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空間魔法から魔物の死体を取り出すと、ロンドさんの顔色が分かりやすく変わっていった。
「まままま待ってくれ! ストップ、ストォップ!」
七体で止められたので、取り出すのをやめて様子を伺えば、ロンドさんは頭を抱えながらもひきつった笑みを浮かべていた。
「デスマンティスにグラトニーアリゲーター。ヴェノムスパイダーまで……AランクとSランクの魔物がそろいもそろって首を落とされただけの完品状態! すぐに四大公爵家に連絡を……いや、オークションの方が……」
ぶつぶつ呟きながら私が出した魔物を見分している。
ちなみに取り出したのはあまりお肉が美味しくない魔物たちだ。美味しいのは食べたいからね!
「取り乱してすみません。査定に時間がかかりそうだから、とりあえず一個体につき白貨二枚で引き取り、後で差額をさらに支払う形にしたいんですが」
「白貨?」
「金貨よりも上の硬貨です。本来は国や上位貴族たちが取引のために使うものですけど」
そう言って見せてくれたのは白く輝く硬貨だった。
白貨一枚で金貨一〇〇枚。
金貨一枚で銀貨一〇〇枚。
銀貨一枚で銅貨一〇〇枚。
その下に、一〇枚で銅貨と同じ価値になる賤貨もある。
賤貨と銅貨くらいなら見たことがあるけれど、それ以外は見たことがないので首をかしげるけれど、ノノが頷いてくれたのできっとおかしな取引ではないはずだ。
ロンドさんによれば金貨一枚で大人ひとりがひと月食べていけるだけの価値があるとのことなので、魔物一体なら二〇〇月分?
なんか数字が大きすぎて想像つかない。
「ただでさえ討伐数が少ない魔物です。これだけ状態が良ければオークションで青天井になるでしょう。下手すれば皇帝陛下も参戦するかもしれません」
「いくらくらいになると思われますか?」
「最低でも白貨一〇枚。下手すれば五〇枚を越えるものすらあるかもしれません」
「お嬢様。私もあまり詳しくはありませんが、十分な金額かと思われます」
現状では無一文なので、ある程度の金額で買い取ってくれるならば文句はない。
私が了承すると、ロンドさんは書類とともに刺しゅう入りの巾着を二つ用意してくれた。
「片方は白貨一三枚と金貨九九枚。もう片方は銀貨九九枚と銅貨一〇〇枚です」
これから買い物することを考慮に入れて両替までしてくれたらしい。
礼を告げるとともに、これから必要になりそうなものを買えないか訊ねてみる。
「衣服と生活用品。それから調理器具と調味料の類ですか。わかりました、在庫のある倉庫にご案内します」
幸いにも空間魔法があるため、どれほどかさばろうろ気にならない。
そんなことよりも美味しいご飯である。
「家庭用から業務用まで幅広く取り揃えてあります。高級品もいくつかはあるはずですよ」
「ノノが使うんだから最高級品で!」
「お嬢様!?」
「お金はまた稼げばいいし、ばんばん使っていいよ!」
「ですが」
「ノノの美味しいご飯、食べたいの……駄目?」
「ッ! 駄目ではありません!」
「……これは、破壊力が……!」
こぶしを握りしめて断言するノノと、何故か天を仰いでふらつくロンドさん。
はかいりょく?
首を傾げればロンドさんがもっとふらふらになり、ノノが私を隠すかのように抱きしめてくれた。
「まだ歩けるよ?」
「分かっております。ですが、駄目です」
「?」
よくわからないけれど、ノノに抱きしめられながら倉庫に向かうことになった。
「まままま待ってくれ! ストップ、ストォップ!」
七体で止められたので、取り出すのをやめて様子を伺えば、ロンドさんは頭を抱えながらもひきつった笑みを浮かべていた。
「デスマンティスにグラトニーアリゲーター。ヴェノムスパイダーまで……AランクとSランクの魔物がそろいもそろって首を落とされただけの完品状態! すぐに四大公爵家に連絡を……いや、オークションの方が……」
ぶつぶつ呟きながら私が出した魔物を見分している。
ちなみに取り出したのはあまりお肉が美味しくない魔物たちだ。美味しいのは食べたいからね!
「取り乱してすみません。査定に時間がかかりそうだから、とりあえず一個体につき白貨二枚で引き取り、後で差額をさらに支払う形にしたいんですが」
「白貨?」
「金貨よりも上の硬貨です。本来は国や上位貴族たちが取引のために使うものですけど」
そう言って見せてくれたのは白く輝く硬貨だった。
白貨一枚で金貨一〇〇枚。
金貨一枚で銀貨一〇〇枚。
銀貨一枚で銅貨一〇〇枚。
その下に、一〇枚で銅貨と同じ価値になる賤貨もある。
賤貨と銅貨くらいなら見たことがあるけれど、それ以外は見たことがないので首をかしげるけれど、ノノが頷いてくれたのできっとおかしな取引ではないはずだ。
ロンドさんによれば金貨一枚で大人ひとりがひと月食べていけるだけの価値があるとのことなので、魔物一体なら二〇〇月分?
なんか数字が大きすぎて想像つかない。
「ただでさえ討伐数が少ない魔物です。これだけ状態が良ければオークションで青天井になるでしょう。下手すれば皇帝陛下も参戦するかもしれません」
「いくらくらいになると思われますか?」
「最低でも白貨一〇枚。下手すれば五〇枚を越えるものすらあるかもしれません」
「お嬢様。私もあまり詳しくはありませんが、十分な金額かと思われます」
現状では無一文なので、ある程度の金額で買い取ってくれるならば文句はない。
私が了承すると、ロンドさんは書類とともに刺しゅう入りの巾着を二つ用意してくれた。
「片方は白貨一三枚と金貨九九枚。もう片方は銀貨九九枚と銅貨一〇〇枚です」
これから買い物することを考慮に入れて両替までしてくれたらしい。
礼を告げるとともに、これから必要になりそうなものを買えないか訊ねてみる。
「衣服と生活用品。それから調理器具と調味料の類ですか。わかりました、在庫のある倉庫にご案内します」
幸いにも空間魔法があるため、どれほどかさばろうろ気にならない。
そんなことよりも美味しいご飯である。
「家庭用から業務用まで幅広く取り揃えてあります。高級品もいくつかはあるはずですよ」
「ノノが使うんだから最高級品で!」
「お嬢様!?」
「お金はまた稼げばいいし、ばんばん使っていいよ!」
「ですが」
「ノノの美味しいご飯、食べたいの……駄目?」
「ッ! 駄目ではありません!」
「……これは、破壊力が……!」
こぶしを握りしめて断言するノノと、何故か天を仰いでふらつくロンドさん。
はかいりょく?
首を傾げればロンドさんがもっとふらふらになり、ノノが私を隠すかのように抱きしめてくれた。
「まだ歩けるよ?」
「分かっております。ですが、駄目です」
「?」
よくわからないけれど、ノノに抱きしめられながら倉庫に向かうことになった。
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