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しおりを挟む心臓の鼓動が嫌というほど聞こえてくる。
あまりにうるさすぎて周りにも聞こえるくらい響いているのではないかと疑うほどだ。
そうなった原因は言うまでもない。
目の前にいるのがレレイだからだ。
表情には出ない動揺が心の中で渋滞を起こす。
どうしてここに!?いや婚約者であるならここにいてもおかしくないが同棲したという情報は無かった!……それに今レレイは私のことをラーナと呼んだ。
私の正体に気が付いた?髪色も元の菖蒲色から染めている。化粧と偽造のホクロもつけているのにあの一瞬でバレた?
「レレイ、ラーナじゃなくてライラだよ。名前を間違えるなんて失礼じゃないか」
「えっ?すみません!私の近くに似た名前の人がいましたからついうっかり、ごめんなさいライラさん。不快な思いをなされたでしょう?」
「いえ、お気になさらないでください……レレイ様。改めてライラといいます。呼び捨てに成されて結構です。この度はオリン様との婚約おめでとうございます。娼婦という汚れた身分でありますが、お二人がより仲良き人生を歩まれるよう一生懸命努力いたします」
「まあ!嬉しいです!ありがとうございますライラ!」
たぶんレレイは私のことに気が付いていない。
オリンが間違いを訂正したことでレレイが一瞬口に手を当てたのを私は見逃さなかった。
あれはレレイの昔からの癖、本当に驚いた時に出る仕草。
こんなことになるなんて予想していなかったけど娼婦として働いたことで身についた演技力が役に立った。
それにしてもどうしてレレイがここに?
「まだライラには言ってなかったけど3日の間、レレイが家に住み込むことになった。僕の母から料理を学びたいそうだ」
「いずれオリン様と結婚することになるのですから、花嫁修業をしておくのは当然ですよ」
優しく穏やかな表情でオリンと会話をするレレイ、その姿は私が最後に見たレレイとはあまりにもかけ離れている。
探らなくちゃ。今のレレイを。
私はオリンとレレイの会話に割って入る。
「それでしたら私が連れてきた給仕のイサをお使いください。昔から私のお世話係として働いて来ております。家事全般、特に料理などは必ずお役に立ちます」
「それはいい考えですね。ありがとうライラ。お手伝いをお願いしますイサちゃん」
「畏まりました」
(分かっているわよねイサ。レレイの情報をできる限り集めなさい)
(もちろんです)
私はアイコンタクトでイサに命令を下す。
レレイ、その化けの皮を必ず剥いでやる。
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