10 / 18
1章
10話 理不尽
しおりを挟む
後半、なんと佐古はグローブをはめGKになっていた。
開始直後から8人全員でペナルティエリアに篭もり、1点を守り切ろうとする。
俺がシュートを外してゴールキックになってもロングキックを蹴るでもなく、ずっと俺たちのターンが続いた。
開始5分でこぼれ球を俺が押し込んで同点、そのあとコーナーキックでニアに飛び込んで逆転に成功。
佐古はキーパーとしては状況判断が悪く、大したレベルじゃない。
他の選手も、たいしたことない。
楽勝だと思った。
そのままウチのチームの攻勢が続いたけど追加点は取れなかった。
残り数分での佐古のゴールキックのシーンだ。
佐古チームの一際小さな選手9番がふらふらと歩いてウチのペナルティエリア付近まで歩いてきた。
ウチのチームはGK紀香までハーフライン付近まで前に来ている。
例えゴールキックが届いたとしてもオフサイドだ。
ウチのチームの監督からもなんの指示もなかった。
ズドン!
佐古がとんでもないロングキックを蹴る。
ボールはなんとウチのペナルティエリアまで飛び、9番がなんとかトラップして無人のゴールに流し込む。
当然線審が旗を上げる。
そりゃそうだ。
オフサイドに決まってる。
観客や仲間から失笑が漏れる。
だが、主審が線審の所へ行って何か話すとゴールが宣告された。
俺達は審判に
「どうみてもオフサイドだろ!」
と言い寄った。
佐古よりも小さい中年男性の主審は首を横に振った。
「ゴールキックはオフサイドにならない。ちゃんとゴールだよ」
ウチの監督も驚いている。
知らなかったらしい。
よく審判もやってる癖に。
これだから弱小なんだよ!
監督への怒りを感じつつ、残りの時間での追加点を目指した。
この大会は延長戦はなくPK3本勝負。
紀香もPKは得意だけど俺は嫌な予感を感じていた。
俺の予感は当たった。
PK戦は紀香が1本止めた。
だけど佐古は2本止めた。
最後のキッカーの俺のシュートはゴールポストに当たりウチのチームは敗退した。
理不尽な納得の行かない負け方だった。
だけど、俺は佐古の事を初めて見るスペシャルな個の力を持った選手だと思った。
少し憧れにも似た感情を抱いた。
俺はその試合後アイツに追いつこうと必死に練習した。
そのかいもあって6年生の最初フロンターレのセレクション参加人数300人の中で唯一の合格者になる事が出来た。
佐古は県内ではそこそこ有名な街クラブに移籍し、完全にGKに転向したと聞いた。
俺は小6の大会で全国ベスト4まで行き、中学ではフロンターレのジュニアユースに進んだ。
佐古はそのまま街クラブのジュニアユースに入ったらしい。
中2になって佐古のいるチームとの練習試合があった。
久々の対決に心躍らせ会場へ向かうとそこに佐古は居なかった。
佐古のチームメイトに聞くと、
「あぁ、佐古?怪我ばっかりで1年の冬には辞めちまったよ。監督のお気に入りだったのにな。サッカーもうやってないらしいよ」
あんなにフィジカルに恵まれた選手があっさりと辞めてしまったと聞き、俺は落胆した。
それを聞いて俺は佐古の事を強く意識していた事を実感した。
小5のあの試合は俺たちにとって大きな転機になっていたのだ。
双子の妹紀香はあの試合を機にサッカーへの情熱を失ったように見えた。
逆に俺はサッカーへの情熱が高まった。
いつか佐古と対戦して今度は圧倒的な実力で倒す。
それを大きな目標にしていたらしい。
だけど、あいつはあっさりとサッカーを辞めてしまった。
そう思っていた。
紀香とたまたま見に行った磐田の試合で、突然佐古が出てきた時自分の鼓動が不穏に激しくなるのを感じた。
しかもアイツはとんでもない武器を引っさげて現れた。
開始直後から8人全員でペナルティエリアに篭もり、1点を守り切ろうとする。
俺がシュートを外してゴールキックになってもロングキックを蹴るでもなく、ずっと俺たちのターンが続いた。
開始5分でこぼれ球を俺が押し込んで同点、そのあとコーナーキックでニアに飛び込んで逆転に成功。
佐古はキーパーとしては状況判断が悪く、大したレベルじゃない。
他の選手も、たいしたことない。
楽勝だと思った。
そのままウチのチームの攻勢が続いたけど追加点は取れなかった。
残り数分での佐古のゴールキックのシーンだ。
佐古チームの一際小さな選手9番がふらふらと歩いてウチのペナルティエリア付近まで歩いてきた。
ウチのチームはGK紀香までハーフライン付近まで前に来ている。
例えゴールキックが届いたとしてもオフサイドだ。
ウチのチームの監督からもなんの指示もなかった。
ズドン!
佐古がとんでもないロングキックを蹴る。
ボールはなんとウチのペナルティエリアまで飛び、9番がなんとかトラップして無人のゴールに流し込む。
当然線審が旗を上げる。
そりゃそうだ。
オフサイドに決まってる。
観客や仲間から失笑が漏れる。
だが、主審が線審の所へ行って何か話すとゴールが宣告された。
俺達は審判に
「どうみてもオフサイドだろ!」
と言い寄った。
佐古よりも小さい中年男性の主審は首を横に振った。
「ゴールキックはオフサイドにならない。ちゃんとゴールだよ」
ウチの監督も驚いている。
知らなかったらしい。
よく審判もやってる癖に。
これだから弱小なんだよ!
監督への怒りを感じつつ、残りの時間での追加点を目指した。
この大会は延長戦はなくPK3本勝負。
紀香もPKは得意だけど俺は嫌な予感を感じていた。
俺の予感は当たった。
PK戦は紀香が1本止めた。
だけど佐古は2本止めた。
最後のキッカーの俺のシュートはゴールポストに当たりウチのチームは敗退した。
理不尽な納得の行かない負け方だった。
だけど、俺は佐古の事を初めて見るスペシャルな個の力を持った選手だと思った。
少し憧れにも似た感情を抱いた。
俺はその試合後アイツに追いつこうと必死に練習した。
そのかいもあって6年生の最初フロンターレのセレクション参加人数300人の中で唯一の合格者になる事が出来た。
佐古は県内ではそこそこ有名な街クラブに移籍し、完全にGKに転向したと聞いた。
俺は小6の大会で全国ベスト4まで行き、中学ではフロンターレのジュニアユースに進んだ。
佐古はそのまま街クラブのジュニアユースに入ったらしい。
中2になって佐古のいるチームとの練習試合があった。
久々の対決に心躍らせ会場へ向かうとそこに佐古は居なかった。
佐古のチームメイトに聞くと、
「あぁ、佐古?怪我ばっかりで1年の冬には辞めちまったよ。監督のお気に入りだったのにな。サッカーもうやってないらしいよ」
あんなにフィジカルに恵まれた選手があっさりと辞めてしまったと聞き、俺は落胆した。
それを聞いて俺は佐古の事を強く意識していた事を実感した。
小5のあの試合は俺たちにとって大きな転機になっていたのだ。
双子の妹紀香はあの試合を機にサッカーへの情熱を失ったように見えた。
逆に俺はサッカーへの情熱が高まった。
いつか佐古と対戦して今度は圧倒的な実力で倒す。
それを大きな目標にしていたらしい。
だけど、あいつはあっさりとサッカーを辞めてしまった。
そう思っていた。
紀香とたまたま見に行った磐田の試合で、突然佐古が出てきた時自分の鼓動が不穏に激しくなるのを感じた。
しかもアイツはとんでもない武器を引っさげて現れた。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる