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同じ重さの……(前編)
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衛と博美が結婚して8ヶ月が経った。
「テラさん、今日飲みに行かね?」
そう言ったのは、堀木俊樹だ。
「いや、止めとくよ。博美が待ってる」
「最近、付き合い悪いっすね」
「俊樹とここそ子供が生まれたんだろ。お前こそ、早く帰らなくていいのか」
「いいんですよ、俺なんかいなくたって」
衛の一言に、俊樹はぶすっとふくれっ面で答えた。高卒でこの会社に入った彼は、つい最近中学の時の同級生、智佳子と結婚した。
「どうせ、愛花は親父たちのオモチャなんすから。風呂から抱っこまで俺の入る隙なんてないんです」
「何だそれ」
「デキ婚なんてカッコ悪くて親戚にも顔向けできないとか言って反対しときながら、愛花が生まれたらころっと宗旨替えしてベタ甘なんすから。愛花はねぇ、俺と智佳ちゃんとの娘ですよ。親父と言えど、男に触らせる筋合いはないっすよ」
-*-*-*-
「な、親バカだというのか、何て言うのか……結局俊樹だって同じ穴のムジナだと思わないか」
帰宅後、衛は笑いながら博美にその話をした。
「俺もさ、子供が生まれたらあんな風になっちまうのかな。ま、博美に似た女の子なら絶対にそうなるかもな」
妻の手料理に舌鼓を打ちながら上機嫌に話す衛には、差し出したお代わりの茶碗にご飯をつぎに行った妻がこっそりと涙を拭いていたのに気付かなかった。
「テラさん、今日飲みに行かね?」
そう言ったのは、堀木俊樹だ。
「いや、止めとくよ。博美が待ってる」
「最近、付き合い悪いっすね」
「俊樹とここそ子供が生まれたんだろ。お前こそ、早く帰らなくていいのか」
「いいんですよ、俺なんかいなくたって」
衛の一言に、俊樹はぶすっとふくれっ面で答えた。高卒でこの会社に入った彼は、つい最近中学の時の同級生、智佳子と結婚した。
「どうせ、愛花は親父たちのオモチャなんすから。風呂から抱っこまで俺の入る隙なんてないんです」
「何だそれ」
「デキ婚なんてカッコ悪くて親戚にも顔向けできないとか言って反対しときながら、愛花が生まれたらころっと宗旨替えしてベタ甘なんすから。愛花はねぇ、俺と智佳ちゃんとの娘ですよ。親父と言えど、男に触らせる筋合いはないっすよ」
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「な、親バカだというのか、何て言うのか……結局俊樹だって同じ穴のムジナだと思わないか」
帰宅後、衛は笑いながら博美にその話をした。
「俺もさ、子供が生まれたらあんな風になっちまうのかな。ま、博美に似た女の子なら絶対にそうなるかもな」
妻の手料理に舌鼓を打ちながら上機嫌に話す衛には、差し出したお代わりの茶碗にご飯をつぎに行った妻がこっそりと涙を拭いていたのに気付かなかった。
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