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私は店主の後処理をコンシェルジュに任せ、イサとともに娼館を後にする。
娼館前に待たせた馬車に乗り込み、そのまま2年過ごしたエルザンテに別れを告げた。
のどかな風景を馬車の車窓から眺める。
考えてみればこんなにのんびりとした時間を過ごすのは2年ぶりかもしれない。
ここからオリンの住む屋敷までは2週間かかるし、その間にこれからのことについてイサに話しておいたほうがいいかな。
「イサ、知っていると思うけど私はこれからオリンの娼婦になるわ。イサは私の世話係として一緒に生活してもらう」
「分かりました」
静かに答えるこのイサは家事全般もそつなくこなす。
給仕としてターゲットの家に忍び込む仕事もあったらしく暗殺の次に得意になったそうだ。
イサの腕は本物、元貴族の私が言うのだから間違いはない。
元貴族か…。
店主の話だとレレイは家督を継ぐ資格を得ているらしい。
それはつまり私が死んだと父様が認識しているということ。
レレイを貶めるためにはやっぱり父様に会って私が生きていると証明することが一番有効かな。
そんなことを考えながら旅路を進み、私達はオリンの住む屋敷に到着した。
流石は侯爵、私達が住んでいた屋敷より2倍は広くて豪華だ。
馬車から降りた私をオリン自ら出迎えてくれた。
「やあライラ。久しぶりだね」
「お久しぶりです。オリン様がお元気そうで何よりです」
私とイサは客室に案内された。
部屋の中央に置かれたソファーに私は腰を下ろし、テーブルの上に置かれた紅茶を飲みながらオリンが戻ってくるのを待つ。イサはソファーの後ろで立ちながら待機だ。一緒に座っていたら給仕に見えない。
それにしても用事とは何のことかしら?直接は言えないけどあまり女性を待たせるのは感心しない……それにしてもこの紅茶美味しい。何だか懐かしさを感じる、どこかで飲んだことが?
客間の扉の向こうからオリンの話し声が聞こえる。
「もうついているんだ。紹介するよ」
「それは私も楽しみです。早く会ってみたい」
女の声?もしかしてオリンのお母様?
私はすぐに姿勢を正し、飲みかけの紅茶をテーブルに戻す。
第一印象が大切だ。とにかく笑顔で挨拶はしっかりと。
客間の扉がゆっくりと開けられる。
私は扉が開ききる前に頭を下げる。
「初めまして。この度オリン様の身請けをしていただきました。ライラと申します。これからどうぞよろしく…おねがい……します……」
私は目の前の光景に驚愕し、目を見開いた。
オリンの後ろに立つのはオリンと同じくらいの年の女性。
背丈は私と同じくらい。あまり主張は激しくないがそれでいて存在感をしっかりと感じる装飾の細かいドレスを着ている。
浅緑色の髪の毛は腰まで伸びて神秘性すら感じるほど穏やかな雰囲気をまとい、一つ一つの仕草に品を感じるその女性。
私はその女性を嫌というほど知っていた。
「初めまして。オリンの婚約者、レレイ・カルゼストです。これからよろしくおねがいします。ラーナさん」
娼館前に待たせた馬車に乗り込み、そのまま2年過ごしたエルザンテに別れを告げた。
のどかな風景を馬車の車窓から眺める。
考えてみればこんなにのんびりとした時間を過ごすのは2年ぶりかもしれない。
ここからオリンの住む屋敷までは2週間かかるし、その間にこれからのことについてイサに話しておいたほうがいいかな。
「イサ、知っていると思うけど私はこれからオリンの娼婦になるわ。イサは私の世話係として一緒に生活してもらう」
「分かりました」
静かに答えるこのイサは家事全般もそつなくこなす。
給仕としてターゲットの家に忍び込む仕事もあったらしく暗殺の次に得意になったそうだ。
イサの腕は本物、元貴族の私が言うのだから間違いはない。
元貴族か…。
店主の話だとレレイは家督を継ぐ資格を得ているらしい。
それはつまり私が死んだと父様が認識しているということ。
レレイを貶めるためにはやっぱり父様に会って私が生きていると証明することが一番有効かな。
そんなことを考えながら旅路を進み、私達はオリンの住む屋敷に到着した。
流石は侯爵、私達が住んでいた屋敷より2倍は広くて豪華だ。
馬車から降りた私をオリン自ら出迎えてくれた。
「やあライラ。久しぶりだね」
「お久しぶりです。オリン様がお元気そうで何よりです」
私とイサは客室に案内された。
部屋の中央に置かれたソファーに私は腰を下ろし、テーブルの上に置かれた紅茶を飲みながらオリンが戻ってくるのを待つ。イサはソファーの後ろで立ちながら待機だ。一緒に座っていたら給仕に見えない。
それにしても用事とは何のことかしら?直接は言えないけどあまり女性を待たせるのは感心しない……それにしてもこの紅茶美味しい。何だか懐かしさを感じる、どこかで飲んだことが?
客間の扉の向こうからオリンの話し声が聞こえる。
「もうついているんだ。紹介するよ」
「それは私も楽しみです。早く会ってみたい」
女の声?もしかしてオリンのお母様?
私はすぐに姿勢を正し、飲みかけの紅茶をテーブルに戻す。
第一印象が大切だ。とにかく笑顔で挨拶はしっかりと。
客間の扉がゆっくりと開けられる。
私は扉が開ききる前に頭を下げる。
「初めまして。この度オリン様の身請けをしていただきました。ライラと申します。これからどうぞよろしく…おねがい……します……」
私は目の前の光景に驚愕し、目を見開いた。
オリンの後ろに立つのはオリンと同じくらいの年の女性。
背丈は私と同じくらい。あまり主張は激しくないがそれでいて存在感をしっかりと感じる装飾の細かいドレスを着ている。
浅緑色の髪の毛は腰まで伸びて神秘性すら感じるほど穏やかな雰囲気をまとい、一つ一つの仕草に品を感じるその女性。
私はその女性を嫌というほど知っていた。
「初めまして。オリンの婚約者、レレイ・カルゼストです。これからよろしくおねがいします。ラーナさん」
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