騎士→結婚してください！ 聖女→離婚してください！

第四話

　ナナルに殴られた。


「最低！」


　ナナルはそのまま人ごみの中に消えてしまった。

　宿屋のベットに腰掛け殴られた頬に手を当てる。

　なぜ俺は殴られた？


「お兄さん～」


　ナナルは何を怒っていたんだ？


「お腹すいたよ～」


　お金は十分に手に入れた。なのにどうして……！俺にまだ足りないものがあるのか。


「無視しないでよ」


　一体何が足りない。わからないが諦めるわけにはいかないな。俺は絶対に聖騎士に戻る！


「ねえねえねえねえねえねえねえねえねえね」


「うるさーーーい！！！」


　このうるさい女は禁商団リーダーの娘ラン。

　何故か俺と結婚すると言い張っている。

　？もちろん断ったさ。

　だがこいつは話を聞くタイプの女ではない。

　その結果俺が折れた。

　そんなことは今はどうでもいいな、今はナナルと結婚するにはどうすればいいか。


「おい、ラン」


「なに？」


「どんな男と結婚したい？」


「グラスと結婚したい」


「求めるものを聞いているのだ」


「強さ」


　強さか…だがナナルは俺の強さの象徴といえる魔物の首をあまり喜んではいなかったな…


「それ以外だ」


「筋肉」


「筋肉か…」


　それは考えたことがなかった。

　いい考えかもしれない。


「ところでなんで俺の部屋にいる？相部屋にした覚えはないぞ」


「今夜私は女になる。だからいる」


　俺はこの女を部屋から追い出して眠りについた。




　翌日俺たちはナナルがどこに行ったのか聞き込みをした。


「昨日のお嬢ちゃんか？あの子ならボーガスに行ったよ」


　ボーガスは確か武術家の聖地と言われているほど血の気の多い街だったはず。

　何故そんなところへナナルが？

　行ってみないとわからないな。


「ラン、俺はボーガスに行く。お前は」


「行く。絶対ついていく」


　俺たちはボーガスに向かうことにした。