異世界転生モノの主人公に転生したけどせっかくだからBルートを選んでみる。

kaonohito

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第7話 それでも運命の糸は交錯する。

Chapter-23

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 おい…………

 おいおいおいおい!

 こんなのってありかよ!?

 これは反則だろう!?

「お祖父様、私は、自分の道は自分で拓いてみせると言ったはずです。このような真似は、お止めください!」

 ツカツカと、セニールダー主席宣教師の元に突き進んできて、気丈に言う、その姿に、

 俺の目は、釘付けになってしまっていた。

 ショートカット、その割にボリューミーなもみあげ。

 ネコ科を思わせる、ツリ目だが、ぱっちりとした大きな瞳。

 そして、その見た目に反しない、強気な態度。

「申し訳ありません、バックエショフ殿。祖父が失礼をいたしましたこと、お詫びいたします」

 そのは、祖父である主席宣教師を一喝した後、俺に向かって、そう言って、ぺこり、と謝罪するために頭を下げた。

 はっきり言う。

 好みだ。

 タイプだ。

 俺の琴線鳴らしまくりだ!

「あ、あの!」

 思わず、俺は声に出していた。

「はい?」

 顔を上げたその娘が、キョトン、と、俺を見てくる。パッチリしたツリ目が、くりくりっと動いて、俺の方に視線を向けてくる。

「よろしければ、お名前を伺っても……?」

 何やってんだ、俺。

 これじゃ、ナンパじゃねーのか?

「そうですね、失礼しました。私は、ミーラ・プリムス・セニールダー。この、ルイス・モーリス・セニールダーの、孫です」

 そう言って、口元で笑う。

 可愛い。

 メチャメチャ可愛い。

「いやはや、失礼しました、バックエショフ殿」

 祖父の方、主席宣教師が、俺になにか言ってくるが、俺の視線は、ミーラの一挙手一投足を、追ってしまっていた。

「若い女の身で、クルセイダー教化騎士など目指しておりましてな。今は冒険者養成学校に通ってまでおるのですよ」

 なん……だと……

「良縁があればと、思ったのですが……」

 クルセイダー? つまり、フィジカル系も?

「すみません」

 俺は、思わずミーラに問いかけていた。

「先程、冒険者養成学校と、主席宣教師は仰られていたようですが、武術の方も?」

「はい、まだ、修練途上の身ですが、メイス術でしたら、自信はあります」

 力強く、口元で笑って、ミーラはそう言った。

 フィジカル系も行ける、強気系女子、見た目もドンピシャ。

 俺はね、程々の美少女なだけではだめだと言ったんだ。

 こりゃ、パーフェクトじゃないか。

 俺の好みから言えば、キャロやエミも、文句なしのストライクだ。

 だが、目の前のミーラは、言ってしまえば、ど真ン中のストレート。

 お近づきに、なりたい。

 けど、俺は……俺は、もう…………っ


「はぁ…………」

 本洗礼を受けた新教派の教会から、ローチ家の帝都屋敷に帰ってきて、俺が、宛てがわれている部屋。

 俺は、帰ってくるなり、ベッドに突っ伏して、それから、何度も溜息をついていた。

 キャロやエミ、ジャックは、それぞれの用で出かけたまま、まだ帰ってきていない。

 正直、ミーラとお近づきになりたい。
 でも、キャロやエミを裏切るような真似も、今更したくない。
 そもそも、ここまで、ハーレムルートを、回避し続けてきた意味は、一体何だったのかって話にもなる。

 けど……

「はぁ…………」

 何度目かの、やるせない溜息をついた時。

 コンコン

「アルヴィン、いるんでしょう? 入るわよ?」

 ビクーッ

 ノックと共に聞こえてきた、キャロの声に、俺は、思わず身が縮み上がるような思いをしていた。

「って……どうしたのよ?」

 ノックこそしたものの、こちらの返事をまたずに踏み込んできたキャロは、俺がベッドの上で奇妙なポーズになっているのを見て、怪訝そうな声を上げた。

「い、いや……」

 このポーズそのものは、俺自身も一体どうしてこんな事したんだか答えられず、困惑の声を出すしかなかった。

「アルヴィン」

 キャロに続いて、エミも入ってきた。

「兄上や義姉あね上も心配していた……帰ってきてから、ずっと、塞ぎ込んでいるようだって」

 塞ぎ込んでいる……そうか、そう見えていたか。まぁ、無理もないよな。

「一体どうしたっていうのよ、そんなに困っていることがあるなら、私達に打ち明けてご覧なさいよ」

 キャロは、そう言ってくれるが。

 言えないよな………………いや。

「私達仲間でしょ? それとも、私達なら信用できるって、あれは、言葉だけだったの?」

 違うんだ、キャロ……キャロ達の俺に対する信頼を、俺が、踏みにじっているんだ。

 そうだ……だから、もう、終わりにしよう。
 所詮、俺にハーレム主人公なんて。
 そんなリア充人生、無理だったんだ。
 終わりにして、ひっそりと、暮らそう…………

 俺は……────


 2人に、経緯を話した。


「はぁ?」

 キャロは、俺の説明を聞くなり、表情を歪ませて、不機嫌そうな声を上げた。

「すまない……俺は、最低だ」

「いや……何言ってんのよ」

 そうだよ、何言ってんだ…………

 ……って、へ?

 なんか、様子が、俺の予想していたのと、少し、違う?

「あなたねぇ、成りたてとは言え、もう準男爵なのよ? 多少の好き勝手は、許される身分なのよ?」

 キャロは、なんか、俺が2人に対してストイックであろうとしたことを、咎めているようだった。

「いや、まぁ、そうかも知れないけど……」

「じゃあ、聞くけど」

 今度は、エミが言ってくる。

「キャロか、私かを選んだとして、その後、アルヴィンは、もう片方とは、お別れするつもりでいたの?」

「え、あ、いや……それは……」

「どっちを選んでも、もう片方もなんとなくついてきてくれる……そう思っていたんじゃない?」

「それは…………」

 まずいな、確かに、図星だ。

「ほら。結局最初からそう考えていたんじゃない」

 キャロが、すかさずツッコむように言ってくる。

「それが、2人が3人になる程度、今更、なによ。私達を捨てるっていうんならね、そりゃ私達も、考えることもあるでしょうけど、そうじゃないんだったら、別にいいじゃない」

 なぜか、キャロは、怒るように、そんな事を言ってきた。

 それから、仕方ないわね、と言う感じで、穏やかに苦笑する。

「アルヴィンは、今度は、気ままに生きたかったんでしょ?」

「それは、まぁ……そうだけど……」

「だったら、いいじゃない、気ままに生きれば。私達は、それでいいって言ってるんだから。苦しむ必要、ないでしょ?」

 やれやれといった感じで、キャロはそう言ってくる。

「…………」

「条件」

 エミが、俺を指して、そう言った。

「え?」

 間の抜けたような声を出してしまった俺に、エミが、言う。

「そののこと、私達にも、紹介すること。そして、その娘に、私達のことも、紹介すること」

「そうね、それだけは、譲れない線だわ」

 キャロも、腕組みをして、そう言った。

「解った」

 俺は、そう言ってから、

「ありがとう、2人とも」

 そう、深く、頭を下げていた。
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