魔力槽の冒険者~運だって実力です~

あゆむ

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1章 幼少期

9話 運命の日1

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   ━━━カイトの部屋━━━



 カイトはキッズベッドに寝かされていた。ベッドの横には真顔でカイトを覗き込むエルラーイが座っている。


(おかしいな…俺って今日誕生日だよね?なんで起きて1時間でベッドに逆戻りしているんだろう……)

「大丈夫か?カイト」

「あ、うん大丈夫だよお兄様」

「修行とはいえやりすぎた。すまない」

「あと、誕生日おめでとうカイト」

「えっと…ありがとう?」

「すまないな。やはり喋るのは苦手だ…僕と話していてもつまらないだろう?」


 エルラーイの突然の自嘲に慌てるカイト。


「だ、大丈夫だよ!お兄様の話を聞くの楽しいよ!」

「そうか…ならいいんだが」

「あ、そういえばお兄様。神託を受けに行くのっていつなの?」

「………。神託なら来週の水の日だ」


 真顔のまま答えるエルラーイ。


 カイトは逆光で、エルラーイの瞳に浮かぶ悲しみに気づくことはなかった。


    ━━━書斎━━━



 一週間後、水の日。


 朝の修行後、カイトはフェクダに書斎に呼ばれていた。


 そこには既にフェクダとカメーリエが立っていて、何か話をしているところだった。


「おおカイト。よく来た。分かっているとは思うが今日お前には教会で神託を受けてもらう」

「はい」

「その後、家に帰ったら私達から大事な話がある。帰宅後すぐに書斎に来なさい」

「………分かりました」

「よし、では表に参加者用の馬車が止まっている。それに乗って行きなさい」

「はい。行ってきます」


 そう言うとカイトは部屋を退室していった。


「あなた…」

「ああ、私達は私達の出来る事をしよう」


  ━━━参加者用馬車━━━



 カイトは玄関に向かうと門の外に止まっている馬車へと乗り込んだ。


「ねえ、あなたが噂のカイト君?」


 乗車して早々隣に座る少女に声をかけられるカイト。


「噂?」

「うん有名だよ!あのn」

「出発しまーす!!」


ヒヒーン


 邪魔されたことで頬を膨らませる少女。


「……。あのね昨日あたしの家でね、こーーーんな大きなカエルがね──」


 少女は噂の話題を話す気が失せたのか、最近自分の周りで起こった出来事をカイトに話していく。


 カイトは噂が気になるが、少女の話を遮るのも可哀想だと素直に聞き役に徹した。


 その後何人か子供が乗り込んで来るが何故かカイトの近くの席に座ろうとしない。


 そんなことに慣れ始めた頃、やっと教会が見えてくる。


 カイトはそのまま聞き役に徹していたが、なかなか少女の話は終わらない。


 ちょいちょい話が脱線しては遠回りして元の話に戻るというのを繰り返していたのだ。


 カイトは話を聞くのが好きだが、そろそろ疲れて来たため早く教会に着かないかと祈っていると。


「とーおちゃーく!!」

「つ、着いたみたいだよ」

「───え?…あ、本当だぁ」

(やれやれ…マシンガンみたいだった…)


 ほっと一息つくカイトをよそに子供達は次々と馬車を降りてゆき、最後にカイトが降りると


「それでは皆様ー。ここでお待ちしておりますのでー、いってらっしゃーい」


 そう言うと御者はこちらに手を降って来た。


(キャラの濃い御者だったな…)


 カイトは御者に手を振ると子供達の列についていった。
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