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謝罪と罰
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「こ、怖かった……!」
「立派でしたよ、お嬢様」
商人ギルドの特別室。私はフカフカのソファに腰かけてぐったりしていた。
魔物がガンガン押し寄せてきてるのに冒険者は私のほうガン見してるし、けがを治すたびに「聖女様バンザイ」って言いながら突っ込んでいくし……もう意味が分からないよ!
ノノが居てくれなかった絶対に気絶してたと思う。
今だって大勢の視線と大声に腰が抜けてノノにおんぶしてもらったのだ。
はぁ、と息を吐く度にノノが頭を撫でたり、ぎゅっとしてくれたりするので私の情緒はぐちゃぐちゃである。
抱っこしてもらってそのまま寝たいけど、宿じゃないからそれもできない。
「さて、準備が出来たのでそろそろ行きますか」
ロンドさんがそう呼びに来たので、外に向かう。
吹き抜けになったホールには冒険者たちがたくさん詰めかけていて、中央部には正座しているユザークさんがいた。
「聖女マリィ様と、その守護者ノノ様です」
えっ!?
ロンドさん、その紹介は何!?
私が何かを言う前にわぁっ、と歓声があがった。おもわず身体が硬直する。
ノノが私を気遣って肩を抱いてくれたなか、最初に口を開いたのはユザークさんだ。
「済まなかった!! 俺の見る目がないばかりに、嫌な思いをさせた!」
どうやら私たちのみならず、冒険者たちにも事情が説明されていたらしく、神妙な顔で事態を見守っていた。
ノノは複雑そうな顔をしていたけれど、何も言わずに私に視線を移したので私に任せてくれるつもりらしい。
「三人組はどうなったの?」
「野営先で俺を殺そうとして来てな……お嬢ちゃんたちの倒したメタルリザードの横取りや、色々うやむやにするための魔物寄せの薬草を使ったこと、その他もろもろ全部吐かせた。今は衛兵に引き渡して牢屋にぶち込まれてる。縛り首と鉱山送り、どっちにするか話し合われてる最中だろう」
苦虫を噛み潰した表情のユザークさんは、溜息を一つ。
「冒険者は学がなく、口喧嘩も弱い奴が多い……てっきりアイツらが騙されたものと思い今じまった。今回の件が片付いたら俺はギルド長を辞任する」
辞任。
つまり辞めるってことだ。
責任を取ったなら、それ以上はやりすぎだ。
ましてやユザークさんは守ろうとした冒険者たちに野営先で殺されそうになったのだ。返り討ちにしたとはいえ、精神的なダメージは大きいだろう。
……見る目がないのが発端ではあるけれど。
「許します。ユザークさん、信じてた人に裏切られてけがまでさせられちゃったし、きちんと謝ってくれた。もう十分罰は受けたと思う」
私がそう告げたら、ノノやロンドさんはおろか、ユザークさん本人が目を丸くしていた。
「いやいやいや! そんな簡単に許されることじゃないだろ!? そ、そうだ! ハンマー以外の装備を全部売って賠償に充てる!」
「えっ? でも思い入れのあるものなんじゃ……」
「そりゃそうだが、街中の冒険者を救ってくれたお嬢ちゃん達に砂掛けたままじゃ俺の気が収まらねぇ!」
ユザークさんの宣言に、周りの冒険者たちも頷いていた。
「マリィちゃん。受け取ってあげて」
「フェミナの言う通り、助けると思って受けとってやってくれ」
口添えをしたのはフェミナさんとドルツさん。
「嬢ちゃんたちを聖女だ天使だ御使いだと崇める連中もいるからな……半端なことすればギルド長は闇討ちに遭っちまうぜ」
「えっ!? だめだよ! せっかく治したのに!」
「だから受け取ってあげて。そしたらきっと皆も納得してくれるから」
うーん、そうなのかなぁ。
「このハンマーがあれば、俺もまだそれなりに戦える。がっつり魔物を狩って稼ぐから、受け取ってもらえると助かる!」
「わかりました、受け取ります。この話はこれでおしまいね!」
ぱんぱんと手を打ち合わせたところで、何故か他の冒険者たちが頭をさげた。
きっとユザークさんを心配している人たちだったんだろう。ドルツさんは闇討ちなんて言ってたけど、きっと人望があったんだろうね。
「尊い……」
「馬鹿親父をあんなにあっさり許すなんて天使か……!」
「魂まで聖女様」
「一生推します」
……あれ? ユザークさんのことを心配してたわけじゃない……?
どういう意味か分からない呟きがたくさんあったので質問しようとしたところで、今まで黙って聞いていたロンドさんがユザークさんの肩をポン、と叩いた。
「ユザークさん。間違いは誰にでもあります。大切なのはしっかりと償うことです」
「ロンド……ありがとうな」
「いえいえ。——ところで、違約金なんですが」
「……は?」
「メタルリザード討伐、失敗しましたよね? 違約金が発生する契約です」
ロンドさんは良い笑顔で懐から契約書を取り出す。
「装備はほぼすべてマリィさんたちの賠償に充てるとのことなので、私はそのハンマーを頂きます」
「待て待て待て! これがないと魔物狩りが——」
「残額はローンにしますから拳で稼いでください。ハンマーも有料でレンタルしますよ?」
「ぐぅっ!? 俺のハンマーだろう!?」
「いえ。差し押さえるのでもう僕のです」
ユザークさんが真っ白になった。口から魂らしきものがぴろぴろ出てる!?
どうしよう、こんな状態はじめて見るし、治し方が分からない……!
「お嬢様、お腹は減っておりませんか?」
「えっ!? ユザークさんは……!?」
「ロンド氏がケジメをつけてくださらなければ、私が闇討ちして大樹林に埋めるところでしたし、丁度いい落としどころかと」
ノノまで闇討ち予定だったの!?
ちょっとバイオレンスすぎない……?
普段はすっごく落ち着いてて優しいのに、意外と喧嘩っ早いよね。私のために怒ってくれてるのはわかるから複雑な気持ちである。
嬉しいけど、ノノには笑顔でいてほしい。
「立派でしたよ、お嬢様」
商人ギルドの特別室。私はフカフカのソファに腰かけてぐったりしていた。
魔物がガンガン押し寄せてきてるのに冒険者は私のほうガン見してるし、けがを治すたびに「聖女様バンザイ」って言いながら突っ込んでいくし……もう意味が分からないよ!
ノノが居てくれなかった絶対に気絶してたと思う。
今だって大勢の視線と大声に腰が抜けてノノにおんぶしてもらったのだ。
はぁ、と息を吐く度にノノが頭を撫でたり、ぎゅっとしてくれたりするので私の情緒はぐちゃぐちゃである。
抱っこしてもらってそのまま寝たいけど、宿じゃないからそれもできない。
「さて、準備が出来たのでそろそろ行きますか」
ロンドさんがそう呼びに来たので、外に向かう。
吹き抜けになったホールには冒険者たちがたくさん詰めかけていて、中央部には正座しているユザークさんがいた。
「聖女マリィ様と、その守護者ノノ様です」
えっ!?
ロンドさん、その紹介は何!?
私が何かを言う前にわぁっ、と歓声があがった。おもわず身体が硬直する。
ノノが私を気遣って肩を抱いてくれたなか、最初に口を開いたのはユザークさんだ。
「済まなかった!! 俺の見る目がないばかりに、嫌な思いをさせた!」
どうやら私たちのみならず、冒険者たちにも事情が説明されていたらしく、神妙な顔で事態を見守っていた。
ノノは複雑そうな顔をしていたけれど、何も言わずに私に視線を移したので私に任せてくれるつもりらしい。
「三人組はどうなったの?」
「野営先で俺を殺そうとして来てな……お嬢ちゃんたちの倒したメタルリザードの横取りや、色々うやむやにするための魔物寄せの薬草を使ったこと、その他もろもろ全部吐かせた。今は衛兵に引き渡して牢屋にぶち込まれてる。縛り首と鉱山送り、どっちにするか話し合われてる最中だろう」
苦虫を噛み潰した表情のユザークさんは、溜息を一つ。
「冒険者は学がなく、口喧嘩も弱い奴が多い……てっきりアイツらが騙されたものと思い今じまった。今回の件が片付いたら俺はギルド長を辞任する」
辞任。
つまり辞めるってことだ。
責任を取ったなら、それ以上はやりすぎだ。
ましてやユザークさんは守ろうとした冒険者たちに野営先で殺されそうになったのだ。返り討ちにしたとはいえ、精神的なダメージは大きいだろう。
……見る目がないのが発端ではあるけれど。
「許します。ユザークさん、信じてた人に裏切られてけがまでさせられちゃったし、きちんと謝ってくれた。もう十分罰は受けたと思う」
私がそう告げたら、ノノやロンドさんはおろか、ユザークさん本人が目を丸くしていた。
「いやいやいや! そんな簡単に許されることじゃないだろ!? そ、そうだ! ハンマー以外の装備を全部売って賠償に充てる!」
「えっ? でも思い入れのあるものなんじゃ……」
「そりゃそうだが、街中の冒険者を救ってくれたお嬢ちゃん達に砂掛けたままじゃ俺の気が収まらねぇ!」
ユザークさんの宣言に、周りの冒険者たちも頷いていた。
「マリィちゃん。受け取ってあげて」
「フェミナの言う通り、助けると思って受けとってやってくれ」
口添えをしたのはフェミナさんとドルツさん。
「嬢ちゃんたちを聖女だ天使だ御使いだと崇める連中もいるからな……半端なことすればギルド長は闇討ちに遭っちまうぜ」
「えっ!? だめだよ! せっかく治したのに!」
「だから受け取ってあげて。そしたらきっと皆も納得してくれるから」
うーん、そうなのかなぁ。
「このハンマーがあれば、俺もまだそれなりに戦える。がっつり魔物を狩って稼ぐから、受け取ってもらえると助かる!」
「わかりました、受け取ります。この話はこれでおしまいね!」
ぱんぱんと手を打ち合わせたところで、何故か他の冒険者たちが頭をさげた。
きっとユザークさんを心配している人たちだったんだろう。ドルツさんは闇討ちなんて言ってたけど、きっと人望があったんだろうね。
「尊い……」
「馬鹿親父をあんなにあっさり許すなんて天使か……!」
「魂まで聖女様」
「一生推します」
……あれ? ユザークさんのことを心配してたわけじゃない……?
どういう意味か分からない呟きがたくさんあったので質問しようとしたところで、今まで黙って聞いていたロンドさんがユザークさんの肩をポン、と叩いた。
「ユザークさん。間違いは誰にでもあります。大切なのはしっかりと償うことです」
「ロンド……ありがとうな」
「いえいえ。——ところで、違約金なんですが」
「……は?」
「メタルリザード討伐、失敗しましたよね? 違約金が発生する契約です」
ロンドさんは良い笑顔で懐から契約書を取り出す。
「装備はほぼすべてマリィさんたちの賠償に充てるとのことなので、私はそのハンマーを頂きます」
「待て待て待て! これがないと魔物狩りが——」
「残額はローンにしますから拳で稼いでください。ハンマーも有料でレンタルしますよ?」
「ぐぅっ!? 俺のハンマーだろう!?」
「いえ。差し押さえるのでもう僕のです」
ユザークさんが真っ白になった。口から魂らしきものがぴろぴろ出てる!?
どうしよう、こんな状態はじめて見るし、治し方が分からない……!
「お嬢様、お腹は減っておりませんか?」
「えっ!? ユザークさんは……!?」
「ロンド氏がケジメをつけてくださらなければ、私が闇討ちして大樹林に埋めるところでしたし、丁度いい落としどころかと」
ノノまで闇討ち予定だったの!?
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