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中編
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私ベルザが王国を飛び出してから1年が経ちました。
この1年で知ったのは外の世界は私が思う以上に広く寛大であるということです。
私は見つけたのです。この力を存分にふるえる場所に。
『勝者、女帝ベルザ!!!』
「おおおおおおおお!!!」
割れんばかりの歓声が闘技場の中央に立つベルザに注がれる。
私は今、帝国の闘技場で剣闘士して生きています。
◇◇◇◇
戦いを終えた私は拠点を置いている宿に戻りました。
ここは帝国の首都でも1,2を争うほどお高い宿なのですが、剣闘士って結構儲かる職業なんですよ。
日々戦い、勝てれば歓声を、負ければ罵声を、実に素晴らしいです!!
ベットに転がりながら闘技場で戦った歴戦の戦士たちを思い出すベルザ。
獣王ガリガレア、魔獣ベーヒモス、剣星ミロ…私が手こずる相手と出会えるここはまさしく天国です。
ですが、今だ誰も私に土を付けてくれる相手は見つかっていません。
このまま見つからなければどうしよう……いけない!そんなこと考えても意味がないことは私自身がよくわかっているでしょ!!ともかく明日の試合に集中しないと。
『王は1人だ。最強VS最強 頂上決戦』
明日ついに私は闘技場のチャンピオンと戦います。
これからのことはチャンピオンを倒した後に考えましょう。
◇◇◇◇
『勝負あり!!!勝者覇王アルスロット!!!!!!!』
私が…負けた?
いつかは負けると思っていました…ですがこんなに早く…。
地に背中を付けたベルザは自身を負かした相手を見つめる。
体格は私と変わらない。短く切りそろえられた金色の髪に、鍛えられた体、そして私を上回る武芸の数々。
惚れました。ゾッコンラブです。
どうにか結婚を!!いやその前に交際……連絡先!!そうです連絡先を手に入れないと!!
必死に体力が底をついた体を持ち上げようとする私を他所に、アルスロットは勝利者インタビューを受けている。
「いや~あの女帝ベルザに相手に快勝、手も足も出させないとは流石チャンピオン!素晴らしかったです」
「讃辞は感謝する。だがそれは我ではなく女帝に送るべきだ」
「え?」
「快勝とはいえ女帝の攻撃は我を倒す可能性を秘めていた。もし…一撃でも我がまともに食らっていればここに立つのは女帝であったであろう」
「そう…ですか?アハハハ!流石はチャンピオン、謙虚さまで持ち合わせているとは私感服いたしました」
インタビュアーの露骨なご機嫌取りにアルスロットは表情をゆがめる。
そしてマイクを強引に取り上げ私に声を掛けた。
「ベルザと言ったな。お前を気に入った!貴様のような女を我は探し求めていたのだ!我は帝国第1王子アルスロット!!我と結婚してくれないかベルザ」
静まる会場。
呼吸音すら雑音として認識してしまうほどの静寂の中、私は言葉を紡ぐ。
「喜んで」
「「「おおおおおおおお!!!」」」
最強夫婦の誕生だった。
この1年で知ったのは外の世界は私が思う以上に広く寛大であるということです。
私は見つけたのです。この力を存分にふるえる場所に。
『勝者、女帝ベルザ!!!』
「おおおおおおおお!!!」
割れんばかりの歓声が闘技場の中央に立つベルザに注がれる。
私は今、帝国の闘技場で剣闘士して生きています。
◇◇◇◇
戦いを終えた私は拠点を置いている宿に戻りました。
ここは帝国の首都でも1,2を争うほどお高い宿なのですが、剣闘士って結構儲かる職業なんですよ。
日々戦い、勝てれば歓声を、負ければ罵声を、実に素晴らしいです!!
ベットに転がりながら闘技場で戦った歴戦の戦士たちを思い出すベルザ。
獣王ガリガレア、魔獣ベーヒモス、剣星ミロ…私が手こずる相手と出会えるここはまさしく天国です。
ですが、今だ誰も私に土を付けてくれる相手は見つかっていません。
このまま見つからなければどうしよう……いけない!そんなこと考えても意味がないことは私自身がよくわかっているでしょ!!ともかく明日の試合に集中しないと。
『王は1人だ。最強VS最強 頂上決戦』
明日ついに私は闘技場のチャンピオンと戦います。
これからのことはチャンピオンを倒した後に考えましょう。
◇◇◇◇
『勝負あり!!!勝者覇王アルスロット!!!!!!!』
私が…負けた?
いつかは負けると思っていました…ですがこんなに早く…。
地に背中を付けたベルザは自身を負かした相手を見つめる。
体格は私と変わらない。短く切りそろえられた金色の髪に、鍛えられた体、そして私を上回る武芸の数々。
惚れました。ゾッコンラブです。
どうにか結婚を!!いやその前に交際……連絡先!!そうです連絡先を手に入れないと!!
必死に体力が底をついた体を持ち上げようとする私を他所に、アルスロットは勝利者インタビューを受けている。
「いや~あの女帝ベルザに相手に快勝、手も足も出させないとは流石チャンピオン!素晴らしかったです」
「讃辞は感謝する。だがそれは我ではなく女帝に送るべきだ」
「え?」
「快勝とはいえ女帝の攻撃は我を倒す可能性を秘めていた。もし…一撃でも我がまともに食らっていればここに立つのは女帝であったであろう」
「そう…ですか?アハハハ!流石はチャンピオン、謙虚さまで持ち合わせているとは私感服いたしました」
インタビュアーの露骨なご機嫌取りにアルスロットは表情をゆがめる。
そしてマイクを強引に取り上げ私に声を掛けた。
「ベルザと言ったな。お前を気に入った!貴様のような女を我は探し求めていたのだ!我は帝国第1王子アルスロット!!我と結婚してくれないかベルザ」
静まる会場。
呼吸音すら雑音として認識してしまうほどの静寂の中、私は言葉を紡ぐ。
「喜んで」
「「「おおおおおおおお!!!」」」
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