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第1話 練習艦隊攻撃さる これは演習に非ず
Chapter-06
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大日本帝国海軍、MI作戦 主力部隊主体。
連合艦隊旗艦 戦艦『大和』。司令部公室。
「第一機動部隊司令部より入電です」
「うむ」
入室してきた通信員に対し、海図の広がった机を囲んでいた司令部要員のうち、連合艦隊司令長官 山本五十六大将が、促すようにそう言った。
「〇八二〇の攻撃隊の損傷機が、不明編隊の母艦に着艦。その中に攻撃隊長小林道雄大尉を含む。これにより不明艦隊の内情を確認。大型空母2、小型空母1、重巡洋艦2、軽巡洋艦2、機帆併用型の巡洋艦2、練習船1、その他駆逐艦等16。ただし、大型空母1は艦尾損傷により航空機運用能力喪失中。その他、練習船1隻、米軍攻撃隊の攻撃により轟沈との事」
「米軍に攻撃されたので反撃した、というところか……多少過敏な気はするが……」
そこまで報告を受けたところで、参謀長・宇垣纒少将が呟くように言った。
「続けてくれ」
通信員の言葉が止まったしまった事に気づいた宇垣は、そう言って続きを促す。
「その艦隊の所属なのですが、チハーキュ帝国海軍、と名乗っており……ええ……」
そこまで読み上げつつ、その先の文面を見て、通信員も困惑した表情になる。
「異世界より来たとの事」
「異世界ぃ!?」
思わずといった感じで、誰かが声を上げた。
「些か荒唐無稽ですが、確かにそれ以外、説明がつきませんな」
先任参謀(首席参謀とも言う)、黒島亀人大佐が言う。エキセントリックな言動と、奇抜な発想をすることから、「変人」「先任参謀ならぬ仙人参謀」とも呼ばれる彼は、山本長官のお気に入りでもあった。
「また、突飛なことを……」
作戦参謀、三和義勇大佐が、口元で苦笑するようにしながら言った。彼もまた山本が請うて作戦参謀となったが、黒島の方は彼を牽制しがちだった。ただ、三和の方はそのような意識は持っていない。
「いや、むしろ現実的に考えて頂きたい」
少し語気を強めて、黒島が言う。
「大型空母を建造、保有している国は我が国、米国、英国の3ヶ国のみ。他に建造できる能力があるとすれば、ドイツ、イタリア、ソビエトだが、戦況から考えて、いきなり太平洋のど真ん中に、その機動部隊が出現するとは考えにくい。それに、英国やソビエトであるのなら、米軍が攻撃する、あるいは相手がそれに反撃する理由が見当たりません」
「消去法でそう説明するしかないと……」
黒島の説明を聞いて、山本が呟くように言った。
「そうなります」
「問題は ────」
戦務参謀、渡辺安次中佐が口を開く。
「── この艦隊に対して、どのような扱いをするか、という事になるかと思いますが」
「今この場で敵対するのは避けるべきです」
渡辺中佐の言葉を受けた黒島が、そう強く断言しつつ、山本の方を向いた。
「未だ憶測の域を出ないとは言え、少なくともこの艦隊と米軍が交戦状態にある現状は、米空母を一掃する千載一遇の機会! これを逃す手はありません! 長官!」
黒島はそう言ってまくし立て、山本の判断を仰ぐ。
「うむ。南雲君達には、一先ずは歓待せよと伝えてくれ。ただし、後の判断は東京に任せるとも」
「はっ」
「それと、東京には、判断について状況の整理がもう少し進むまで待つようにと」
「了解しました」
山本が指示すると、三和が立ち上がり、通信員と一緒に司令部公室を出ていった。
「……宇垣君は、特に異論がないかね?」
なんの気まぐれか、山本が宇垣に意見を求めた。
山本は、黒島らお気に入りの参謀達を重用する一方で、宇垣を遠ざけたがる傾向にあった。
宇垣は、傲慢かつ冷淡な人間と見做される事がある。官僚組織の極地たる海軍において優秀な公務員ではあったが、それ以上を求められると非凡な才の持ち主とは言えなかった。
これに、日独伊三国軍事同盟締結決定時の、山本と宇垣それぞれの立場が加わって、2人には元々溝があった。
また、航空主兵主義を唱える山本らに対し、宇垣は大砲屋、大艦巨砲主義者だったことも、この不仲の要因であるともされる。
「私も先任参謀の意見に概ね同意です……ただ、ひとつばかり気になる事がありますな」
「ふむ? 気になる事とは?」
山本が、おやっと言う様子で、宇垣に意見を促した。
「その艦隊がどうやってここに来たのか、です」
宇垣の言葉に、他の参謀達がざわついた。
「それは、参謀長はこの艦隊が異世界から来たという事について、懐疑的であると?」
黒島が、僅かに眉を顰めるようにしながら問いかける。
「いや、その事ではない……そう考える部分もあるのは事実だが、今、私が言っているのは、より物理的な事だ」
「と、言いますと?」
渡辺が、聞き返す言葉を発した。
「異世界から来た、その真偽はさておくとしても、しかし、アメリカの空母を攻撃し、我が方の艦載機を収容したということは、これは幻のような存在ではない……と言うことは、何処かからやってきたということだ。間違いなく、物理的に、この艦隊が来た場所、チハーキュ帝国という場所と、太平洋が繋がっていたと言うことだ」
「──── そう言うことか!!」
宇垣の言葉に、山本が目を見開き、声を上げた。
「チハーキュ帝国という国家がどこかに存在するのなら、それは少なくとも、日本程度に国力のある存在、ということになるのか!」
「はい。同時に、大規模な海軍を動かすための、石油、あるいは何らかの燃料の資源を持っているはずです」
むしろ、そこまでは考えていなかったと、黒島達参謀が宇垣を見ながら、どよめく。
「この戦争の先行きを考える時、もはや神仏にも縋りたいというのが、帝国海軍の誰しも否定できないでしょう。もはや異世界にある国家でもいい、アメリカと渡り合ってくれるのであれば味方として遇する以外、日本に選択肢はないのです」
「お互い交戦してしまっている以上、このまま矛を収める可能性は低い……うまくすれば、日本にも有利な形で戦争を終わらせることができるかも知れない!」
宇垣の言葉に、山本も、僅かな興奮を伴って、そう言った。
チハーキュ帝国海軍、練習任務艦隊。
空母『トヨカムネア』、飛行甲板上。
「アサギリー」
他の手空きの搭乗員とともに、アサギリが、並走する日本艦隊を見ていると、ミラが声をかけてきた。
「何?」
「ホワイトアローの整備班長からクレーム」
「私に?」
ミラの答えを聞いて、アサギリは不思議そうに聞き返す。
「そう。『軍服着て真面目に仕事しろ』以上よ」
「あちゃ……」
ミラからそう聞かされて、アサギリは、思わず、手で自分の顔を覆った。
「ニホン軍の搭乗員から質問があったそうよ。アンタみたいな格好で軍務についている者がいるのかって。恥だわ説明するのが大変だわって、かなり迷惑したみたい。次やってんの見たら、正式に軍務規定違反で報告するって」
「反省しまーす……」
本当に反省しているんだかいないんだか、沈んだような低い声ながらも、どこか適当そうな口調で言った。
「それにしても、向こうさんは戦艦付きか」
ミラが、自身も、そのシルエットが一瞥できる位置を並走している戦艦を見て、呟いた。
「チハーキュのシルヴァーナ級より、少し小さいかねぇ……」
「そんなところじゃない?」
ミラは呟くように言ったが、アサギリが同意の声を出した。
「砲塔はひとつ多いけど」
シルヴァーナ級戦艦は、45口径40cm主砲を前部に連装2基、後部に3連装1基搭載して、基準排水量36,200トン。
それに比べると、主砲塔が1基多い、連装で前後2基ずつの4基となっているものの、その主砲自体からして、シルヴァーナ級より一回り小さい、と、アサギリ達の目には、その戦艦 ──── 戦艦『榛名』は見えていた。
「で? 合流したはいいけど、追撃しないのかね? まだ敵の空母残ってるんでしょ?」
アサギリは、どこか鬱屈したような態度と口調で言う。
「もう満身創痍らしいけどねー」
「え、そうなの!?」
ミラの答えに、アサギリは驚きの声を出した。
「こっちがさ、コバヤシ大尉達をなんとか着艦させるってんで騒いでた時、ニホン艦隊はもう次の攻撃隊出してたんだよ」
ミラが、苦笑交じりに言う。
友永丈市大尉指揮、32機の日本攻撃隊第2波が米空母部隊上空に到達した時、ホーネットは大火災に包まれて漂流状態であり、ヨークタウンは波間に消えようとしていた。
TF16とTF17は、日本艦隊への攻撃隊発進の直前まで別々に行動していたが、チハーキュ攻撃隊が上空に現れた頃には合流していた。その後、航空戦全般の指揮を執っていた、フランク・ジャック・フレッチャー中将率いるTF17司令部は、旗艦であるヨークタウンに総員退艦が下り、指揮権をスプルーアンスのTF16司令部に移譲していた。そのときにはすでにホーネットも絶望的な状況だった。
── 我々は、少なくとも2隻か3隻の日本空母を撃破したはずだ。
最後の健在空母となったエンタープライズの戦闘指揮所で、スプルーアンスは自問する。
── 何かが、我々の計算を狂わせる、何か大きな出来事が起こっている!!
日本機ではない、しかし日本と酷似した国籍表示を着けている航空機編隊による自艦隊への攻撃、そして、日本軍の、早すぎ、且つ、大きすぎる反撃。
日本艦隊に与えた打撃が、報告通りなのだとしたら、その反撃能力が大きすぎる。
ただ、それだけなら往々にしてあることだ。米軍も戦果の評価は絶対ではない。特に、この戦いのように緊迫している状況に置かれれば、誤報告はいくらでもあり得る。
だが、それと同時に、正体不明の編隊の攻撃を受けた、これが問題だった。
── 我々は、本当に、日本以外の第三国の艦隊を攻撃してしまったのか……?
それが、どこに存在している何と言う国なのか、という点について目を瞑れば、唯一合理的な説明がつく。
交戦状態の関係にない国の艦隊が、一方的に攻撃を受け、数隻の軍艦を失ったのだとすれば、怒り狂って反撃してきたとしてもそれは不可解と言える程ではない。
「だとすればそれは、私のミスだ…………」
スプルーアンスは、実際に声に出して言い、顔を手で覆いかけた。
「司令官!」
切迫した声が、連続する射撃音、炸裂音とともに、スプルーアンスの意識を現実へと引き戻す。
「日本機、攻撃態勢に入ります! 上空直掩機、押し止められません!!」
部下が悲鳴のような声を上げる。
レーダーに捉えられた日本機の新手に、すでに戦闘機隊に迎撃指示が出ていたが、F4Fを失いすぎていた。この時、飛んでいるCAPはわずか4機だった。
「全隊作戦中止! 作戦は失敗だ! 日本艦隊は阻止できない!!」
スプルーアンスは決断を下した。
正体不明の何者かは日本語を解する。攻撃行動が一段落した後、仮に日本艦隊とこの勢力が合流すれば、もはや空母はエンタープライズのみとなった自軍が戦場を覆すことはできない。ならば、今は、エンタープライズだけでも浮いて戻さなければならなかった。
「日本軍の攻撃終了後、直ちに東へ退避し、そのまま撤収する!」
ゴワッ!!
スプルーアンスの号令の直後、エンタープライズの甲板に日本軍の二五番通常爆弾(大日本帝国海軍では、その本領から対艦攻撃用爆弾をこう称した)が命中し、炸裂した。
「エンタープライズ型空母1隻、撃沈確実」
攻撃隊を率いていた友永大尉は、エンタープライズに4発の爆弾、2本の魚雷が命中したのを目視して、そう打電していた。
「そう言うわけで、今、私達は緊急事態に備えつつ、無理な矢継ぎ早の攻撃隊出撃を控えているわけ」
「いいのかなぁ……ニホン軍だって地上攻撃からの再出撃だったんでしょ、それ……」
ミラの説明に、アサギリは少し呆れ混じりに言う。
「アンタやハンシーやフジタはいいよ。でもそれ以外はさ」
「ああ……そうか」
ミラに追加の説明をされて、アサギリは、完全に納得は行っていないものの、しかいないか、ぐらいの反応をした。
元々練習航海である。搭乗員も、規定のカリキュラムを終えたばかりの者が多かった。余計な緊張を与えると、事故でも起こしかねない。トヨカムネアが航空機運用不可能になったら、それ以上はどうにもならなくなってしまう。
「それで、この後我々がどうすればいいのか、共同作戦を行うにしても、ニホンの後方へ下がるにしても、綿密な打ち合わせってやつが必要になるでしょう?」
「それで、上の方が打ち合わせ中…………」
「そ、ミネルヴィアで」
「え゙っ!?」
ミラの説明に、アサギリが驚いたように声を出す。
「向こうさんが、こっちに来てるの? あっちの方が規模大きそうなのに!?」
「皇女殿下への表敬と、それと、こっちに確認したいことがあるんだって」
重巡洋艦『ミネルヴィア』。
司令部公室。
「チハーキュ帝国海軍、マデリン・グレイス・ローレンス少将です」
「大日本帝国海軍、南雲忠一中将です」
お互い最敬礼から、自己紹介、自身の参謀の紹介をし、それもそこそこに、司令部公室の机の前に、日本軍の指揮官達が案内されてきた。
その机の上に、3つの物が置かれている。
「そちらのお求めに応じて、用意させていただいたサンプルです」
マデリンが示すそれは、薄く琥珀がかった液体、ドロリと粘度のある黒い液体、それに、黒い塊だった。
「確認させていただいたよろしいでしょうか?」
「はい」
南雲が訊ね、マデリンがそう答えると、南雲達に同行していた日本軍の技術士官が、そのサンプルに手を伸ばす。
液体の2つは、容器の中の様子を観察しつつ、そっと蓋を開けて匂いを嗅ぐ。最後の塊は、直接触れてその感触を確かめた。
「間違いありません」
技術士官は、南雲達にそう言った。
ミネルヴィアのスタッフが、日本の技術士官に手拭きを手渡した。
「失礼ですが、これらの原料について、お尋ねしても?」
「はい。液体のものは、こちらを重油 ────」
南雲に問いかけられ、マデリンは、まず、黒い液体の入った器を持ち上げてそう言い、次に、淡い琥珀色の液体の器を持ち上げる。
「こちらをガソリンと呼んでいます。どちらも、石油と言って、古い地層に含まれている可燃性の液体を原料としています」
そう説明してから、マデリンは、次に黒い塊の容器を示す。
「これは石炭と言って、分布が違いますが、やはり古い地層に含まれている可燃性の鉱石です。ガソリンは主に航空機や……えぇと、自動車という地上の乗り物の内燃機関に使われています。艦船にはこちらの、重油や石炭を使っています」
「なるほど。少将、説明感謝いたします」
マデリンの説明が一段落したと判断して、南雲はそう言った。
「して、現在は、そちらの本国とは?」
南雲が訊ねると、マデリンは神妙な面持ちで首を横に振った。
「残念ながら……通信設備の機能自体は、艦隊内で確認しているので、問題ないはずですが、本国はもちろん、私達の知っている外国局も反応がありません」
「なるほど……実は、我々の上級司令部より、貴国とどうにか連絡ができないか、という問い合わせが来ているのです」
「…………────」
南雲の参謀長である、草鹿龍之介少将が問いかけると、マデリンは少し逡巡した。
「申し訳ありません、現状は、なんとも……無論、この艦隊を預かる身として、その努力を怠るわけには行きません。ただ、燃料や弾薬、食料にも限りがあり……」
「…………もし、我々がそれに対して協力する用意がある、と言ったら?」
マデリンが、困惑顔で、消沈して言葉を失うかのように途切れさせると、草鹿が唇の端を吊り上げながら、問いかけるように提案する。
それを聞いたマデリンの顔が、一転、鋭い眼光が戻ってくる。
「!」
草鹿も、南雲もそれに気付いた。
「…………それは、我が国からの見返りを求めての行為ですね?」
「…………」
「…………正直に言いましょう。その通りです」
答えを迷った草鹿を制して、南雲がそう言った。
「我々は現在、あなた方も知っている敵国と戦っている……途方もない敵と……貴国が恩に感じて頂ける範囲で構わないのです。どうか支援をいただけるのなら……と……」
苦しそうな表情で、南雲が言う。
マデリンは、一度、視線を床に這わせて逡巡するように見せてから、視線を上げ直す。
「支援、だけで済む話ではありません」
「え?」
「私達は攻撃を受けた。そして、反撃した。これは既に、私達もまた、その国と交戦当事国同士である、と見做せるでしょう」
「そ、それは……」
「手違いなのか故意なのかは関係ない。私達に対して事実上の先制奇襲攻撃を行ったのだから、何らかの形で責任を取らせなければなりません。当然、本国にはそのように伝えることになり、政府には相応の対応を求めることになるでしょう。私達がエボールグに帰ってそれで終わり、という事態ではないのではないかと思います」
「それは…………」
返って面食らったように、南雲や草鹿が、周囲の日本軍高官と顔を見合わせる。
「私見ではありますが、少将の言われるとおりかも知れません」
南雲が、手振りを加えつつそう言った。
「ところで……────」
マデリンが表情を険しい表情のまま、訊ねる。
「私達の“敵”について、改めて説明願えますでしょうか? 失礼、ざっくりとした内容はコバヤシ大尉達からも聞かせていただいてはいるのですが」
「はい……それは……」
南雲が説明しようとする横で、草鹿がゴクリと喉を鳴らした。
「アメリカ合衆国……世界最大の共和制国家です」
連合艦隊旗艦 戦艦『大和』。司令部公室。
「第一機動部隊司令部より入電です」
「うむ」
入室してきた通信員に対し、海図の広がった机を囲んでいた司令部要員のうち、連合艦隊司令長官 山本五十六大将が、促すようにそう言った。
「〇八二〇の攻撃隊の損傷機が、不明編隊の母艦に着艦。その中に攻撃隊長小林道雄大尉を含む。これにより不明艦隊の内情を確認。大型空母2、小型空母1、重巡洋艦2、軽巡洋艦2、機帆併用型の巡洋艦2、練習船1、その他駆逐艦等16。ただし、大型空母1は艦尾損傷により航空機運用能力喪失中。その他、練習船1隻、米軍攻撃隊の攻撃により轟沈との事」
「米軍に攻撃されたので反撃した、というところか……多少過敏な気はするが……」
そこまで報告を受けたところで、参謀長・宇垣纒少将が呟くように言った。
「続けてくれ」
通信員の言葉が止まったしまった事に気づいた宇垣は、そう言って続きを促す。
「その艦隊の所属なのですが、チハーキュ帝国海軍、と名乗っており……ええ……」
そこまで読み上げつつ、その先の文面を見て、通信員も困惑した表情になる。
「異世界より来たとの事」
「異世界ぃ!?」
思わずといった感じで、誰かが声を上げた。
「些か荒唐無稽ですが、確かにそれ以外、説明がつきませんな」
先任参謀(首席参謀とも言う)、黒島亀人大佐が言う。エキセントリックな言動と、奇抜な発想をすることから、「変人」「先任参謀ならぬ仙人参謀」とも呼ばれる彼は、山本長官のお気に入りでもあった。
「また、突飛なことを……」
作戦参謀、三和義勇大佐が、口元で苦笑するようにしながら言った。彼もまた山本が請うて作戦参謀となったが、黒島の方は彼を牽制しがちだった。ただ、三和の方はそのような意識は持っていない。
「いや、むしろ現実的に考えて頂きたい」
少し語気を強めて、黒島が言う。
「大型空母を建造、保有している国は我が国、米国、英国の3ヶ国のみ。他に建造できる能力があるとすれば、ドイツ、イタリア、ソビエトだが、戦況から考えて、いきなり太平洋のど真ん中に、その機動部隊が出現するとは考えにくい。それに、英国やソビエトであるのなら、米軍が攻撃する、あるいは相手がそれに反撃する理由が見当たりません」
「消去法でそう説明するしかないと……」
黒島の説明を聞いて、山本が呟くように言った。
「そうなります」
「問題は ────」
戦務参謀、渡辺安次中佐が口を開く。
「── この艦隊に対して、どのような扱いをするか、という事になるかと思いますが」
「今この場で敵対するのは避けるべきです」
渡辺中佐の言葉を受けた黒島が、そう強く断言しつつ、山本の方を向いた。
「未だ憶測の域を出ないとは言え、少なくともこの艦隊と米軍が交戦状態にある現状は、米空母を一掃する千載一遇の機会! これを逃す手はありません! 長官!」
黒島はそう言ってまくし立て、山本の判断を仰ぐ。
「うむ。南雲君達には、一先ずは歓待せよと伝えてくれ。ただし、後の判断は東京に任せるとも」
「はっ」
「それと、東京には、判断について状況の整理がもう少し進むまで待つようにと」
「了解しました」
山本が指示すると、三和が立ち上がり、通信員と一緒に司令部公室を出ていった。
「……宇垣君は、特に異論がないかね?」
なんの気まぐれか、山本が宇垣に意見を求めた。
山本は、黒島らお気に入りの参謀達を重用する一方で、宇垣を遠ざけたがる傾向にあった。
宇垣は、傲慢かつ冷淡な人間と見做される事がある。官僚組織の極地たる海軍において優秀な公務員ではあったが、それ以上を求められると非凡な才の持ち主とは言えなかった。
これに、日独伊三国軍事同盟締結決定時の、山本と宇垣それぞれの立場が加わって、2人には元々溝があった。
また、航空主兵主義を唱える山本らに対し、宇垣は大砲屋、大艦巨砲主義者だったことも、この不仲の要因であるともされる。
「私も先任参謀の意見に概ね同意です……ただ、ひとつばかり気になる事がありますな」
「ふむ? 気になる事とは?」
山本が、おやっと言う様子で、宇垣に意見を促した。
「その艦隊がどうやってここに来たのか、です」
宇垣の言葉に、他の参謀達がざわついた。
「それは、参謀長はこの艦隊が異世界から来たという事について、懐疑的であると?」
黒島が、僅かに眉を顰めるようにしながら問いかける。
「いや、その事ではない……そう考える部分もあるのは事実だが、今、私が言っているのは、より物理的な事だ」
「と、言いますと?」
渡辺が、聞き返す言葉を発した。
「異世界から来た、その真偽はさておくとしても、しかし、アメリカの空母を攻撃し、我が方の艦載機を収容したということは、これは幻のような存在ではない……と言うことは、何処かからやってきたということだ。間違いなく、物理的に、この艦隊が来た場所、チハーキュ帝国という場所と、太平洋が繋がっていたと言うことだ」
「──── そう言うことか!!」
宇垣の言葉に、山本が目を見開き、声を上げた。
「チハーキュ帝国という国家がどこかに存在するのなら、それは少なくとも、日本程度に国力のある存在、ということになるのか!」
「はい。同時に、大規模な海軍を動かすための、石油、あるいは何らかの燃料の資源を持っているはずです」
むしろ、そこまでは考えていなかったと、黒島達参謀が宇垣を見ながら、どよめく。
「この戦争の先行きを考える時、もはや神仏にも縋りたいというのが、帝国海軍の誰しも否定できないでしょう。もはや異世界にある国家でもいい、アメリカと渡り合ってくれるのであれば味方として遇する以外、日本に選択肢はないのです」
「お互い交戦してしまっている以上、このまま矛を収める可能性は低い……うまくすれば、日本にも有利な形で戦争を終わらせることができるかも知れない!」
宇垣の言葉に、山本も、僅かな興奮を伴って、そう言った。
チハーキュ帝国海軍、練習任務艦隊。
空母『トヨカムネア』、飛行甲板上。
「アサギリー」
他の手空きの搭乗員とともに、アサギリが、並走する日本艦隊を見ていると、ミラが声をかけてきた。
「何?」
「ホワイトアローの整備班長からクレーム」
「私に?」
ミラの答えを聞いて、アサギリは不思議そうに聞き返す。
「そう。『軍服着て真面目に仕事しろ』以上よ」
「あちゃ……」
ミラからそう聞かされて、アサギリは、思わず、手で自分の顔を覆った。
「ニホン軍の搭乗員から質問があったそうよ。アンタみたいな格好で軍務についている者がいるのかって。恥だわ説明するのが大変だわって、かなり迷惑したみたい。次やってんの見たら、正式に軍務規定違反で報告するって」
「反省しまーす……」
本当に反省しているんだかいないんだか、沈んだような低い声ながらも、どこか適当そうな口調で言った。
「それにしても、向こうさんは戦艦付きか」
ミラが、自身も、そのシルエットが一瞥できる位置を並走している戦艦を見て、呟いた。
「チハーキュのシルヴァーナ級より、少し小さいかねぇ……」
「そんなところじゃない?」
ミラは呟くように言ったが、アサギリが同意の声を出した。
「砲塔はひとつ多いけど」
シルヴァーナ級戦艦は、45口径40cm主砲を前部に連装2基、後部に3連装1基搭載して、基準排水量36,200トン。
それに比べると、主砲塔が1基多い、連装で前後2基ずつの4基となっているものの、その主砲自体からして、シルヴァーナ級より一回り小さい、と、アサギリ達の目には、その戦艦 ──── 戦艦『榛名』は見えていた。
「で? 合流したはいいけど、追撃しないのかね? まだ敵の空母残ってるんでしょ?」
アサギリは、どこか鬱屈したような態度と口調で言う。
「もう満身創痍らしいけどねー」
「え、そうなの!?」
ミラの答えに、アサギリは驚きの声を出した。
「こっちがさ、コバヤシ大尉達をなんとか着艦させるってんで騒いでた時、ニホン艦隊はもう次の攻撃隊出してたんだよ」
ミラが、苦笑交じりに言う。
友永丈市大尉指揮、32機の日本攻撃隊第2波が米空母部隊上空に到達した時、ホーネットは大火災に包まれて漂流状態であり、ヨークタウンは波間に消えようとしていた。
TF16とTF17は、日本艦隊への攻撃隊発進の直前まで別々に行動していたが、チハーキュ攻撃隊が上空に現れた頃には合流していた。その後、航空戦全般の指揮を執っていた、フランク・ジャック・フレッチャー中将率いるTF17司令部は、旗艦であるヨークタウンに総員退艦が下り、指揮権をスプルーアンスのTF16司令部に移譲していた。そのときにはすでにホーネットも絶望的な状況だった。
── 我々は、少なくとも2隻か3隻の日本空母を撃破したはずだ。
最後の健在空母となったエンタープライズの戦闘指揮所で、スプルーアンスは自問する。
── 何かが、我々の計算を狂わせる、何か大きな出来事が起こっている!!
日本機ではない、しかし日本と酷似した国籍表示を着けている航空機編隊による自艦隊への攻撃、そして、日本軍の、早すぎ、且つ、大きすぎる反撃。
日本艦隊に与えた打撃が、報告通りなのだとしたら、その反撃能力が大きすぎる。
ただ、それだけなら往々にしてあることだ。米軍も戦果の評価は絶対ではない。特に、この戦いのように緊迫している状況に置かれれば、誤報告はいくらでもあり得る。
だが、それと同時に、正体不明の編隊の攻撃を受けた、これが問題だった。
── 我々は、本当に、日本以外の第三国の艦隊を攻撃してしまったのか……?
それが、どこに存在している何と言う国なのか、という点について目を瞑れば、唯一合理的な説明がつく。
交戦状態の関係にない国の艦隊が、一方的に攻撃を受け、数隻の軍艦を失ったのだとすれば、怒り狂って反撃してきたとしてもそれは不可解と言える程ではない。
「だとすればそれは、私のミスだ…………」
スプルーアンスは、実際に声に出して言い、顔を手で覆いかけた。
「司令官!」
切迫した声が、連続する射撃音、炸裂音とともに、スプルーアンスの意識を現実へと引き戻す。
「日本機、攻撃態勢に入ります! 上空直掩機、押し止められません!!」
部下が悲鳴のような声を上げる。
レーダーに捉えられた日本機の新手に、すでに戦闘機隊に迎撃指示が出ていたが、F4Fを失いすぎていた。この時、飛んでいるCAPはわずか4機だった。
「全隊作戦中止! 作戦は失敗だ! 日本艦隊は阻止できない!!」
スプルーアンスは決断を下した。
正体不明の何者かは日本語を解する。攻撃行動が一段落した後、仮に日本艦隊とこの勢力が合流すれば、もはや空母はエンタープライズのみとなった自軍が戦場を覆すことはできない。ならば、今は、エンタープライズだけでも浮いて戻さなければならなかった。
「日本軍の攻撃終了後、直ちに東へ退避し、そのまま撤収する!」
ゴワッ!!
スプルーアンスの号令の直後、エンタープライズの甲板に日本軍の二五番通常爆弾(大日本帝国海軍では、その本領から対艦攻撃用爆弾をこう称した)が命中し、炸裂した。
「エンタープライズ型空母1隻、撃沈確実」
攻撃隊を率いていた友永大尉は、エンタープライズに4発の爆弾、2本の魚雷が命中したのを目視して、そう打電していた。
「そう言うわけで、今、私達は緊急事態に備えつつ、無理な矢継ぎ早の攻撃隊出撃を控えているわけ」
「いいのかなぁ……ニホン軍だって地上攻撃からの再出撃だったんでしょ、それ……」
ミラの説明に、アサギリは少し呆れ混じりに言う。
「アンタやハンシーやフジタはいいよ。でもそれ以外はさ」
「ああ……そうか」
ミラに追加の説明をされて、アサギリは、完全に納得は行っていないものの、しかいないか、ぐらいの反応をした。
元々練習航海である。搭乗員も、規定のカリキュラムを終えたばかりの者が多かった。余計な緊張を与えると、事故でも起こしかねない。トヨカムネアが航空機運用不可能になったら、それ以上はどうにもならなくなってしまう。
「それで、この後我々がどうすればいいのか、共同作戦を行うにしても、ニホンの後方へ下がるにしても、綿密な打ち合わせってやつが必要になるでしょう?」
「それで、上の方が打ち合わせ中…………」
「そ、ミネルヴィアで」
「え゙っ!?」
ミラの説明に、アサギリが驚いたように声を出す。
「向こうさんが、こっちに来てるの? あっちの方が規模大きそうなのに!?」
「皇女殿下への表敬と、それと、こっちに確認したいことがあるんだって」
重巡洋艦『ミネルヴィア』。
司令部公室。
「チハーキュ帝国海軍、マデリン・グレイス・ローレンス少将です」
「大日本帝国海軍、南雲忠一中将です」
お互い最敬礼から、自己紹介、自身の参謀の紹介をし、それもそこそこに、司令部公室の机の前に、日本軍の指揮官達が案内されてきた。
その机の上に、3つの物が置かれている。
「そちらのお求めに応じて、用意させていただいたサンプルです」
マデリンが示すそれは、薄く琥珀がかった液体、ドロリと粘度のある黒い液体、それに、黒い塊だった。
「確認させていただいたよろしいでしょうか?」
「はい」
南雲が訊ね、マデリンがそう答えると、南雲達に同行していた日本軍の技術士官が、そのサンプルに手を伸ばす。
液体の2つは、容器の中の様子を観察しつつ、そっと蓋を開けて匂いを嗅ぐ。最後の塊は、直接触れてその感触を確かめた。
「間違いありません」
技術士官は、南雲達にそう言った。
ミネルヴィアのスタッフが、日本の技術士官に手拭きを手渡した。
「失礼ですが、これらの原料について、お尋ねしても?」
「はい。液体のものは、こちらを重油 ────」
南雲に問いかけられ、マデリンは、まず、黒い液体の入った器を持ち上げてそう言い、次に、淡い琥珀色の液体の器を持ち上げる。
「こちらをガソリンと呼んでいます。どちらも、石油と言って、古い地層に含まれている可燃性の液体を原料としています」
そう説明してから、マデリンは、次に黒い塊の容器を示す。
「これは石炭と言って、分布が違いますが、やはり古い地層に含まれている可燃性の鉱石です。ガソリンは主に航空機や……えぇと、自動車という地上の乗り物の内燃機関に使われています。艦船にはこちらの、重油や石炭を使っています」
「なるほど。少将、説明感謝いたします」
マデリンの説明が一段落したと判断して、南雲はそう言った。
「して、現在は、そちらの本国とは?」
南雲が訊ねると、マデリンは神妙な面持ちで首を横に振った。
「残念ながら……通信設備の機能自体は、艦隊内で確認しているので、問題ないはずですが、本国はもちろん、私達の知っている外国局も反応がありません」
「なるほど……実は、我々の上級司令部より、貴国とどうにか連絡ができないか、という問い合わせが来ているのです」
「…………────」
南雲の参謀長である、草鹿龍之介少将が問いかけると、マデリンは少し逡巡した。
「申し訳ありません、現状は、なんとも……無論、この艦隊を預かる身として、その努力を怠るわけには行きません。ただ、燃料や弾薬、食料にも限りがあり……」
「…………もし、我々がそれに対して協力する用意がある、と言ったら?」
マデリンが、困惑顔で、消沈して言葉を失うかのように途切れさせると、草鹿が唇の端を吊り上げながら、問いかけるように提案する。
それを聞いたマデリンの顔が、一転、鋭い眼光が戻ってくる。
「!」
草鹿も、南雲もそれに気付いた。
「…………それは、我が国からの見返りを求めての行為ですね?」
「…………」
「…………正直に言いましょう。その通りです」
答えを迷った草鹿を制して、南雲がそう言った。
「我々は現在、あなた方も知っている敵国と戦っている……途方もない敵と……貴国が恩に感じて頂ける範囲で構わないのです。どうか支援をいただけるのなら……と……」
苦しそうな表情で、南雲が言う。
マデリンは、一度、視線を床に這わせて逡巡するように見せてから、視線を上げ直す。
「支援、だけで済む話ではありません」
「え?」
「私達は攻撃を受けた。そして、反撃した。これは既に、私達もまた、その国と交戦当事国同士である、と見做せるでしょう」
「そ、それは……」
「手違いなのか故意なのかは関係ない。私達に対して事実上の先制奇襲攻撃を行ったのだから、何らかの形で責任を取らせなければなりません。当然、本国にはそのように伝えることになり、政府には相応の対応を求めることになるでしょう。私達がエボールグに帰ってそれで終わり、という事態ではないのではないかと思います」
「それは…………」
返って面食らったように、南雲や草鹿が、周囲の日本軍高官と顔を見合わせる。
「私見ではありますが、少将の言われるとおりかも知れません」
南雲が、手振りを加えつつそう言った。
「ところで……────」
マデリンが表情を険しい表情のまま、訊ねる。
「私達の“敵”について、改めて説明願えますでしょうか? 失礼、ざっくりとした内容はコバヤシ大尉達からも聞かせていただいてはいるのですが」
「はい……それは……」
南雲が説明しようとする横で、草鹿がゴクリと喉を鳴らした。
「アメリカ合衆国……世界最大の共和制国家です」
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