聖女候補令嬢の奴隷→聖女に選ばれたのは奴隷でした

京月

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第四話

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「マリー様」


「マリー様はやめて下さい、マリーで結構です」


「分かりました。マリー、これから私たちはルド学園に通います」


「ルド学園ってこの国一番の学力を誇る全寮制の学校のことですか?」


「そうです」


「ですが私は勉強が得意ではないというか今まで勉強をしたことが無いのですが…」


「大丈夫。私が教えます」


「…分かりました」


 私はリラの奴隷ではなくなった。自由を手に入れたのだ。しかし聖女としての立場がある為完全な自由というわけではないが…

 最初の頃はこのまま聖女として働く予定だったのだが私が字を読めないことを知ると学園に通うことになった。聖女として教養が無いのは致命的という理由らしい。


「ゼフさんは勉強は出来るのですか?」


「それなりにですよ」



 一か月後私たちはルド学園にいた。ルド学園はリーグル国に面する穏やかな海の上にある島を全て敷地としている学園で島の中には校舎や寮だけでなくショッピング街や飲食街もある。学園が街と言っても過言ではない。


 私はこれから住む女子寮の自分の部屋で鏡を見ながら制服姿の自分を確認している。ここの制服は下がスカートなので履きなれていなくて若干恥ずかしい。

 寮の階段を駆け足で降り玄関で靴を履いて外に出ると外に人だかりが出来ていた。


「ゼフ様初めまして私…」


「ゼフ様もしよろしかったら今度お食事でも…」


「ゼフ様私一目見た時からあなたのことが好きで…」


 聖女の守護者、つまり私のお付としてそばにいてくれるリーグル国第三王子ゼフ・リーグルは女子寮には入寮できない為朝寮の前で待っていてくれたのだがゼフに好意を寄せる女性たちに囲まれていた。


「すみません、通してください」


 ゼフは好意を寄せてくれる女性たちに見向きもせず押しのけて私のところに来た。


「おはようございますマリー」


「おはようございますゼフ様」


「行きましょうか」


 私たちは二人並んで校舎に向かう。後ろから嫉妬の視線を感じた。


「今日から学校ですねマリー」


「ええ。ちょっと緊張します」


「今日は入学式とクラス発表だけですからあまり緊張なさらなくても大丈夫ですよ」


「そうではなくて…お友達が出来るか心配なのです。私友達出来たことないから」


「大丈夫です。マリーなら必ずできます」


 
 入学式は学園長先生の長い会話を終え新入生代表挨拶となった。新入生代表挨拶は入学試験をトップで合格した人が行うらしい。私は特別枠でテストなしで入ったから少し後ろめたさがある。


「では次に新入生代表挨拶に移ります。新入生代表ゼフ・リーグル君前にお願いします」


「はい」


 新入生代表はゼフ様だった。前に勉強はそれなりに出来ると聞いたことはあるがここまでとは思わなかった。周りの生徒たちもざわざわする。


「見てゼフ様よ!カッコイイ」


「あんな殿方と出会いたいものですわ」


「聞きました?ゼフ様が聖女の守護者に選ばれたんですって、しかも聖女は元奴隷らしいわよ」


「奴隷!?それはお可哀想に…ゼフ様ほどの方がそんな卑しい者をお守りしなければいけないなんて」


「……」



 クラス発表は自分のクラスが書いてある紙を貰いそのクラスに移動することになっている。私とゼフ様は1-Aになった。


「ぇ?なんでマリーがここにいるのよ!」


「リラ!」


 後ろの方にある私たちの席に向かおうとするとまさかのクラスメイトにリラがいた。正直気まずい。


「リラ!?あんたいつの間にそんなに偉くなったの?」


「いや、これは、その…」


「お久しぶりですねリラさん」


「ひっ!お、お久しぶりですゼフ様」


「先程マリーのリラさんに対する呼び方で何か不満でもありましたか?」


「いえいえ!なにも不満はございません!」


「そうですか。ならそこをどいていただけますか?」


「もちろんです」


 私は席に着くとどこからか視線を感じた。色んなところから向けられる視線それはゼフ様への尊敬や憧れそして私に対する不快感と軽蔑だった。奴隷の頃からそう言う視線に何度もさらされた事があったので間違いない。


「大丈夫ですか?」


「…はい。大丈夫です」


 顔色が悪かったのだろう。ゼフ様が心配して声をかけてくれた。そんな状況を憎しみの目で見つめる者が一人、リラだった。


 初日はクラス発表を行った後各自解散となる。


「マリー、調子が悪いのですか?寮まで送りますよ」


「大丈夫です。一人で帰れます」


 ゼフ様の優しさを蹴った私は寮に一人で帰った。
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