突発性変異症候群

荒井 恭介

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2話

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目覚めるとそこは知ってる天井だった。
‥……‥……当たり前か。時計を見ると六時だった。早いな‥……寝ようかな。
いや、昨日は観月は大変だっただろうし朝食は、俺が作るか。なに作ろうかと、思案しながら階段を下りていくとなにやら甘い匂いがしてきた。気になりドアを開くとホットケーキを食べ幸せそうに、顔を緩めている我が妹観月だった。こっちに気付いていないみたいだ。写真撮ろうかな。
シャッター音がなった瞬間こっちを見た。
『こ、これは違うのお兄ちゃん』
なんか知らんが弁明し始めた。
『わかってるわかってる。そんなことより俺も食いたい』
『わ、わかった。今、準備するね』
すると、慌てて準備し始めた。


 10分後出てきたホットケーキを食べそろそろ時間が来たので、弁当を二人で作り学校へと向かった。あっ、そういえば今日から同じクラスだな。職員室行かないと。
『じゃあ観月先いってて』
『わかった、お兄ちゃんじゃあね』


職員室
『失礼します。荒井恭介です。昨日のクラス戦争の結果及び進級したい、クラスを伝えに来ました。』
すると、担当の先生がきて、
『おめでとう。では、どこのクラスに行きたいのかな?』
『ありがとうございます。Aクラスに進級したいです。』
『ほう?‥……‥……本気なんだな?』
まぁ、Cクラスから、Aクラスに進級したとなれば、周りの風当たりは強いだろうしな
『本気です。』
『そうか。‥……なら止めない、頑張れよ』
『はい。では、失礼しました。』
そう言って、Aクラスに向かった。
教室に入ると、異様な視線を浴びせられた。
浴びせられてる視線の種類は、二種類
一つめ嫉妬まぁ、これは普通なんだが
二つめが、おかしい。羨望や、尊敬の眼差し
‥……多分観月だな。そう思い観月を見ると、
褒めて欲しそうな顔をしていた。
‥……可愛いなおい。そういえば自己紹介してないな
『今日から、Aクラスになった、荒井恭介だ。もし、実力が信じられない者がいるなら受けて立つ。よろしく頼む』
よろしくという声が聞こえてきた。が、一人の奴が
『なら、俺が挑戦しよう』
と、名乗り出てきたやつがいた。ランキング3位の男確か名前はあれ?なんだっけ
『すまんが自己紹介頼めるか?』
『な、なに知らないのか。仕方ない、教えてやろう、俺の名はペルセウス』
うわっ、まじ?ペルセウスってあのペルセウス?
『どうした?名前を聞いて怖じ気付いたか?』
『いや、そんなことはない』
まぁ、負けとくか。あれは今使えないし
『勝負は今日の放課後行う。』
はぁ、めんどくせぇ適当にやって負けるか

放課後って早いな~観月とずっと話していたら直ぐに時間がきてしまった。
『荒井本気の勝負だ。』
ペルセウスは、超やる気みたいだな。
『我が名は、ペルセウス。我が剣は鋼。鋼は、邪を殺す属性を持つ。故に悪は我に立ちはだかることは出来ない。』
こいつ、詠唱型か。
詠唱型
それは、高位の変異者のみ使用できる者だ。
俺も使えるがあれは使うとその分体力を消費するものだ。だが、このままだと、ヤバいホントにヤバい。
『質問いいか』
『なんだ?』
『この勝負は、何をもって勝敗を決するんだ?』
『それは、どちらかが戦闘続行不能になるまでだろう』
『そうか』
やばい逃げ道がなくなった。目印を壊すのなら、適当に当てて負けることができたのに‥…
周りを見ると観月がいた。こっちに気が付いたのか手を振りながら微笑んだ。
負けるなら、惜しくも負けた感をださないとな。
‥……じゃあやるか。俺も左手を噛み吸血鬼に変異した。普通なら絶対勝てないであろう、無謀な挑戦だ。しかし、何故かワクワクしていた。そして、試合の開始を知らせるブザーが鳴り響いた。

ペルセウスは、矢を引くときの弓のように身を引き力を溜め此方に向かって突進してきた。‥……速い。そう思い後ろに飛び退いたのも束の間ペルセウスの姿が見えなくなった。
‥……上か。見上げるとペルセウスが剣を降り下ろしてきていた。避けるのは間に合わないと思った俺は、剣の達人でも、難しい真剣白羽取りをした。‥……重い。足が地面にめり込んできた。‥……耐えられないと、思った俺は剣ごと放り投げた。ペルセウスはくるりと回り着地した。
『どうした?その程度か?』
ペルセウスが、挑発してきた。その程度乗るわけないだろ。と思っていたら、
『兄がこの程度なら、妹も大したことないな』

‥……俺の中で何かが切れた。
自分が出せるMAXのスピードでペルセウスの顔を殴りつけ近くにいた、女の血を吸った。
今までと比べ者にならないスピード、パワーでペルセウスを殴りまくった。
その手を止めた者がいた。誰だ俺の邪魔をするのはと見てみると怒っている観月がいた。
『やめてお兄ちゃん。決着はついてるよ。』
すると、力が入らなくなった。そして俺は意識を手放した。


目を覚ますとそこは知ってる天井に似ていた。ここは‥……観月の部屋か。横を見ると観月がいた。どうなったのか知りたいが今日は寝るか。そう思い目を閉じた。

朝起きて観月に事の顛末を聞いたのだがどうやらペルセウスは、俺を挑発し、本気の勝負をしたかったらしい。しかし、予想外に俺が強かったため、押し負けた。そして、このことに関しては何の責任も問わないらしい。ペルセウスはその日に退院と、常人では、あり得ない回復力のお陰で命に別状はなかった。
そして血を吸われた女の子は貧血にはなったが、それ以外異常はないらしい。

ホントに問題にならずによかった。

時計を見ると、もう学校が始まる時間だったので家を出た。
学校につくとペルセウスが、俺のところにきて
『昨日は挑発して悪かった。』
『いや、こちらこそ病院送りにして悪かった』
『それにしても君は強いな』
『お前も回復力が尋常じゃないな。』
『よく言われるよ。‥…次は負けないからな』
『おうっ。またやろう。』
そして、和解の意味も込めて握手をした。
チャイムがなった。ホームルームの時間か‥……ペルセウスは自分の席につく前にこちらを振り向いた。
『あっ、そうそう、いい忘れていたよ。
君は、今日からこの学校の三位だ。そしてこれは忠告だ。二位の、須郷エリには、気を付けろよ。あいつはやばい。多分まだ、本気で戦ったことがない。』
こいつが言うぐらいだから、相当だな。気を付けよう。それにしても、三位‥……だ…と。
観月を見ると、ごめんねと手を合わせていた。‥……‥……可愛いから許す。
そういえば須郷エリがどんなやつなのか、気になったので席を見ると、可愛いというよりは美人という言葉が似合う、そんな女性がいた。この子が須郷エリか。その後、観月に須郷について聞くと、槍術の使い手、変異対象エリゴス。エリゴスってあのエリゴスだよな。マジかよ‥……まさか魔神に、変異できるやつがいたとは。エリゴスといえば、槍術も、そうだがもう1つ特殊の才を持っていたとされている。それは、未来予言。エリゴスは、それを使い君主を助けたとされている。もし、須郷が未来予言を使えるとしたら、手強いなんてもんじゃない。
‥……‥……今のままじゃ勝てる気がしない。まぁ、今回は、同じ学校で助かった。理由は、変異学園は全国各地にある。そして年に一度、変異学園交流祭というものがある。交流祭と言われているが、その実はどの学園が、一番優秀なのかを競うものなのだ。全校生徒で行うと、人数が多すぎるため、各校のAクラスの生徒のチーム戦で勝敗を決める。勝利条件は、相手校の生徒の全滅。今年から始まる新イベントなのだ。何故去年まで行われていないかというと、流石に危険なのでは?という、指摘があったためである。それは、当然今年もあったのだが、我が校の校長が、それを解決してしまった。
確か癒しを司る天使が変異対象らしい。
まぁ、校長のお陰でこのイベントが行えるということだ。まぁ、勝たなきゃ何の意味も無いのだが、それでも俺はイベントが好きな方なので単純に嬉しい。‥……出店あるかな。 
そんなことに思考を割いていると授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。

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みんなの感想(1件)

2017.07.03 ユーザー名の登録がありません

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2017.07.03 荒井 恭介

感想ありがとうございます。
題名を教えてもらえれば読みます

解除

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