DIYと異世界建築生活〜ギャル娘たちとパパの腰袋チート

みーくん

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第六章

第十二話

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「いや~しかし…」

半年も潜ってたんだっぺか?

という言葉を飲み込む。

後ろを着いて来るストーキングリリの様子がおかしい。
顔を赤くし、ハァハァと息が荒い。

具合でも悪いのか?と家まで搬送することも含め心配すると…

「ご…」

「ご?」

「ごはん…たべしゃせてくらしゃい…」

飢えてただけだった。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

「バエとやらがなぁ……」

おっさんは、インスタグラムとやらには縁がない。
携帯電話も、仕事用の連絡と現場写真くらいにしか使ってなかった。

“バエ”という言葉の意味も──
なんとなくの雰囲気でしか、分かっていない。
だが不思議なことに、おっさんの撮る現場写真は、
度々何者かによって転載され、バズっていた。

過去の話だ。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

そんな時──道の向こうのほうから鎧に身を固めて走って来る集団…たまに見かける騎士みたいな連中…

と、低空をこちらに向かって滑空してくる
ワニ蝙蝠ワイバーン

「あぶねーんでねーの?」

娘達を庇い、イラっときたおっさんは…

以前、印刷ミスのせいで、現場までいって取り付け出来なかった…

紅きトライアングル道路標識を投げつけてやった。

スパーン!

首を失う翼竜。

シュルシュルと高速回転し、おっさんの手に戻ってきたでかい鉄板には…

「止れま」

と書いてあった。



ザァッサアァァァァァァァァ!!!

と地を滑る爬虫類……いや鳥類か?
…から投げ出され、頭を打ちグッタリする運転手。

「呑んだら乗るなだっぺ」

と我が行いをかえりみないおっさん。

ようやく駆けつけた騎士風の鎧男達が、運転手を捕縛してゆく。

警察なのか?とぼんやり見つめるおっさんの妄想は、さほど外れてもいなく…

「逮捕協力に感謝する!!」

とリーダーっぽい鎧が話しかけて来る。

事情を聞けば、さっきの爬虫類で王宮に突撃して悪さをしたとかなんとか…

そんなことよりもおっさんは、首の無くなったワイバーンを見て、

「これ、貰ってもいいけ?」

とマイペース。

犯人さえ拘束出来れば問題ないらしく、美味そうな食材をゲットできたおっさんであった。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

キッチンに入り、すぐに出て来るおっさん。
「できるわけあんめーありませんよね

ぶつぶつ言いながら外へ出てゆく。

石垣を降り、庭の真ん中にステージ足場を組む。

これは、ちょっとした吹き抜けのある住宅の天井施工や…あれだ、よくやったのは
衣料品店ユニクロみたいな大規模な天井貼り。
何百枚という石膏ボードを貼る現場で活躍する、風呂場一坪くらいの仮設足場のステージだ。

高さはさほどない。地上1メートルくらいだ。

そこにさっきの爬虫類をドドーンと置く。

翼は邪魔くさいので、セーパーソーで切り取る。
だが出汁にはなるので冷蔵庫だ。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

まずは米を炊く。
だが、量が量だ。大型バイクくらいある本体に、一体何合の米が必要なのか…
思案していると思い出す。

おっさんは建築前の造成工事でよく乗っていた
ブルドーザーと召喚し、バケットを上に向けて中を確認。
汚れてもいない、いちおう高圧洗浄し、
水気を拭いたら刷毛でラードを塗りたくる。
これをしないと焦げて半分以上食えなくなる。
森の蜂の子を投入。
量は目安だが、約200合だ。

チキンスープ澄んだ魔石汁をドボドボ注ぎバター発酵魔石も入れて炊く。
最近知ったことだが、トゥエラのくそ重い斧は…
取っ手がとれたティファール
その取っ手をバケットに当てると…
沸騰を始めた。

ローズマリーの葉薬草タイム毒消し草セージ痺れ薬ニンニク山百合スライスを混ぜ合わせて、レモン鋭い魔石汁をかけて混ぜる。
爬虫類ワイバーンは、まず大量のバスタオルで水分、腹の中をよく拭く。
炙って毛を焼き、削岩魔石をバサバサと振りかける。
その後ニンニクスライスを、皮と身の間に突っ込みレモン汁を全体に擦り込む。

炊いておいたバターライスを、オリーブオイルで炒め、野菜を加えて軽く塩胡椒でピラフに。

ピラフをワイバーンのお腹にスコップで詰め込み、お尻の所を番線とラチェットで締め上げる。

風呂桶一杯程度の塩を全体に擦り揉み、常温で放置。1時間程度の間に、

焼却炉に斧を入れ予熱しておき、ワイバーンを入れる。

先ずは様子見。身体の下には落ちないように鉄筋が並ぶ。

照りが出て焦げる前に、温度を下げてまた暫く置く。

これで、胸肉の火の入り過ぎ防止。途中2度ほど開けて刷毛で下のオイルを塗る。

最後は、火力を上げて、もう少し焼く。この仕上げまでの感覚は、火が十分通っている事を見て勘で決める。

仕上げに焼けたワイバーンを、オリーブオイルを熱した鉄板車道用に寝かせて、焼き目をつけて完成。

そして………



夜会の始まりだ。

娘達は烏龍燻し薬草

リリは呑めるそうなので、冷やした故郷の酒上善如水を注いでやる。

おっさんはいつもの大五郎だ。

——箸を入れると、パリッと音を立てて皮が割れた。
香ばしい焦げ目の下からは、艶やかな脂がじゅわりと滲み出す。

ひとくち。
熱っついピラフを口に運ぶトゥエラの目が、まるくなった。

「……と、とろける……っ」

それは、肉のうまみとバターの香りが折り重なる──
爆発寸前の“うまみ火山”。

ほんの少し遅れて、スパイスの余韻が喉をくすぐり、
ピラフのひと粒ひと粒が、口内で小さく弾けるようだった。

テティスは無言で、目だけで語っている。
かつてない集中力でフォークを握り、焼き上がった尻尾の付け根から、肉をひと塊ごと削ぎ取っていく。

その舌に触れた瞬間——彼女の眉が、ゆるんだ。

「……っふ……」

冷静沈着な彼女から漏れた、心底ゆるんだ吐息。
それだけで、この料理の説得力は、もはや十分すぎた。

リリはというと、頬を桃色に染め、目を潤ませながら、

「んほぁあああぁぁん……」

という、どう表現してもアウトな声を出しながら──
無言で、皿におかわりを山盛りにしていた。

その姿を見ながら、おっさんは酒をちびちび。
焼いた骨のあいだから、しゃぶり取ったゼラチン質に舌鼓を打ちつつ、
こうつぶやく。

「……脂っこいんだけどよぉ……」

ふぅと一息ついて、

「……なんだろな。超うめぇわ、これ」

赤い月の下、
食卓の中心に転がったワイバーンからは、まだほのかに湯気が立っていた。

それはまるで、天から降ってきた──
祝福の煙だったのかもしれない。

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