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前編
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ベルザは王国の貴族令嬢として生まれる。
家柄は王族に次ぐ公爵で、彼女の人生には既に他者によってレールが敷かれていた。
しかしそのレールはことごとく破壊された。
彼女の持つおとぎ話の英雄のような力によって。
◇◇◇◇
「ベルザ、婚約破棄してくれないか」
何処かで私も気が付いていた。マルスが私のことを愛していないことに。
生まれた時から決められた婚約、しかも相手は王国の第1王子。
国のために私とも嫌々付き合ってくれていたのは知っていたけど…やっぱり心が痛い。
「理由を…教えてくださいませんか?」
せめて私の何がいけなかったのか。
それだけでも知っておきたかった。
マルスは表情をこれでもかと歪ませながら言い放つ。
「僕は…もっと謙虚でおしとやかな女の子が好きなんだ!なのにベルザときたら休日は冒険者と混じって魔獣狩りやダンジョン攻略!?お土産がゲオルグタイガーの牙ってそれ勇者でも苦戦した魔獣だろ!!この前デートとか言って連れられたダンジョンで僕が何回死にかけたか覚えているか?」
「……3回?」
「30回だよ!!僕王子だぞ!!なんで命懸けの恋愛をしなきゃいけないんだよ!」
「でも王様も私がダンジョンに行くのを喜んで許可してくれました」
「ベルザが持って帰ってくる宝物が全部伝説級だからだよ!この前見つけた若返りの薬で母上が僕と同じくらい若くなったの知ってるだろ?」
マルスは両手で顔を隠しながらうなだれる。
「もっと普通な恋愛がしたかったんだ。メーデのことは知ってるだろ?」
もちろん知ってます。私をいつもゴリラ女と馬鹿にしてきたいけ好かない女です。
「俺そのこと付き合うことになった」
「え」
「彼女は僕が理想とする女性だ。少なくとも休日は普通にカフェで過ごせるし、無理やりダンジョンに連れられることもない。僕はベルザと結ばれる運命じゃなかったんだよ」
それを聞いて私は納得がいった。
確かにマルス様の言う通りだ。
私とマルス様では身分は近くても住む世界が違う。
「分かりました。ベルザは婚約破棄を受け入れます。どうかお幸せに」
◇◇◇◇
数日後偶然メーデと会った。
「あらゴリラ女、元気そうね」
「メーデこそ、マルス様との婚約おめでとう」
「あなたが私を祝うなんて槍でも降るのかしら?」
「あまり私を怒らせないほうがいいですよ?」
ベルザに睨まれ、メーデは一歩後ずさりをする。
「ふ、ふん!負け犬の遠吠えに耳を貸すほど私は暇じゃないからこれで失礼するわ!!……それと1つ聞いていいかしら?」
「ええ、どうぞ」
「そのあなたが背負っている巨大なバックは何?私の背の3倍くらいあるんだけど」
「これですか?私この国を離れることにしましたので、旅に必要な物をいれています」
メーデが驚愕の表情を見せる。
「あんたこの国を出るの!?」
「はい。私はどうやら貴族という身分に合っていない。もっと……自由に生きたいのです。では!」
そういうとベルザがあの巨大な荷物を背負いながら一瞬でメーデの視界から消えた。
すぐに捜索隊がベルザの後を追ったが追いつけるわけはなかった。
家柄は王族に次ぐ公爵で、彼女の人生には既に他者によってレールが敷かれていた。
しかしそのレールはことごとく破壊された。
彼女の持つおとぎ話の英雄のような力によって。
◇◇◇◇
「ベルザ、婚約破棄してくれないか」
何処かで私も気が付いていた。マルスが私のことを愛していないことに。
生まれた時から決められた婚約、しかも相手は王国の第1王子。
国のために私とも嫌々付き合ってくれていたのは知っていたけど…やっぱり心が痛い。
「理由を…教えてくださいませんか?」
せめて私の何がいけなかったのか。
それだけでも知っておきたかった。
マルスは表情をこれでもかと歪ませながら言い放つ。
「僕は…もっと謙虚でおしとやかな女の子が好きなんだ!なのにベルザときたら休日は冒険者と混じって魔獣狩りやダンジョン攻略!?お土産がゲオルグタイガーの牙ってそれ勇者でも苦戦した魔獣だろ!!この前デートとか言って連れられたダンジョンで僕が何回死にかけたか覚えているか?」
「……3回?」
「30回だよ!!僕王子だぞ!!なんで命懸けの恋愛をしなきゃいけないんだよ!」
「でも王様も私がダンジョンに行くのを喜んで許可してくれました」
「ベルザが持って帰ってくる宝物が全部伝説級だからだよ!この前見つけた若返りの薬で母上が僕と同じくらい若くなったの知ってるだろ?」
マルスは両手で顔を隠しながらうなだれる。
「もっと普通な恋愛がしたかったんだ。メーデのことは知ってるだろ?」
もちろん知ってます。私をいつもゴリラ女と馬鹿にしてきたいけ好かない女です。
「俺そのこと付き合うことになった」
「え」
「彼女は僕が理想とする女性だ。少なくとも休日は普通にカフェで過ごせるし、無理やりダンジョンに連れられることもない。僕はベルザと結ばれる運命じゃなかったんだよ」
それを聞いて私は納得がいった。
確かにマルス様の言う通りだ。
私とマルス様では身分は近くても住む世界が違う。
「分かりました。ベルザは婚約破棄を受け入れます。どうかお幸せに」
◇◇◇◇
数日後偶然メーデと会った。
「あらゴリラ女、元気そうね」
「メーデこそ、マルス様との婚約おめでとう」
「あなたが私を祝うなんて槍でも降るのかしら?」
「あまり私を怒らせないほうがいいですよ?」
ベルザに睨まれ、メーデは一歩後ずさりをする。
「ふ、ふん!負け犬の遠吠えに耳を貸すほど私は暇じゃないからこれで失礼するわ!!……それと1つ聞いていいかしら?」
「ええ、どうぞ」
「そのあなたが背負っている巨大なバックは何?私の背の3倍くらいあるんだけど」
「これですか?私この国を離れることにしましたので、旅に必要な物をいれています」
メーデが驚愕の表情を見せる。
「あんたこの国を出るの!?」
「はい。私はどうやら貴族という身分に合っていない。もっと……自由に生きたいのです。では!」
そういうとベルザがあの巨大な荷物を背負いながら一瞬でメーデの視界から消えた。
すぐに捜索隊がベルザの後を追ったが追いつけるわけはなかった。
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