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1章 幼少期

14話 同居人とルール

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     ━━━廊下━━━



「ああ!説明してなかったな!こいつはお前と同い年の、ネリネだ」

「あたしネリネ…よろしく…」

「あ、うん。カイトです…?」

(なんだか不思議な子だなぁ……あれ?)


 そこで違和感に気づくカイト。


「お、気づいたか。そうだ…ネリネは目が見えないらしい。生まれた時、魔力の量が多すぎて魔力暴走で視力を失ったそうだ…」

「…そうなんですか…」

「まあ、その代わりに耳と鼻が研ぎ澄まされたようだがな」

「うん…そうなの」


 そこで自慢げな顔をするネリネに、思わず笑ってしまうカイト。


「くくっ……ごめん、馬鹿にしたわけじゃないんだ。ただ面白くて」

「あたし…面白い?」

「うん!」


 また自慢げな顔をするネリネ。


「うんうん!仲良くなれたみたいで良かった!カイトの緊張も解けたみたいだしな!」


 言われてはっとするカイト。


「すみませんありがとうございます。…………って、流されませんよ!女の子と同室なんて聞いてませんよ!」

「そりゃ言って無いからな。なんだぁ?ネリネと同室は嫌ってぇのかぁ?」


 シュンとするネリネ。


「いやいや!違うよ!…君が俺とは嫌かなって…」

「嫌じゃないよ?」

「っ!?…なら…まあ……俺は……」

「よし!決まりだな?じゃあおれぁ戻るぜ?」

「あ、はい。ありがとうございました。」


 トラはお礼に後ろ手を振りながら去って行った。


「…」

「…」

「…入らないの?」

「っ!?君からじゃないの?」

「ネリネ」

「?」

「……あたしは君じゃなくてネリネ」

「あ、うん。ネリネが先に入るんだと思ってて」


 名前を呼ばれた事に喜ぶネリネ。


「分かった!なら、先に入る」


 上機嫌で入っていくネリネについていくカイト。


 ━━━カイトとネリネの部屋━━━


 部屋の中には両端に収納付きのベッドがあり、真ん中に机があるだけのシンプルな部屋だった。


 カイトはカバンをベッドの上に置くと、ネリネの方に向き直る。


「君…じゃなくてネリネは普段なにしているの?」


 君と言うと明らかに不機嫌になるネリネ。


「……うんとね。魔力槽の仕事の時以外はぼーっとしてる」

「へぇ……ところでさ。なんでネリネは俺の横にぴったりくっついているのかな?」

「…カイトはいいにおいがする………あたしこのにおい好き…」

「…さっきも言ってたけど、どんな匂いがするの?」

「うーん……太陽?」

「太陽!?」

「あったかいにおいがする」


 そしてまた鼻を近づけカイトの匂いを嗅ぐネリネ。


「いいにおいの人はいい人。いやなにおいの人はいやな人」

「そ、そうなんだ…」

 また自慢げな顔をするネリネ。


「だから…あなたが同居人で良かった……」

「う、うん。ありがとう?」

(なんだか調子を崩される…)


 ネリネのペースに載せられ、翻弄されるカイトであった。


「…そうだ!…ここでのルールを教えてあげる…」

「うん」

「まず、掃除は年少組がやる…で料理は大人がやる」

「なるほど」

(だから掃除が行き届いて無いのか…)

「次に、───と言う感じ…これで全部」


 全部を説明し終わったネリネは満足そうだった。
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