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ルビー
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カーバンクル探しをするのに、魔法を使うことにした。
といってもヘルプが告げてくるようなゴリゴリの討伐用じゃなくて、大きな音と光でびっくりさせる方法だ。
屋敷全体に結界を張って、中も小さく区切る。壁を作っていくイメージだ。
ヘルプの助けを借りてカスタムした複合魔法。
名づけるならば、
「スタンフラッシュ」
耳を刺すような甲高い音と、視界が真っ白になるほどの閃光が部屋の中を満たす。
これを各部屋でやっていけばおそらくカーバンクルもびっくりして動いたり逃げようとしたりするはずだ。
結界で音も遮断されるので、バレて身構えられたりはしてないはず。
何秒か待って動きがなければ次の部屋だ。
動かないで耳を澄ませてれば良いだけなので楽チンである。
「さすがお嬢様ですね」
ッパァァァァァァァァァァンッッッッ!!!!!!
あ。
なんか力入れすぎちゃった。
念のために魔大剣を構えてたノノがほめてくれたからやる気出しただけなんだけど、普通のスタンフラッシュの一〇倍くらいの音と光が出ちゃった。
——ドタ。
あ、なんか倒れた音がした。
急いでその部屋に向かうと、エメラルドグリーンの体毛をした獣が部屋の片隅で伸びていた。目を回しているらしくて動きがないので、ノノがちゃちゃっと縛ってくれた。
ちなみにサイズは幻術で大きく見せてるだけで、本当は手乗りサイズでした。そりゃ見つからないよね。
「これがカーバンクル? 可愛い」
「ですね。額のコレは宝石でしょうか」
緑の体毛を持ったリス、というのが一番しっくりくるだろうか。
額には宝石みたいにきらめく真っ赤な石がついてるし、耳はピンと尖ってるので細かいところは全然違うけどね。
「きゅう……」
「縛ってあるし回復してあげよう」
「きゅ……? きゅう!? きゅきゅきゅっ! きゅ~!」
元気になったカーバンクルは自分が縛られたことに気づいて大暴れ。その後、私とノノに気づいて目を潤ませていた。
もしかしたら殺されちゃうって思ってるのかも。
「大丈夫だよ、森に帰してあげ——……ノノ?」
私が手を伸ばしたところで、ノノが大剣の切っ先をカーバンクルの額に当てていた。
「恐れ多くもお嬢様が撫でてくれようとしているのです。万が一暴れたりお嬢様に噛みついたりしたら……わかりますね?」
「ノノ? 話しても分からないって」
「きゅっ! きゅっきゅ!」
なんかすごい勢いでうなずいてるけど、もしかして言葉を理解してる?
まさかね。
とりあえず撫でてあげたら、きゅきゅ、と気持ちよさげに目を細めてくれた。
「可愛い……ねぇノノ、この子、飼っちゃダメかな?」
「きっと喜びますよ。……ねぇ?」
「きゅ、きゅうっ! きゅうっ!」
ノノの問いかけに、カーバンクルが全力で首を縦に振っていた。会話ができてそうに感じてしまうけれど、きっとそういう癖なんだろうね。
「ではお嬢様は名前を決めていただけますか? 躾はお任せください」
ノノがカーバンクルを摘まんで物陰に連れていく。
どういう躾なのか興味あるけど、私は名前を考えてあげないと。
「みどり……あか……うーん。りす……みみ……」
色や形からイメージしようと思ったけれど、思ったより難しい。やっぱり額の宝石からルビーとかにするのが良いかなぁ。
しばらく悩んでいると、ノノが躾を終えたらしく戻ってきた。
縄も解いてあるし捕まえているわけでもないのに、てくてく歩いてきた。柔らかそうな尻尾が歩くたびに揺れるのがなんとも可愛い。
「終わりました」
「早かったね。どうやって躾けたの?」
「万が一逃げたりいたずらをしてお嬢様の真心を裏切るようなことがあればどうなるかを説明しました」
「あはは。頭いい子だね」
冗談なんだろうけど、秘密にしときたいならそれでいいかな。
「ちなみにお名前は決まりましたか?」
「うーん。額の宝石がキレイだからルビーって名前はどうかなって」
「素敵な名前ですね」
「きゅっ!」
ルビーも気に入ってくれたみたいだ。
依頼は達成できたし新しい家族もできたので大満足だ。
といってもヘルプが告げてくるようなゴリゴリの討伐用じゃなくて、大きな音と光でびっくりさせる方法だ。
屋敷全体に結界を張って、中も小さく区切る。壁を作っていくイメージだ。
ヘルプの助けを借りてカスタムした複合魔法。
名づけるならば、
「スタンフラッシュ」
耳を刺すような甲高い音と、視界が真っ白になるほどの閃光が部屋の中を満たす。
これを各部屋でやっていけばおそらくカーバンクルもびっくりして動いたり逃げようとしたりするはずだ。
結界で音も遮断されるので、バレて身構えられたりはしてないはず。
何秒か待って動きがなければ次の部屋だ。
動かないで耳を澄ませてれば良いだけなので楽チンである。
「さすがお嬢様ですね」
ッパァァァァァァァァァァンッッッッ!!!!!!
あ。
なんか力入れすぎちゃった。
念のために魔大剣を構えてたノノがほめてくれたからやる気出しただけなんだけど、普通のスタンフラッシュの一〇倍くらいの音と光が出ちゃった。
——ドタ。
あ、なんか倒れた音がした。
急いでその部屋に向かうと、エメラルドグリーンの体毛をした獣が部屋の片隅で伸びていた。目を回しているらしくて動きがないので、ノノがちゃちゃっと縛ってくれた。
ちなみにサイズは幻術で大きく見せてるだけで、本当は手乗りサイズでした。そりゃ見つからないよね。
「これがカーバンクル? 可愛い」
「ですね。額のコレは宝石でしょうか」
緑の体毛を持ったリス、というのが一番しっくりくるだろうか。
額には宝石みたいにきらめく真っ赤な石がついてるし、耳はピンと尖ってるので細かいところは全然違うけどね。
「きゅう……」
「縛ってあるし回復してあげよう」
「きゅ……? きゅう!? きゅきゅきゅっ! きゅ~!」
元気になったカーバンクルは自分が縛られたことに気づいて大暴れ。その後、私とノノに気づいて目を潤ませていた。
もしかしたら殺されちゃうって思ってるのかも。
「大丈夫だよ、森に帰してあげ——……ノノ?」
私が手を伸ばしたところで、ノノが大剣の切っ先をカーバンクルの額に当てていた。
「恐れ多くもお嬢様が撫でてくれようとしているのです。万が一暴れたりお嬢様に噛みついたりしたら……わかりますね?」
「ノノ? 話しても分からないって」
「きゅっ! きゅっきゅ!」
なんかすごい勢いでうなずいてるけど、もしかして言葉を理解してる?
まさかね。
とりあえず撫でてあげたら、きゅきゅ、と気持ちよさげに目を細めてくれた。
「可愛い……ねぇノノ、この子、飼っちゃダメかな?」
「きっと喜びますよ。……ねぇ?」
「きゅ、きゅうっ! きゅうっ!」
ノノの問いかけに、カーバンクルが全力で首を縦に振っていた。会話ができてそうに感じてしまうけれど、きっとそういう癖なんだろうね。
「ではお嬢様は名前を決めていただけますか? 躾はお任せください」
ノノがカーバンクルを摘まんで物陰に連れていく。
どういう躾なのか興味あるけど、私は名前を考えてあげないと。
「みどり……あか……うーん。りす……みみ……」
色や形からイメージしようと思ったけれど、思ったより難しい。やっぱり額の宝石からルビーとかにするのが良いかなぁ。
しばらく悩んでいると、ノノが躾を終えたらしく戻ってきた。
縄も解いてあるし捕まえているわけでもないのに、てくてく歩いてきた。柔らかそうな尻尾が歩くたびに揺れるのがなんとも可愛い。
「終わりました」
「早かったね。どうやって躾けたの?」
「万が一逃げたりいたずらをしてお嬢様の真心を裏切るようなことがあればどうなるかを説明しました」
「あはは。頭いい子だね」
冗談なんだろうけど、秘密にしときたいならそれでいいかな。
「ちなみにお名前は決まりましたか?」
「うーん。額の宝石がキレイだからルビーって名前はどうかなって」
「素敵な名前ですね」
「きゅっ!」
ルビーも気に入ってくれたみたいだ。
依頼は達成できたし新しい家族もできたので大満足だ。
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