DIYと異世界建築生活〜ギャル娘たちとパパの腰袋チート

みーくん

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第四章

第八話

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竜車は遅いが、快適だった。

自動車と比べること自体がおかしいが、
人が早歩きする程度の速度で、
イグアナは、のっそのっそと進んでいた。

ドラゴンソーセージを挟んだホットドッグを咥える娘達。

イグアナにも食わせてやったら──
なんか、恐れられた。

今、走っている道は、街と街を繋ぐ街道らしく──
たまに他の馬車とすれ違う。

わりと豪華な装飾の馬車も通る。
スパリゾートのお客なんだろうか?

急ぐ旅でもないので、のったりのったりと──
進む龍車イグアナハイエースの窓から、ぷかっと煙を吐き出す。

焼酎ミニ五郎を片手に、景色を眺めるおっさん。

娘達は、トカゲの背中に登り、大騒ぎしている。

薄暗くなったら、道から外れた。
現場事務所プレハブを召喚し、今夜の宿とする。

メシは、適当に焼いた肉と米。

トカゲは、バケツ一杯ほど食った。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

辺りの地形は、たまにデカい岩、たまに林、たまに盗賊──

「……なんか来たな……」

小汚い格好の男たちが、わらわらと
プレハブと馬車の周りを伺っている。

おっさんは焦る。

樹海で化け物を殺して捌いて食っていたくせに、
対人となると話が違う。

おっさんは、前世を含め──今まで
人と喧嘩したことがない。

強気なクレーマー体質のお客様相手でも、
丁寧な説明と真摯な対応でこなしてきた。

最後には、「あなたに頼んで良かった」と
笑顔で仕事を終わらせてきた。

とてもじゃないが──ラノベ主人公みたいに
武器を出して皆殺しにするなんて、できるわけがない。

「おい、お前らは絶対に出てくるなよ?」

娘達に強めに言い聞かせる。

恐る恐るドアを開け──
出た瞬間、すぐ後ろ手に鍵をかけた。

「おめぇ達、なんの用だ?」

体格のでかい、班長リーダーっぽい男に、できるだけ大きな声で話しかける。

こちらに気がついた男たちは……
ゾロゾロと俺を囲うように集まってくる。

怖い……何人いるんだ?

班長らしき男は、目の前まで来た。

──二メートルくらいある。
──ゴッツイ裸に革ジャンを羽織っている。
──手には、鉈っぽいものを持っている。

「金か?食料か?なにが欲しいんだ!?」

死にたくない。絶対に死にたくない。

いざとなれば……
なにを出せばいいんだ?

ラノベみたいに、相手の頭上に重機を召喚するなんて芸当はできない。
腰袋からしか道具は出せない。

ダンプに乗り込んで轢き殺す?
できるわけがない。

「全部だよ…」

班長は鉈を手の上でジャグリングしながら呟く。

「全部ってなんだ?俺を殺したいのか?」

聞くが…

「てめぇになんの恨みもねぇがな…
  こっちにゃ食いっぱぐれた奴らが一杯いるんだ」

あぁそうゆう。

俺は胸を撫で下ろす。

そんなことかよ。

落ち着いてよく見ると、班長はイケメンだった。
蛮族のくせに、髪にメッシュが入ってる。
鉈を器用に両手でクルクル
曲芸みたいだ。

「わかったよ、お前に全部やるよ。」

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

和解した。
丁寧な説明と分かりやすいプレゼン。
今後の展望と向き不向きなど、真摯に応対し、対策を講じ、最適なアンサーに導き…

彼らをスパリゾートのファイアーダンサーに雇用した。
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