3 / 5
第三話
しおりを挟む
「これはどうなっているのよ!!」
最初に声を上げたのはリラだった。リラはマリーに駆け寄る。
「なんであんたが聖女に選ばれるのよ!聖女候補でもないでしょう!?」
今にも殴り掛かりそうな勢いのリラとマリーの間に大司祭が入りマリーに質問する。
「君の体に赤い痣はあるかい?」
「はい。腿の裏に…」
「何でそれを言わなかったのよ!!」
「すみません…赤い痣はリラ様のように手の甲に出ると思っていたのです。だから私のは別物だと思っておりました」
「違うとは思っても気にはなっただろう。何故聞かなかったのかな?」
「その、一度リラ様に言おうとしたら汚い肌を見せるな、目が汚れるとおっしゃって…」
「それは…それとこれとは関係ないでしょう!!」
優しく質問してきた大司祭にありのままを伝えると更に激高するリラ。周囲もこの状況をうまく理解できずにいた。
歴史上、聖女候補となる者に身分は関係していなかった。平民が聖女となるシンデレラストーリーも存在して子供に大人気なのだ。しかし未だかつて奴隷が聖女に選ばれたことはなかった。
周囲の動揺を煽るようにリラは声を上げる。
「そもそも聖女は数百年前女神アリア様が魔物や不作による飢饉から人間を救うために力を与えた選ばれた人物の事。いわば人類の象徴ともいえるのよ!人類の象徴が奴隷だなんて誰も納得しないわ!!」
「確かに…」
「その通りだな」
「これは何かの間違えだ。もう一度選定の儀をやり直しせ!」
儀式の間にいた者たちが一斉に声を上げる。その熱気は儀式の間を覆いつくした。
「黙りなさーーーーーーーーーーーい!!!!!」
その熱気を一言で冷ましたのが大司祭であった。大司祭は自分に注目を集め元居た壇の上に立つ。
「聖女は女神アリア様が選ばれた今後を託せる存在なのです。それを私たちが決めた身分で異を唱えるなど恥を知りなさい!!私は女神アリアを信仰する宗教の大司祭としてあの少女を当代の聖女として認めます」
大司祭が認めたことで正式にマリーは聖女として認定された。これを否定することは国の最大宗教を敵に回すと同義になる。冷静な人物は声を上げるのをやめた。
しかし一人怒りで我を忘れ周りが見えなくなっている者がいた。リラだ。
「私は納得できないわ!!私を差し置いてマリーが聖女?冗談じゃないわよ。あんた何か不正をしたのね、そうでしょ、そうと言いなさい!!」
リラは手を大きく振り上げマリーを叩こうとする。マリーは目をつむり痛みを覚悟したが叩かれることはなかった。
リラの後ろから振り上げられた手を止めたのはゼフ・リーグルだった。
「この手を下ろせ」
「これは…違うのです!この女が不正をしたから罰を」
「もしこの手で聖女を殴ったら次の瞬間お前の手は無くなると思え」
ゼフの冷たい視線で正気を取り戻したリラは慌てて弁解するがゼフからあてられた殺気に腰が抜けその場に座り込んでしまった。
「初めまして。私はゼフ・リーグル、これから私はあなたの盾として忠誠を誓います」
ゼフはマリーの手の甲にキスをした。
聖女選定の儀は一段落付きマリーは今王城でお風呂に入っている。これから国王や大臣達が集まる会議が行われるのだがそのままの姿だと格好がつかない為身なりを整えていた。
先にマリー抜きで始まった会議では聖女の話で持ちきりだった。
「奴隷を聖女として本当に認めるのですか?」
「そうは言っても女神アリアに選ばれた正式な聖女だ。異論は唱えれないだろう」
「やはり奴隷では国民も納得しないでしょう」
会議の論点としてマリーの身分が問題となった。国王自身もどうするべきか悩んでいるとゼフと身なりを整えたマリーが会議の場に現れる。マリーの姿をみて皆言葉を失った。
風呂に入ったことで汚れて黒ずんでいた髪や肌は綺麗な金色と白色を取り戻し、サイドに長さを保ち前髪で切り揃えられた髪のおかげで隠れていた絶世の美人顔が現れ、髪の色によく合う真っ赤なドレスはまるでマリーの為だけに作られたかのように彼女の美しさに磨きをかけていた。さらに歩くだけで伝わる高貴さに大臣達や国王は唾をのんだ。
「えっと改めましてマリーと言います。精一杯頑張りますのでよろしくお願いします」
数秒の沈黙。その間に大臣達と国王は視線でアイコンタクトを取る。すでに意見は一致した。
「国王のゼパル・リーグルだ。聖女マリー私たちはあなたを聖女として認めよう」
大人たちは皆満面の笑みだった。
最初に声を上げたのはリラだった。リラはマリーに駆け寄る。
「なんであんたが聖女に選ばれるのよ!聖女候補でもないでしょう!?」
今にも殴り掛かりそうな勢いのリラとマリーの間に大司祭が入りマリーに質問する。
「君の体に赤い痣はあるかい?」
「はい。腿の裏に…」
「何でそれを言わなかったのよ!!」
「すみません…赤い痣はリラ様のように手の甲に出ると思っていたのです。だから私のは別物だと思っておりました」
「違うとは思っても気にはなっただろう。何故聞かなかったのかな?」
「その、一度リラ様に言おうとしたら汚い肌を見せるな、目が汚れるとおっしゃって…」
「それは…それとこれとは関係ないでしょう!!」
優しく質問してきた大司祭にありのままを伝えると更に激高するリラ。周囲もこの状況をうまく理解できずにいた。
歴史上、聖女候補となる者に身分は関係していなかった。平民が聖女となるシンデレラストーリーも存在して子供に大人気なのだ。しかし未だかつて奴隷が聖女に選ばれたことはなかった。
周囲の動揺を煽るようにリラは声を上げる。
「そもそも聖女は数百年前女神アリア様が魔物や不作による飢饉から人間を救うために力を与えた選ばれた人物の事。いわば人類の象徴ともいえるのよ!人類の象徴が奴隷だなんて誰も納得しないわ!!」
「確かに…」
「その通りだな」
「これは何かの間違えだ。もう一度選定の儀をやり直しせ!」
儀式の間にいた者たちが一斉に声を上げる。その熱気は儀式の間を覆いつくした。
「黙りなさーーーーーーーーーーーい!!!!!」
その熱気を一言で冷ましたのが大司祭であった。大司祭は自分に注目を集め元居た壇の上に立つ。
「聖女は女神アリア様が選ばれた今後を託せる存在なのです。それを私たちが決めた身分で異を唱えるなど恥を知りなさい!!私は女神アリアを信仰する宗教の大司祭としてあの少女を当代の聖女として認めます」
大司祭が認めたことで正式にマリーは聖女として認定された。これを否定することは国の最大宗教を敵に回すと同義になる。冷静な人物は声を上げるのをやめた。
しかし一人怒りで我を忘れ周りが見えなくなっている者がいた。リラだ。
「私は納得できないわ!!私を差し置いてマリーが聖女?冗談じゃないわよ。あんた何か不正をしたのね、そうでしょ、そうと言いなさい!!」
リラは手を大きく振り上げマリーを叩こうとする。マリーは目をつむり痛みを覚悟したが叩かれることはなかった。
リラの後ろから振り上げられた手を止めたのはゼフ・リーグルだった。
「この手を下ろせ」
「これは…違うのです!この女が不正をしたから罰を」
「もしこの手で聖女を殴ったら次の瞬間お前の手は無くなると思え」
ゼフの冷たい視線で正気を取り戻したリラは慌てて弁解するがゼフからあてられた殺気に腰が抜けその場に座り込んでしまった。
「初めまして。私はゼフ・リーグル、これから私はあなたの盾として忠誠を誓います」
ゼフはマリーの手の甲にキスをした。
聖女選定の儀は一段落付きマリーは今王城でお風呂に入っている。これから国王や大臣達が集まる会議が行われるのだがそのままの姿だと格好がつかない為身なりを整えていた。
先にマリー抜きで始まった会議では聖女の話で持ちきりだった。
「奴隷を聖女として本当に認めるのですか?」
「そうは言っても女神アリアに選ばれた正式な聖女だ。異論は唱えれないだろう」
「やはり奴隷では国民も納得しないでしょう」
会議の論点としてマリーの身分が問題となった。国王自身もどうするべきか悩んでいるとゼフと身なりを整えたマリーが会議の場に現れる。マリーの姿をみて皆言葉を失った。
風呂に入ったことで汚れて黒ずんでいた髪や肌は綺麗な金色と白色を取り戻し、サイドに長さを保ち前髪で切り揃えられた髪のおかげで隠れていた絶世の美人顔が現れ、髪の色によく合う真っ赤なドレスはまるでマリーの為だけに作られたかのように彼女の美しさに磨きをかけていた。さらに歩くだけで伝わる高貴さに大臣達や国王は唾をのんだ。
「えっと改めましてマリーと言います。精一杯頑張りますのでよろしくお願いします」
数秒の沈黙。その間に大臣達と国王は視線でアイコンタクトを取る。すでに意見は一致した。
「国王のゼパル・リーグルだ。聖女マリー私たちはあなたを聖女として認めよう」
大人たちは皆満面の笑みだった。
0
あなたにおすすめの小説
感情の無い聖女様は、公爵への生贄にされてしまいました
九条 雛
恋愛
「――私など、ただの〝祈り人形〟でございます。人形に感情はありませぬ……」
悪逆非道の公爵の元へと生贄として捧げられてしまった聖女は、格子の付いた窓を見上げてそう呟く。
公爵は嗜虐に満ちた笑みを浮かべ言い放つ。
「これからは、三食きちんと食べてもらおう。こうして俺のモノとなったからには、今までのような生活を送れるとは思わぬことだな」
――これは、不幸な境遇で心を閉ざしてしまった少女と、その笑顔を取り戻そうとする男の物語。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
【完結】捨てられた聖女は王子の愛鳥を無自覚な聖なる力で助けました〜ごはんを貰ったら聖なる力が覚醒。私を捨てた方は聖女の仕組みを知らないようで
よどら文鳥
恋愛
ルリナは物心からついたころから公爵邸の庭、主にゴミ捨て場で生活させられていた。
ルリナを産んだと同時に公爵夫人は息絶えてしまったため、公爵は別の女と再婚した。
再婚相手との間に産まれたシャインを公爵令嬢の長女にしたかったがため、公爵はルリナのことが邪魔で追放させたかったのだ。
そのために姑息な手段を使ってルリナをハメていた。
だが、ルリナには聖女としての力が眠っている可能性があった。
その可能性のためにかろうじて生かしていたが、十四歳になっても聖女の力を確認できず。
ついに公爵家から追放させる最終段階に入った。
それは交流会でルリナが大恥をかいて貴族界からもルリナは貴族として人としてダメ人間だと思わせること。
公爵の思惑通りに進んだかのように見えたが、ルリナは交流会の途中で庭にある森の中へ逃げてから自体が変わる。
気絶していた白文鳥を発見。
ルリナが白文鳥を心配していたところにニルワーム第三王子がやってきて……。
異世界召喚されたアラサー聖女、王弟の愛人になるそうです
籠の中のうさぎ
恋愛
日々の生活に疲れたOL如月茉莉は、帰宅ラッシュの時間から大幅にずれた電車の中でつぶやいた。
「はー、何もかも投げだしたぁい……」
直後電車の座席部分が光輝き、気づけば見知らぬ異世界に聖女として召喚されていた。
十六歳の王子と結婚?未成年淫行罪というものがありまして。
王様の側妃?三十年間一夫一妻の国で生きてきたので、それもちょっと……。
聖女の後ろ盾となる大義名分が欲しい王家と、王家の一員になるのは荷が勝ちすぎるので遠慮したい茉莉。
そんな中、王弟陛下が名案と言わんばかりに声をあげた。
「では、私の愛人はいかがでしょう」
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる