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真実に触れる頃
テキル星(6)ティアの想い
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少し時間は遡る。
ティアは、シーナがショーエンに
「ショーエン、何か心配事なのですか?」
と言いながらベッドの上を四つん這いで近付いていくのを見ていた。
(ショーエンが心配事?)
ティアにはショーエンに心配事があるようには見えなかった。
ショーエンはいつも堂々としていて、いつも私を助けてくれて、いつも私達を見てくれる。
むしろ、私の不安なんてお見通しとでも言いたげなショーエンが、いったいどんな心配事を持っているんだろう。
そしてシーナがショーエンに抱き着く姿を見て「大丈夫、ショーエンならシーナの事も大切にしてくれる」と漠然と考えていた。
でも、ショーエンの私に対する気持ちと、シーナへの気持ちは、何かが少し違う。
それが何なのか、私にはまだ分からない。
でも、シーナの気持ちは私にはよく分かる。
だって、シーナは私と同じで、ショーエンの事が大好きだから。
昨日の私は、ショーエンにものすごく深く愛してもらえた。
今までに感じた事の無い感覚が芽生え、私の身体は、もうショーエン無しでは生きていけないのではないかとさえ思った。
それはシーナはまだ知らないものの筈。
「任せてほしいのです!」
とシーナが言って、立ち上がった。
ショーエンに仕事を任されて、さっきまで元気が無かったはずなのに、あっという間にいつものシーナだ。
やっぱりショーエンは凄い。
そして私は、そんなショーエンの妻なんだ。
「神殿に行ってくるのです!」
と言って元気に部屋を出て行くシーナ。
それを「おお・・・ 頼んだぞ・・・」と、苦笑しながら見送るショーエン。
「ねえ、ショーエン」
と私が声を掛けると
「ん?どうした?」
とショーエンがこちらを振り向く。
ショーエンは右腕を広げ、まるで「こちらにおいで」と言ってる様に私を誘う。
私も吸い寄せられる様にショーエンに近づいていき、その腕に抱かれる。
ショーエンの胸に顔を埋め、ショーエンの匂いをいっぱいに吸い込む。
「好き・・・」
と自然に声が漏れる。
ショーエンは私の背中を両手で抱いて
「ああ、俺もだ」
と私の頭に軽くキスをする。
(ああ・・・ なんて幸せなんだろう。)
この気持ちが何なのか、ずっと考えてた。
学園に居た時から、ずっと。
そのころから、身体にも異変が現れた。
時々感じる胸の奥の痛み。
それはチクチクと胸の奥を針で刺すような・・・
そして、時々感じる下腹部の疼き。
でも、それは嫌な感じじゃなくて、何だか甘美な疼きでもあった。
初めてショーエンが寝ている隙にキスをした時に感じた、全身に電気が走るような感覚・・・ そしてその後に来る甘美な疼き。
その疼きを感じる度に、ショーエンへの気持ちが吹き出しそうになった。
初めて3人で惑星疑似体験センターに行った時、ミリス星の宿屋で見た男女の生殖行為。
あんなに人間同士が触れ合って、しかも一糸纏わぬ裸の状態で・・・
とても驚いたけど、もしあれが「ショーエンと私の姿だったら」と私は考えてしまった。
すると胸が締め付けられる様な感覚に襲われて、息をするのも苦しくなった。
そして胸の奥から下腹部に走る電気の様な甘い疼き。
疑似体験センターを出る時に、ひんやりとした下着の湿りを感じて、あわててトイレに行った。
でも、それは私の見た事の無い状態だった。
何かの病気かも知れないと思って、デバイスで情報を集めたら、クレア星の夫婦の生殖行為の情報に行き着いた。これは相思相愛になった女性の身体に起こる現象だと知った。
そして、それが生殖行為を求める自然な現象なのだとも。
そして私は知った。
私は、ショーエンと生殖行為がしたいんだ。
だから私は、ショーエンの身体にできるだけ近づいていたかった。
なのに、その時は「生殖行為がしたい」という気持ちを知られるのが恥ずかしくて、手を繋ごうと言ってくれたショーエンの手さえ触れる事が出来ずに逃げてしまった。
その後もレストランでは平気な顔でいるようにしてたけど、ショーエンを見ている時、ショーエンが私に話しかけてくれた時、私の胸の奥は、何かのポンプを絞ってでもいるかの様にキュンキュンと鳴って下腹部に電気が走っていた。
もう感情が爆発しそうになっていた。
なのに、帰り道でショーエンは、シーナに「どんな男と結婚したいんだ?」と訊いた。
衝撃だった。
それは、私にこそ訊いて欲しいセリフだった。
しかもシーナは臆面も無く、堂々と、まるでそれが当然でもあるかの様に
「ショーエンに決まっているのです」
と答えた。
私は怖くなった。
もしもショーエンがシーナと結婚したら、私はどうなってしまうのかと。
だから思わず言ってしまった。
「私には・・・聞かないの?」
私は言ってからハッとした。
これはショーエンが決める事なのに、私がこんな事をショーエンに求めるなんて。
ショーエンは、いつも私達に優しく接してくれる。
それに、私が多くを望まなければ、いつでもショーエンとは触れ合っていられる。
ショーエンは、そういう人だから。
だけどその時、ショーエンは私に言った。
「俺はお前と、結婚を前提に付き合いたいと思っているぞ」
その後の事はあまり覚えていない。
ただ、自分では制御が出来ないほどに心が大きく揺さぶられて、ただ涙が止まらなかった事だけは覚えている。
石像の様に固まったシーナの恰好が、何だか可笑しくて、揺さぶられた心のせいか、自然と笑ったような気もする。
生まれて初めて、自分では制御できない「笑う」という行動。
きっと私の心のどこかにあった「新しい扉」をショーエンが開いたんだ。
ショーエンは凄い人。
私の心をここまで揺さぶって、私をティアという一人の人間にしてくれた人。
私が「私でいいんだ」と信じさせてくれた人。
そして、私の大切な友達、シーナの事もきっと、大切にしてくれる人。
そんなショーエンを、昨夜は私が独り占めにしてしまった。
とても幸せな時間だったけど、今日のシーナは朝から元気が無かった。
きっとシーナは知ってたんだと思う。
もしかしたら昨夜の私達の事も・・・
私がショーエンとシーナに感じていた、この胸が苦しくなるような気持ちを、シーナも抱いていたんだと思う。
だから今日は、ショーエンをシーナに譲ろう。
ショーエンならきっと大丈夫。
私の事を一人にしたりはしない。
そして、シーナの事も。
だって、私もシーナも、今はショーエンの妻なんだから。
デバイスに刻まれた「ティア・ヨシュア」の名。
私の家名は、ショーエンと同じになったんだ。
この繋がりは、簡単には切れない。
「愛してる・・・」
私は、ショーエンの胸の中でもう一度そう言った。
「ああ、俺もだ」
とショーエンも言ってくれた。
だから大丈夫。
ショーエンは、私を愛してくれているから。
だからこんな事が言えたんだ。
「ショーエン、今日はシーナを愛してあげてほしい」
そう言った時、背後で部屋の扉が開く音が聞こえたのだった。
ティアは、シーナがショーエンに
「ショーエン、何か心配事なのですか?」
と言いながらベッドの上を四つん這いで近付いていくのを見ていた。
(ショーエンが心配事?)
ティアにはショーエンに心配事があるようには見えなかった。
ショーエンはいつも堂々としていて、いつも私を助けてくれて、いつも私達を見てくれる。
むしろ、私の不安なんてお見通しとでも言いたげなショーエンが、いったいどんな心配事を持っているんだろう。
そしてシーナがショーエンに抱き着く姿を見て「大丈夫、ショーエンならシーナの事も大切にしてくれる」と漠然と考えていた。
でも、ショーエンの私に対する気持ちと、シーナへの気持ちは、何かが少し違う。
それが何なのか、私にはまだ分からない。
でも、シーナの気持ちは私にはよく分かる。
だって、シーナは私と同じで、ショーエンの事が大好きだから。
昨日の私は、ショーエンにものすごく深く愛してもらえた。
今までに感じた事の無い感覚が芽生え、私の身体は、もうショーエン無しでは生きていけないのではないかとさえ思った。
それはシーナはまだ知らないものの筈。
「任せてほしいのです!」
とシーナが言って、立ち上がった。
ショーエンに仕事を任されて、さっきまで元気が無かったはずなのに、あっという間にいつものシーナだ。
やっぱりショーエンは凄い。
そして私は、そんなショーエンの妻なんだ。
「神殿に行ってくるのです!」
と言って元気に部屋を出て行くシーナ。
それを「おお・・・ 頼んだぞ・・・」と、苦笑しながら見送るショーエン。
「ねえ、ショーエン」
と私が声を掛けると
「ん?どうした?」
とショーエンがこちらを振り向く。
ショーエンは右腕を広げ、まるで「こちらにおいで」と言ってる様に私を誘う。
私も吸い寄せられる様にショーエンに近づいていき、その腕に抱かれる。
ショーエンの胸に顔を埋め、ショーエンの匂いをいっぱいに吸い込む。
「好き・・・」
と自然に声が漏れる。
ショーエンは私の背中を両手で抱いて
「ああ、俺もだ」
と私の頭に軽くキスをする。
(ああ・・・ なんて幸せなんだろう。)
この気持ちが何なのか、ずっと考えてた。
学園に居た時から、ずっと。
そのころから、身体にも異変が現れた。
時々感じる胸の奥の痛み。
それはチクチクと胸の奥を針で刺すような・・・
そして、時々感じる下腹部の疼き。
でも、それは嫌な感じじゃなくて、何だか甘美な疼きでもあった。
初めてショーエンが寝ている隙にキスをした時に感じた、全身に電気が走るような感覚・・・ そしてその後に来る甘美な疼き。
その疼きを感じる度に、ショーエンへの気持ちが吹き出しそうになった。
初めて3人で惑星疑似体験センターに行った時、ミリス星の宿屋で見た男女の生殖行為。
あんなに人間同士が触れ合って、しかも一糸纏わぬ裸の状態で・・・
とても驚いたけど、もしあれが「ショーエンと私の姿だったら」と私は考えてしまった。
すると胸が締め付けられる様な感覚に襲われて、息をするのも苦しくなった。
そして胸の奥から下腹部に走る電気の様な甘い疼き。
疑似体験センターを出る時に、ひんやりとした下着の湿りを感じて、あわててトイレに行った。
でも、それは私の見た事の無い状態だった。
何かの病気かも知れないと思って、デバイスで情報を集めたら、クレア星の夫婦の生殖行為の情報に行き着いた。これは相思相愛になった女性の身体に起こる現象だと知った。
そして、それが生殖行為を求める自然な現象なのだとも。
そして私は知った。
私は、ショーエンと生殖行為がしたいんだ。
だから私は、ショーエンの身体にできるだけ近づいていたかった。
なのに、その時は「生殖行為がしたい」という気持ちを知られるのが恥ずかしくて、手を繋ごうと言ってくれたショーエンの手さえ触れる事が出来ずに逃げてしまった。
その後もレストランでは平気な顔でいるようにしてたけど、ショーエンを見ている時、ショーエンが私に話しかけてくれた時、私の胸の奥は、何かのポンプを絞ってでもいるかの様にキュンキュンと鳴って下腹部に電気が走っていた。
もう感情が爆発しそうになっていた。
なのに、帰り道でショーエンは、シーナに「どんな男と結婚したいんだ?」と訊いた。
衝撃だった。
それは、私にこそ訊いて欲しいセリフだった。
しかもシーナは臆面も無く、堂々と、まるでそれが当然でもあるかの様に
「ショーエンに決まっているのです」
と答えた。
私は怖くなった。
もしもショーエンがシーナと結婚したら、私はどうなってしまうのかと。
だから思わず言ってしまった。
「私には・・・聞かないの?」
私は言ってからハッとした。
これはショーエンが決める事なのに、私がこんな事をショーエンに求めるなんて。
ショーエンは、いつも私達に優しく接してくれる。
それに、私が多くを望まなければ、いつでもショーエンとは触れ合っていられる。
ショーエンは、そういう人だから。
だけどその時、ショーエンは私に言った。
「俺はお前と、結婚を前提に付き合いたいと思っているぞ」
その後の事はあまり覚えていない。
ただ、自分では制御が出来ないほどに心が大きく揺さぶられて、ただ涙が止まらなかった事だけは覚えている。
石像の様に固まったシーナの恰好が、何だか可笑しくて、揺さぶられた心のせいか、自然と笑ったような気もする。
生まれて初めて、自分では制御できない「笑う」という行動。
きっと私の心のどこかにあった「新しい扉」をショーエンが開いたんだ。
ショーエンは凄い人。
私の心をここまで揺さぶって、私をティアという一人の人間にしてくれた人。
私が「私でいいんだ」と信じさせてくれた人。
そして、私の大切な友達、シーナの事もきっと、大切にしてくれる人。
そんなショーエンを、昨夜は私が独り占めにしてしまった。
とても幸せな時間だったけど、今日のシーナは朝から元気が無かった。
きっとシーナは知ってたんだと思う。
もしかしたら昨夜の私達の事も・・・
私がショーエンとシーナに感じていた、この胸が苦しくなるような気持ちを、シーナも抱いていたんだと思う。
だから今日は、ショーエンをシーナに譲ろう。
ショーエンならきっと大丈夫。
私の事を一人にしたりはしない。
そして、シーナの事も。
だって、私もシーナも、今はショーエンの妻なんだから。
デバイスに刻まれた「ティア・ヨシュア」の名。
私の家名は、ショーエンと同じになったんだ。
この繋がりは、簡単には切れない。
「愛してる・・・」
私は、ショーエンの胸の中でもう一度そう言った。
「ああ、俺もだ」
とショーエンも言ってくれた。
だから大丈夫。
ショーエンは、私を愛してくれているから。
だからこんな事が言えたんだ。
「ショーエン、今日はシーナを愛してあげてほしい」
そう言った時、背後で部屋の扉が開く音が聞こえたのだった。
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