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第三話

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「あなたが婚約者の浮気相手を奪えばいいのです」


「え?」


 正直理解が出来なかった。何を言っているのだろうかこの占い師は。


「婚約者の浮気相手を奪うことで婚約者の運命が変わります。すると必然的にあなたの運命も変わることになります」


「でもいい方向に変わるか分からないだろ」


「今より悪くなると思いますか?」


「…」


 確かに現状より悪い運命なんて想像もできない。それほど今がつらい。


「あなたも婚約者はクズ野郎です。そんな人が運命の相手だなんてこの先の人生はつらいことばかりでしょう。だから運命を変えるのです。それがあなたには出来るのですから」


「でも…」


「そんなに婚約者が好きなんですか?ずっと裏切り続けている婚約者が」


「……ドルは私を愛してくれて」


「目を覚ましてください。ドルさんはあなたを愛していません。今のままではずっとドルさんに裏切り続けられるのです。あなたが運命を変えてドルさんを捨ててやるのです」


「……私は背が大きくてそれがコンプレックスで…それを気にしないでいてくれたのがドルなんだ。だから…」


「他にいなかったのですか?背のことを気にしないでいてくれた人が」


 それを言われて頭の中に誰かが浮かぶ。確かに昔背のことを褒めてくれた人がいた気がする。でもどうしても思い出せない。


「その反応はいたんですね。運命の相手が変わればまた新しい人が運命の相手になります。そうすればあなたは幸せになれますよ」


「……そうだな。ドルとも決別するときが来たのかもしれないな」


 まだ葛藤がある。だが私は婚約者と別れることを決意した。


「でも浮気相手を奪うとはどういうことだ?」


「あげたペンダントの効果を覚えてますか?」


「男になれる効果だったか」


「そうです。それで浮気相手を自分に惚れさせるのです」


「それで何が変わるのだ?」


「婚約者が女性不信になります」


「占い師…お前は馬鹿なのか?そんなうまくいくわけないだろ」


「まぁまぁ騙されたと思ってやってください」


「はぁ…まぁそれしか手段がないわけだしそうするか」


「本で情報を収集してペンダントで男性化して浮気相手を惚れさせる。これを徹底してやればあなたの運命は変わるでしょう」


 半信半疑な私だったがとにかく行動あるのみと考えて寮の部屋に帰った後本を読んでこれからのドルの行動と浮気相手の女性の情報を確認する。


『〇月×日 ドルは図書館にてクロムと出会い関係が始まる。 クロム 本が好き 隠してはいるが歴史の物の本が大好き』


 明日ドルとクロムさんという方が出会いまた浮気が始まるらしい。私はそれを阻止すべく明日図書館に向かうことにした。 
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