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同族の佐野善左衛門が意知を斬ったと知り気に病む佐野茂承を小笠原信喜が励まし、あまつさえ、善左衛門を大明神と称揚する理由 2
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治済は御三卿たる一橋家の当主として、平日も登城しては中奥にある御三卿の詰所である御控座敷に詰める特権を有していた。
治済はその特権をフルに行使、正邑が卒してからちょうど一週間後の11月27日にいつものように登城しては中奥にある己の詰所に詰めるや否や、将軍・家治に面会を懇請し、そして家治との面会が叶うや、そこで佐野茂承の名を挙げて正邑の後任にと、陳情に及んだのであった。
「大久保下野にしろ本堂伊豆にしろ、確かに畏れ多くも大納言様が…、家基公がご健在の折には両名共に家基公の御側衆として、家基公が御側近くに仕え奉りし者なれば成程、豊千代、いえ、家斉公の御側近くに仕え奉りし御側衆に如何にも適任かと思われまするが、なれどその理屈で申しますなれば、やはり御側衆として家基公が御側近くに仕え奉りし佐野右兵衛尉茂承も家斉公の御側近くに仕え奉りし御側衆に適任と申すものにて…、まして佐野右兵衛尉は大久保下野や本堂伊豆とは違うて…、あくまで平御側として畏れ多くも家基公が御側近くに仕え奉りし大久保下野や本堂伊豆とは違うて、御側衆の筆頭たる御用取次として畏れ多くも家基公が御側近くに仕え奉りし者なれば、その佐野右兵衛衛を差し置いて大久保下野、或いは本堂伊豆のどちらかを家斉公の御側近くに仕え奉りし御側衆に…、平御側としてお取り立てあそばされまするのは如何なものかと…」
治済はそう告げて、佐野茂承の起用を将軍・家治に陳情、嘆願したのであった。
本来、家斉に仕える御側衆は前代、即ち、家基に仕えていた御側衆をそのまま再任させたものであった。
無論、そこには一部の例外もあり、例えば水上美濃守興正などはやはり家基が生前、御側衆として、それも筆頭たる御用取次として家基の御側近くに仕えていた身なれど、しかし、興正が今度は家斉に仕えるべき御側衆として、それも筆頭たる御用取次として再任されることはなかった。
尤も、これは致し方のないことであり、それというのも水上興正は家斉の御側衆として再任される前に卒していたためであり、これでは再任させようにも無理というものである。
だがそれに対して、佐野茂承と本堂親房、大久保忠恕の三人はと言うと、水上興正とは違い、今でもそれこそ、
「ピンピン…」
健在であるにもかかわらず、この3人が家斉の御側近くに仕える御側衆として再任されることはなかった。
治済はその特権をフルに行使、正邑が卒してからちょうど一週間後の11月27日にいつものように登城しては中奥にある己の詰所に詰めるや否や、将軍・家治に面会を懇請し、そして家治との面会が叶うや、そこで佐野茂承の名を挙げて正邑の後任にと、陳情に及んだのであった。
「大久保下野にしろ本堂伊豆にしろ、確かに畏れ多くも大納言様が…、家基公がご健在の折には両名共に家基公の御側衆として、家基公が御側近くに仕え奉りし者なれば成程、豊千代、いえ、家斉公の御側近くに仕え奉りし御側衆に如何にも適任かと思われまするが、なれどその理屈で申しますなれば、やはり御側衆として家基公が御側近くに仕え奉りし佐野右兵衛尉茂承も家斉公の御側近くに仕え奉りし御側衆に適任と申すものにて…、まして佐野右兵衛尉は大久保下野や本堂伊豆とは違うて…、あくまで平御側として畏れ多くも家基公が御側近くに仕え奉りし大久保下野や本堂伊豆とは違うて、御側衆の筆頭たる御用取次として畏れ多くも家基公が御側近くに仕え奉りし者なれば、その佐野右兵衛衛を差し置いて大久保下野、或いは本堂伊豆のどちらかを家斉公の御側近くに仕え奉りし御側衆に…、平御側としてお取り立てあそばされまするのは如何なものかと…」
治済はそう告げて、佐野茂承の起用を将軍・家治に陳情、嘆願したのであった。
本来、家斉に仕える御側衆は前代、即ち、家基に仕えていた御側衆をそのまま再任させたものであった。
無論、そこには一部の例外もあり、例えば水上美濃守興正などはやはり家基が生前、御側衆として、それも筆頭たる御用取次として家基の御側近くに仕えていた身なれど、しかし、興正が今度は家斉に仕えるべき御側衆として、それも筆頭たる御用取次として再任されることはなかった。
尤も、これは致し方のないことであり、それというのも水上興正は家斉の御側衆として再任される前に卒していたためであり、これでは再任させようにも無理というものである。
だがそれに対して、佐野茂承と本堂親房、大久保忠恕の三人はと言うと、水上興正とは違い、今でもそれこそ、
「ピンピン…」
健在であるにもかかわらず、この3人が家斉の御側近くに仕える御側衆として再任されることはなかった。
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