DIYと異世界建築生活〜ギャル娘たちとパパの腰袋チート

みーくん

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第八章

第十一話

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娘達みんなが頑張って捕ってきたヘビを、
せっかくなので調理してみることにした。

夕食の段取りは、すでに終わっていて、
午前中から8時間ほど煮込まれたおでんが、
シャトルシェフ保温鍋に潜んでいた。

トマトやオクラや豆腐、コーンなど、おでんとしては変わり種だが…

今日も暑かったので、これをテティスに急速冷蔵して貰えば、
やや薄味に仕込んだこともあり、
美味しい冷やしおでんになることであろう。

毒好きなセーブルのために、わざわざ生きたまま結んで積んできたらしいヘビは、
愛弟子も呑んだことがない毒らしく、大層喜んだ。

一瞬ゴクリと喉が鳴るが…
頭を振り正気に戻す。
二度死ぬおっさんは何度も死ぬ…訳にはいかないのだ。

毒を回収し終わったようなので、首を刎ねて解体する。
最初、顔が異様にでかくて迫力があったので、
大蛇なのかと思っていたが…
胴体は意外と細かった。
大体、おっさんの腕くらいだろうか?
まぁ…そんな太さのヘビが、もし日本の街中に出たら、大パニックになるだろうが…

──あくまで異世界基準である。

三枚に下ろすか、挽肉にするか…と思案していると、
リリがやってきた。

「旦那様、こちらの蛇は、ポンでもないそうです。」

と可笑しなことを言い出す。

だが、リリの言う書類魔法の手順を信頼して、皮を剥き、薄切りのぶつ切りにし、
丁寧に砂糖を揉み込んで、180℃の油で揚げてみると……

ぽぽぽぽぽぽぽーーーん

と小気味のいい音が響き渡り、なんと蛇は…
ドーナッツポンデリングになった。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

大皿に、異様な光沢のあるドーナッツを山盛りに並べる。
そしてヘビの頭部から摘出された魔石は──
見た目はまるで、べっこう飴のような琥珀色の塊だった。

「まぁ…甘そうだし?」
と軽いノリで、耐熱ボウルに入れ、軽くレンチン。

すると…ぷるんと溶けて、
トロ~リ、みたらしのタレになったのである。

──
おでんも、鍋ごとテティスに冷却してもらい、
それぞれの器に丁寧に盛り付ける。

冷蔵庫と違い、テティスの魔法は──
80℃を超える熱い鍋でも、瞬時にギリギリ凍らない温度まで冷やせるのだ。

そのおかげで、白く脂が浮くこともなく、
彩りも崩れず、出汁の香りも損なわない。

出来上がったのは、
野菜たっぷり、手羽先ゴロゴロの“冷やしおでん”である。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

皆のリクエストにより──
みたらしのタレは、
ドーナッツの大皿にどばぁっとぶっかけられた。

砂糖を擦り込み揚げ、そこにみたらし…
おっさんは見ているだけでアイツ胃酸がよじ登ってきそうになった。

キャッチャーミットほどもある大きな手羽先と、
黄金のタレみたらしでベットベトのドーナッツを、両手にひとつずつ握りしめ──
満面の笑みを浮かべるトゥエラ。

「しょっぱあましょ~♪しょっぱあましょ~♪」

ご機嫌で歌いながら、ぐっちゃぐちゃに食べ進めていく。

テティスは、さすが立派なギャルである。
ナイフとフォークを構え、
丸ごと煮込まれたトマトを優雅に切り分けている。

…が、残念なことに口を開けてクッチャクッチャと咀嚼していて、おっさんは苦笑した。

リリは久しぶりに……ビシッと着込んだ、
シックで洗練されたスーツが──
ぽぽぽぽぽーーん!
見事に破裂していた。

「アフワァァァァァン♡甘じょっぱいぃぃ~♡」



パステリアーナ王女はというと、相変わらず。
口元ひとつ汚さずに、ドーナッツも手羽先も……
スッ……と吸い込んでいく。

まるでイリュージョン。
だが、おっさんは確信していた。

あの首元の黒石風呂栓
ありゃあ、まだまだ何か隠してる──。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

皆の沸る食欲を眺めながら、おっさんの皿にはオクラが3本のみ。
鰹と鶏の旨みが凝縮され、そしてアイスみたいに冷やされたコイツは、

こでらんねぇ美味しいですねなぁ…こりゃこのオクラは
と焼酎も捗る。

前回の失敗を悔いたセーブルは、
決しておっさんに奪われないように、ストーンウッドを削り出しマイジョッキを作った。
皆との乾杯は、空いた手で拳をにぎり行い、
決してグラスはぶつけない。
冷蔵庫から出してきた牛乳を半分ほど入れ、
美味そうにジョッキを傾けているので、

「今日の毒杯は美味いんけ?」

とおっさんが尋ねると、

「甘くて濃厚です。カルーアミルクですね。」

だそうだ。

おっさんの喉は、もう一度鳴った。
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