エンゼルローズ

RASHE

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第3話 百年前の残滓

百年前の残滓 07

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セレーラルの間延びした気怠げな言葉を発する前でアーシェリは椅子の座面に片膝を立て、背もたれに体重を預ける姿勢に座り直しながら説明を続ける


「あの二人の子孫はみんな悪魔みたいな外見はしてないって話だし、
それに100年前からそれ以前のジークフリートって消息不明のレオン・ジークフリートと私たち以外は死亡が確認されているからな
普通に行けばあの悪魔はルーシェスかスタードのどっちかなんだろーが…」


今現在知っている限りあの悪魔の正体を決定づけるものはなしーー

それはゼオンとセレーラル、アーシェリ三人だけでなく、黙って話を聞いているマレーシャも同様だった

ならーー


「じゃあ何かしら資料が残ってないか司令に聞いてみるか!
ルーシェスはともかく、スタードはこの国の創始者だしな」


「まぁ~私たちは顔を見ているから、顔写真があればね~」

「じゃあ善は急げって言うし早速司令のところに行くか」


そう言ってゼオンは両手を叩いて5階のラクナ司令室に行く為には立ち上がる


「おいおい、動き回らず安静にしといた方がいいんじゃねーの?」

「大丈夫、別に運動する訳じゃないからな」

運動なんて論外だろーーー
そう思いながら、アーシェリもゼオン達と部屋を出ようとしたが、その前に扉が勝手に開く

そして、その先には見慣れた人物が眠そうに立ち尽くしていた


「し、司令……なんでそこに…!」


冷静に考えれば診療室に運ばれた部下の様子を見に来たことはわかるのだが、突然の出現に驚いたゼオンは率直な言葉が出てしまった


「ちょうど用事がおわったところだからねー……様子を見るついでに、ちょっとお話を聞かせてもらおうと思って…」


緊迫していた状況の時と打って変わってまた、ラクナはゆっくりと力の入らない言葉を口にして、ノロノロと歩いては席に座る

姿勢不十分で体を揺らしながら座ったせいか、間抜けにも豪快な音をたてながら椅子から転げ落ちてしまった


「あ……」


その間抜けさに四人とも唖然として、彼が痛そうにお尻をさすりながら再び椅子に座るのを黙って見ていた


「いたた…どうしたんだい…?
早く座りなさい…」

「し、司令…大丈夫?」

「ん?んん…」

表面上はいつもの眠そうな表情を取り繕っているラクナを心配するゼオンに、まるで転倒なんてしていなかったかのようにいつも通りの返事を流していた

ラクナの間抜けな一連の行動に、さっきまでの勢いと真剣さを完全に挫かれたマレーシャ以外の三人は目を半開きにしてそれぞれの座席に座り直す


「体の中枢神経の半分は死んでんじゃねーのか?」

と、アーシェリが


「さっすが司令…間抜けさも司令クラスだ…」

と、セレーラルが


「この中で一番に診察を受けなきゃいけないのは司令なのかもな」

と、ゼオンが

三者三様の不満と心配を漏らし、その後一歩遅れてマレーシャも椅子を引いて座席に着こうとするが、ラクナ同様に勢いよく転倒してしまい、その様子を見た三人は何も言えなくなってしまった


「……」


おそらく、未だダメージが響く体の痺れからくる不調から、座るときにしっかりと椅子を固定させることができなかったのだろう

ラクナ転倒からの一連の流れを思い出して、余程恥ずかしかったのか、誰が見てもわかるくらい頬を赤く紅潮させたマレーシャは肩を震わせて、ゆっくりと座席に座りなおす

いつも無表情で澄ました顔をしていた彼女は、珍しく感情をあらわにしながら下を俯いて黙りこくることしかできなかった


「まず、君たちが無事で良かった…」


誰一人マレーシャの失態に触れることない中、ラクナは落ち着いた口調で話題を始める


「ここに来るまでに診察の結果を聞いてきたけど…本当に大丈夫かい…?」

「私たちなら大丈夫だよ、三人とも数日間は安静にしてくれと言われたけどね」


ラクナの心配そうな言葉にセレーラルが大丈夫だと陽気に答えると、眠そうだったラクナの顔が真剣な顔に変わっていき、頭を下げはじめた

今までの態度とは違い、その仕草には本当に申し訳なさそうな悲痛な感情が強く込められていた
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