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異世界3億円事件 承前
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最高検察庁長官のワセダ女史が現職の内閣官房長官と司法大臣、さらにその妻を逮捕したのを置き土産に退官、その後を襲ったのはブラックなる男であった。
ブラックが最高検察庁長官に就任してからちょうど一週間後、「異世界3億円事件」が発生した。命名者は他ならぬ一兵である。
異世界の製鉄所、「カンベ製鉄」の社員300人に支払われる予定であったボーナスの金貨3000枚、日本円にして3億円が強奪されたのだ。
財務省の造幣局で新造されたボーナス用の金貨3000枚はいったん、造幣局の職員によって「カンベ製鉄所」のメインバンクである「ヤマビシ銀行」のチヨダ事務センターへと運ばれ、そしてチヨダ事務センターからムサシ地区にある「カンベ製鉄所」の本社へと運ばれる予定であり、強奪事件が発生したのはその道中であった。
チヨダ地区内にあるヤマビシ銀行チヨダ事務センターからムサシ地区内にあるカンベ製鉄所まではヤマビシ銀行の行員の手により金貨が運ばれる手筈であった。
具体的には金貨3000枚を後生大事に抱えた行員が幌馬車に乗り込み、そしてヤマビシ銀行が委託しているケービス警備保障より派遣された警備員がお目当ての目的地であるカンベ製鉄所へと馬を駆る手筈であり、実際、途中までは何ら支障はなかった。
それが道中…、ムサシ地区内の手前、フチュー地区内に差し掛かったところで、異世界警察の馬車…、後にそれは偽馬車と判明した、その馬車が待機しており、その偽馬車から降りて来た偽警察官によって現金輸送車ならぬ現金輸送幌馬車は停止を求められたのであった。
その偽警察官は「現金輸送幌馬車」を停止させるや、馬を駆っていた警備員に対して、
「幌馬車に爆弾を仕掛けたとの匿名の通報があったので、臨検すべく直ちに降りて欲しい…」
そう求めたそうで、すると警備員は元より、金貨3000枚を後生大事に抱えていた筈の行員も驚き、いや、慌てふためき、そのため何と金貨3000枚を幌馬車内に置き去りにして馬車から降りたそうな。
そして警備員も馬から降りたところでその偽警察官は幌馬車内を臨検するふりをして、あらかじめ用意しておいた発炎筒を発火させ、いかにも爆弾が爆発するよう、行員や警備員にそう見せかけ、すると偽警察官はその隙を突いて行員が金貨3000枚を置き去りにしてくれたその幌馬車ごと奪ったそうな。
それで警備員も行員もようやくに事態を飲み込み、警備員は偽警察官が置き去りにした偽馬車で追いかけようとした。偽警察官が奪った幌馬車は逆方向…、チヨダ地区方面へと逃げ去るのを警備員も行員も視認していたために、警備員は直ちに、奪われた幌馬車を追いかけるべく、その偽警察官が置き去りにした偽馬車で追いかけようとしたわけだが、しかし、ここでまさかの事態が起こった。いや、気付いたと言うべきか。
何と、偽馬車はその外見のみならず、馬さえも偽物、つまりは作り物のそれであり、これでは追跡のしようがなかった。
そのため警備員は走って近くのフチュー警察事務所に駆け込み、警察が事件を認知した次第である。
事件は直ちに受理したフチュー警察事務所からチヨダ都警に移管され、チヨダ都警が捜査に当たることになった。
実際に捜査の指揮を執るのは刑事捜査課長のテラオなる御仁であり、そのテラオ課長は最高検察庁に籍を置く一兵に捜査協力を求めたのであった。
検察にしても都警からの連絡を受けてチヨダ都検の事件係長のゴーハラ検事が捜査に加わることになっていたので、一兵はゴーハラ検事と共に捜査本部が置かれたチヨダ都警へと向かった。
ブラックが最高検察庁長官に就任してからちょうど一週間後、「異世界3億円事件」が発生した。命名者は他ならぬ一兵である。
異世界の製鉄所、「カンベ製鉄」の社員300人に支払われる予定であったボーナスの金貨3000枚、日本円にして3億円が強奪されたのだ。
財務省の造幣局で新造されたボーナス用の金貨3000枚はいったん、造幣局の職員によって「カンベ製鉄所」のメインバンクである「ヤマビシ銀行」のチヨダ事務センターへと運ばれ、そしてチヨダ事務センターからムサシ地区にある「カンベ製鉄所」の本社へと運ばれる予定であり、強奪事件が発生したのはその道中であった。
チヨダ地区内にあるヤマビシ銀行チヨダ事務センターからムサシ地区内にあるカンベ製鉄所まではヤマビシ銀行の行員の手により金貨が運ばれる手筈であった。
具体的には金貨3000枚を後生大事に抱えた行員が幌馬車に乗り込み、そしてヤマビシ銀行が委託しているケービス警備保障より派遣された警備員がお目当ての目的地であるカンベ製鉄所へと馬を駆る手筈であり、実際、途中までは何ら支障はなかった。
それが道中…、ムサシ地区内の手前、フチュー地区内に差し掛かったところで、異世界警察の馬車…、後にそれは偽馬車と判明した、その馬車が待機しており、その偽馬車から降りて来た偽警察官によって現金輸送車ならぬ現金輸送幌馬車は停止を求められたのであった。
その偽警察官は「現金輸送幌馬車」を停止させるや、馬を駆っていた警備員に対して、
「幌馬車に爆弾を仕掛けたとの匿名の通報があったので、臨検すべく直ちに降りて欲しい…」
そう求めたそうで、すると警備員は元より、金貨3000枚を後生大事に抱えていた筈の行員も驚き、いや、慌てふためき、そのため何と金貨3000枚を幌馬車内に置き去りにして馬車から降りたそうな。
そして警備員も馬から降りたところでその偽警察官は幌馬車内を臨検するふりをして、あらかじめ用意しておいた発炎筒を発火させ、いかにも爆弾が爆発するよう、行員や警備員にそう見せかけ、すると偽警察官はその隙を突いて行員が金貨3000枚を置き去りにしてくれたその幌馬車ごと奪ったそうな。
それで警備員も行員もようやくに事態を飲み込み、警備員は偽警察官が置き去りにした偽馬車で追いかけようとした。偽警察官が奪った幌馬車は逆方向…、チヨダ地区方面へと逃げ去るのを警備員も行員も視認していたために、警備員は直ちに、奪われた幌馬車を追いかけるべく、その偽警察官が置き去りにした偽馬車で追いかけようとしたわけだが、しかし、ここでまさかの事態が起こった。いや、気付いたと言うべきか。
何と、偽馬車はその外見のみならず、馬さえも偽物、つまりは作り物のそれであり、これでは追跡のしようがなかった。
そのため警備員は走って近くのフチュー警察事務所に駆け込み、警察が事件を認知した次第である。
事件は直ちに受理したフチュー警察事務所からチヨダ都警に移管され、チヨダ都警が捜査に当たることになった。
実際に捜査の指揮を執るのは刑事捜査課長のテラオなる御仁であり、そのテラオ課長は最高検察庁に籍を置く一兵に捜査協力を求めたのであった。
検察にしても都警からの連絡を受けてチヨダ都検の事件係長のゴーハラ検事が捜査に加わることになっていたので、一兵はゴーハラ検事と共に捜査本部が置かれたチヨダ都警へと向かった。
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