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追放されました

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「流石はカーナ様!はやりこの国の聖女はあなたしか務まりません」


 笑顔で私を褒めるのは次の聖女候補であるリンダだ。見た目は幼いが同い年で聖女として選ばれた私の弟子として日々修業を行っている。


「カーナ、俺は聖女のお前と婚約出来て本当に光栄だ」


 私に甘い言葉をかけるのはジリオン王国のサリオン王子、容姿は端麗、勉学は最高峰の学園を首席で卒業、地位も高い。誰もが羨む完璧超人。


 私はジリオン王国の聖女として魔物から国を守り怪我人や病人を治し日々忙しい毎日を送っている。

 

 正直うんざりだ。




 王宮のとある一室にてリンダの隣にいるサリオン王子から叱られている。


「カーナ、貴様聖女の身分を私欲の為に使っているのとは本当か?」


 私欲?なんのことだかわからない。


「思い当たる節がございません」


「嘘をつくな!貴様が身分を良いことに多くの男と不貞を働いていることは知っているのだぞ!!」


 それ私じゃなくない?リンダの事でしょ。


 彼女が私が治療した患者とそういうことしているのは知っているが私はなにも関係していない。そもそも経験がない。


「聖女としてそれは恥ずべきことですよ」


 リンダは自分の胸をサリオンの腕に押し付けるようにして私を非難する。


 どの口が言っているんだ。


 
「カーナ、貴様のような不貞を働く女と婚約など出来るか、今すぐに聖女の座をリンダに明け渡しさっさとこの国から出て行け」



 あ~あ、なるほど。この二人は共謀しているな。


 サリオン王子とリンダが浮気していることは知っていたけどまさかこんなに大胆に私を追い出そうとしてくるとは…これはチャンスだな。



「分かりました。では荷物をまとめて直ぐにこの国を出て行きます」


「ああ、そうしてくれ」


「悲しいですカーナ様、次の聖女としてしっかりと役目を果たしますのでどうか安心してこの国からいなくなってください」


 言われなくてもそうするよ。



 私は自分の暮らした部屋に戻るとすぐに準備に取り掛かる。生活必需品や食料、服、最低限の物をバックの中に詰め込むとすこし寂しくなった部屋を見渡し思い出に浸る。


 魔物たちから国を守るために結界を張っているのに自分から結界の外に出て怪我して文句を言ってくる貴族のボンボン。


 病気を完治してやったのに治っていないと言って金をせびる庶民。


 いつも隣の部屋にいていびきがうるさくこっちが少しでも音を立てると壁を叩いてくる隣人。


 何もできない癖に命令ばかりしてくる上の人間。



「安月給に低待遇最悪な職場環境、こんなクソみたいな場所言われなくても出てくわ!!」


 ドオン!!


 隣の部屋の壁に向かって本気の蹴りをして少しスッキリした私は隣国に向かう馬車に乗りこの国を出た。
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