダちゃんも女の子ねぇ、イケメンはわかるのね」
と言ってミランダの頭を撫でた。
「顔じゃないわよ、鮎川あんたサラミ食べたでしょ」
「ああ、正確に言えば、サラミの乗っかったピザをな」
50日も留守にしてるんだ、冷蔵庫にあったもんは調味料をのぞけば全滅、かろうじてフリーザーに残ってた冷凍ピザだけしか食うもんがなかったんだよ。昨日帰りがけにうっかりと買うのを忘れたんだ。でも、何でそれがサラミだって判るんだ? 薫は
「ママ、彼女は鮎川の胃の中のものに反応してるだけよ。ミランダ、いくら好きだってあんたサラミに反応しすぎ」
と言いながら俺を見上げてニヤリと笑うと、
「モテたんじゃなくて残念だったわね。この子サラミに目がないのよ」
と言った。バーカ、犬にモテたって嬉しかねぇよ。サラミに惚れてくれてありがとうだ。
まぁ、そのバカ犬のおかげで幾分緊張感が取れて、俺は通されたそれこそそこだけで俺のアパートの部屋の何倍あるんだっていうリビングで薫の父親を待った。
「やぁ、お待たせ。君が鮎川君?」
そして現れた薫の父親は、一人娘がかっさらわれるのだというのに、さっきのバカ犬も顔負けの満面の笑顔だ。
「初めまして、鮎川幸太郎です」
俺は一旦座っていたソファーから立ち上がって深々とお辞儀をする。
「谷山紀文です。退院おめでとう」
「ありがとうございます」
俺は、礼を言った後、咳払いをして、いきなり本題をきりだした。
「今日はですね、お嬢さんと結婚を前提におつ……」
しかし、紀文氏は俺の口上が終わらない内に、
「そんな堅いことは抜き抜き。鮎川君薫と結婚したいんでしょ。どうぞどうぞ、こんな面倒臭いので良かったら、是非」
と、さっさと俺たちの結婚を承諾してしちまったのだ。それにしてもノリ軽っ! しかもトドメに、
「いやぁ、君がずっと眠ったままだったらどうしようかと思ってたんだよ。それでも生きてるんだから、そちらのご両親に承諾もらって病床で式だけ挙げようかとか」
とまで言う。こっちが言い出す前に親公認なのも何だかなんだが、意識のない奴と結婚させようだなんて、どんだけ薫を追い出したいんだか。ホントに血つながってんのか? 母親の外人的要素の方が際だって、いまいち判んねぇぞ。
「パパ!」
さすがにその発言にブチ切れて薫が思いっ切り父親を睨む。
「じょ、冗談だよ、薫。さすがに眠ったままの人間を後継者にするなんてお義父さんが許さないさ。でもね、私は嬉しいんだよ。大事な娘を絵描きになぞやるんじゃなかったって、そりゃ肩身の狭い思いをしてきたんだから」
まぁな、父親としちゃいくら金取れるってったって、絵描きなんて次売れるか売れねぇか分かんねぇヤクザな商売認められねぇよな、当の会長は結構でけぇ会社のTOPな訳だし。解るよ、何か一カ所聞き捨てならねぇ事聞いた気もするけど、取りあえず薫の親の反対はないってことだな。
――ピンポ~ン――
その時、インターフォンがなったかと思うと、だだだだっと廊下を走る音がして、
「間に合った? 僕、間に合った?」
と飛び込んできたのは、我が社の社長、櫟原武氏。しばらくして、もそもそっと絵梨紗も入ってきた。
じゃぁ、ここからご挨拶第二ラウンド突入ってか?
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