双子の妹が私を捨てた王子と婚約しました~平民舐めんなよ!?~

京月

文字の大きさ
1 / 3

パン屋の娘ミルダ

しおりを挟む
 私ミルダは何処にでもいるパン屋の娘だ。

 一つ違う点を挙げるなら婚約者が国の第三王子ルクセル様ということ。

 もう国中に公表しており、街に出れば祝福の声を浴びせられる。

 私は幸せだった。

 …でもそれも昨日までの話。


「ミルダ、俺と別れてくれないか?」


 突然のことに私は頭の中が真っ白になる。
(え?別れる?なんで急に?この前式場もドレスも見学したばかりなのに…)


「ミーシャのことが好きになったんだ」


(ミーシャ!?私の双子の妹じゃない!)


「ミーシャは素晴らしい!お前と違ってな」


 ルクセルの後ろからひょっこと顔を出す私の妹ミーシャ。
 馬鹿にしたようなにやけ顔は何か企んでいる時の癖だ。
 私はルクセル様に疑問を投げかける。


「私が何かしましたか?」

「いや何もしていないさ」

「ならなんで?」

「聞いたんだよミーシャから、君の本性を。なんでもいつも猫を被っているらしいじゃないか!俺と接するときも善人を演じていたのだろう?実は家事全般が出来なくて特に料理が苦手、俺が食べていた料理は全てミーシャの手作りだったらしいじゃないか。胃袋を掴まれたから婚約したのにまさか別人だったとは。騙されてショックだよ」


 自信満々にべらべらと喋るルクセル。
 それを聞いたミルダは唖然とした。

(それ全部ミーシャのことじゃないの!?私はいつも通りルクセル様に接していたし家事全般は出来る。特に料理なんて得意分野よ?ルクセル様が言っていることって全部ミーシャのことじゃない!あのクソ妹!!)


「ルクセル様!それは全てミーシャのー」

「ルクセル様!!私とミルダ、どちらがお好きですか?」


 ミルダが真実を話そうとするとミーシャがそれを阻止する。
 急な質問にも関わらずルクセルは何をいまさらと言わんばかりにどや顔をした。


「もちろんミーシャだよ。考えるまでもないさ」

(………)

「思い出せばミルダはひどかった。待ち合わせの10分前には着いているんだ。まるで俺が遅れたみたいじゃないか」

(あれはルクセル様を待たせたくなくて)

「食事の時もすぐお手洗いに行く。下品にもほどがある」

(化粧が崩れた姿をルクセル様に見せたくないから鏡で確認するためだったの)

「ああ、思い出した!事もあろうにこの俺に馬車側を歩けと命令してきたこともあったな!あれはひどかった!」

(好きな男性に守ってもらいたいって乙女心だったのに、そんなことを思っていたなんて…。なんだかどうでもよくなってきた)


 ルクセルの発言に愛が覚めたミルダ、彼女の内にはルクセルとミーシャに対する怒り一色になる。


「わかりましたルクセル様、別れましょう。ミーシャもお幸せに」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

いや、無理。 (本編完結)

詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
細かいことは気にせずお読みください。 一旦完結にしましたが、他者視点を随時更新の間連載中に戻します。 もはや定番となった卒業パーティー、急に冷たくなって公の場にエスコートすらしなくなった婚約者に身に覚えのない言い掛かりをつけられ、婚約破棄を突きつけられるーーからの新しい婚約者の紹介へ移るという、公式行事の私物化も甚だしい一連の行動に、私は冷めた瞳をむけていたーー目の前の男は言い訳が終わると、 「わかってくれるだろう?ミーナ」 と手を差し伸べた。 だから私はこう答えた。 「いや、無理」 と。

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

処理中です...