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後編
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魔物やダンジョンによる被害が拡大したことにより、事態を重く見た帝国と王国は第1王子たちによる緊急会談を開催した。
場所は帝国と王国を隔ている海の孤島、ここで会談は始まった。
始まったのだが…。
「何故お前がここにいるんだベルザ?」
「何故と言われましても、私はアルスロットの妻です。参加することに問題は無いはずですが?」
「そうじゃない!!何故お前が帝国の第1王子アルスロット殿と結婚をしているのかと聞いているんだ!!」
私が帝国で剣闘士をしていたこと、アルスロットと戦い惚れたことを伝えると何とも言えない表情をするマルス。
そして最初に口を挟んだのは…マルスに同行していたメーデだった。
「相変わらずのゴリラ女ね。普通女性が剣闘士なんて野蛮な仕事する?」
これはいけない。
剣闘士は何よりも誇りを大事にするものだ。命を懸けて戦うことでその誇りを証明する。
それをこの女は野蛮と侮辱した。
いくら昔のなじみでもこればかりは許せるものじゃない。
メーデをぶん殴ろうと拳を握ったベルザだがアルスロットがそれを制止させる。
「我々は戦いに誇りをかけている。それを容易く侮辱する女を伴侶にしているとは、どうやら王国の王子は女性を見る目が無いらしい」
「それは僕に対する当てつけか?帝国の王子こそよくもまあそんな危険生物を妻としたものだ。命がいくつあっても足らないだろ?」
お互いが睨み合い、数秒の静寂が訪れる。
「どうやらお互いに言いたいことがあるようだ。ここはひとつ拳で決着を付けよう」
「それは理不尽だ。武力で帝国の王子に勝てる奴などいない」
「無論ハンデを付けるさ。そうだな…ではマルス殿が先に私を1000発殴るといい。1000発殴り終われば我が殴る。勿論1発だ」
マルスは破格の条件を提示されたことにいら立ちを隠しきれないでいる。
「あまり僕を舐めるなよ。これでも武には心得がある」
「試してみろ」
「アルスロット!それは…」
「心配するな。問題ない」
「くっ!舐められたものだな。後悔するなよ」
◇◇◇◇
999発、マルスが現在までにアルスロットを殴った回数だ。
しかしアルスロットは何事もなかったように平然としている。
むしろ重症なのはマルスだ。拳からとめどなく鮮血が流れ出している。
「もうやめてくださいマルス様!!」
「黙っていろメーデ!僕はここで引くわけにはいかないんだ!!」
なるほどマルスも男というものを持っているらしいと感心するアルスロット。
そして最後の1発をその頬で食らう。
「最後のはいいパンチだった。王国と手を組むのも悪くない。そう思わせるほどに。あっぱれだ」
ドン!!!
アルスロットの放った一発はマルスを海まで吹き飛ばす。
慌てて追いかけるメーデを他所にアルスロットの頬を拭くベルザ。
「少し頭に血が上った」
「分かってますよ。私は嬉しかったです」
「今度クラーケン狩りでもするか」
「いいですね。ドラゴン殺しにも興味があります」
「では仕事を早く終わらせないとだな」
そう言って二人は肩を合わせるのだった。
場所は帝国と王国を隔ている海の孤島、ここで会談は始まった。
始まったのだが…。
「何故お前がここにいるんだベルザ?」
「何故と言われましても、私はアルスロットの妻です。参加することに問題は無いはずですが?」
「そうじゃない!!何故お前が帝国の第1王子アルスロット殿と結婚をしているのかと聞いているんだ!!」
私が帝国で剣闘士をしていたこと、アルスロットと戦い惚れたことを伝えると何とも言えない表情をするマルス。
そして最初に口を挟んだのは…マルスに同行していたメーデだった。
「相変わらずのゴリラ女ね。普通女性が剣闘士なんて野蛮な仕事する?」
これはいけない。
剣闘士は何よりも誇りを大事にするものだ。命を懸けて戦うことでその誇りを証明する。
それをこの女は野蛮と侮辱した。
いくら昔のなじみでもこればかりは許せるものじゃない。
メーデをぶん殴ろうと拳を握ったベルザだがアルスロットがそれを制止させる。
「我々は戦いに誇りをかけている。それを容易く侮辱する女を伴侶にしているとは、どうやら王国の王子は女性を見る目が無いらしい」
「それは僕に対する当てつけか?帝国の王子こそよくもまあそんな危険生物を妻としたものだ。命がいくつあっても足らないだろ?」
お互いが睨み合い、数秒の静寂が訪れる。
「どうやらお互いに言いたいことがあるようだ。ここはひとつ拳で決着を付けよう」
「それは理不尽だ。武力で帝国の王子に勝てる奴などいない」
「無論ハンデを付けるさ。そうだな…ではマルス殿が先に私を1000発殴るといい。1000発殴り終われば我が殴る。勿論1発だ」
マルスは破格の条件を提示されたことにいら立ちを隠しきれないでいる。
「あまり僕を舐めるなよ。これでも武には心得がある」
「試してみろ」
「アルスロット!それは…」
「心配するな。問題ない」
「くっ!舐められたものだな。後悔するなよ」
◇◇◇◇
999発、マルスが現在までにアルスロットを殴った回数だ。
しかしアルスロットは何事もなかったように平然としている。
むしろ重症なのはマルスだ。拳からとめどなく鮮血が流れ出している。
「もうやめてくださいマルス様!!」
「黙っていろメーデ!僕はここで引くわけにはいかないんだ!!」
なるほどマルスも男というものを持っているらしいと感心するアルスロット。
そして最後の1発をその頬で食らう。
「最後のはいいパンチだった。王国と手を組むのも悪くない。そう思わせるほどに。あっぱれだ」
ドン!!!
アルスロットの放った一発はマルスを海まで吹き飛ばす。
慌てて追いかけるメーデを他所にアルスロットの頬を拭くベルザ。
「少し頭に血が上った」
「分かってますよ。私は嬉しかったです」
「今度クラーケン狩りでもするか」
「いいですね。ドラゴン殺しにも興味があります」
「では仕事を早く終わらせないとだな」
そう言って二人は肩を合わせるのだった。
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