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「なんと美しい方なんだ」


 歩くだけで視線を集める。


「本を読む姿はまさに美を集約した女神像のようだ」


 本を読むだけで称えられる。


「あの寝ている姿を守る為なら俺は命を懸ける」


 居眠りをしているだけで騎士張りの忠誠を誓われる。





 私は美人だ。誰もが羨むほどの。だが婚約者どころか恋人もいない。理由は単純明快だ。


「そこのお嬢さん、こんなことを急に言うのはおかしいとは分かっているが言わせてくれ。君が好きだ!私と結婚してほしい」


 見ず知らずの身なりのいい男性から声をかけられ求婚された。私は自分の気持ちに正直に相手も気持ちに答える。


「うるせーなー!!誰だよお前!!きめぇよ、初対面で求婚とか頭いかれてんじゃねえのか!?」

 
 私は口が悪いからだ。
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