【R18】あるTS病罹患者の手記

Tonks

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6月13日(火)晴れ 『感情の整理』

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 ようやく少し落ち着いてきたので、いくつかのテーマについて考察することで現在の自分の感情を整理したい。

 まず、ひとつめのテーマ。週末、僕と栗谷の間で行われた性行為は強姦だったのか、それとも和姦――すなわち合意の上でのセックスだったのか。

 それというのも、僕が栗谷と関係を持つに至った直接的なきっかけは僕が口にしてしまったあの一言だが、その一言を口にしてしまった原因は間違いなくあのビデオにあるからだ。

 栗谷の所有するマンション内でのこととはいえ、自慰行為に及んでいる姿を盗撮され、暗に脅迫されて身体を許してしまった。あの週末の事件を客観的にみれば、きっとそうなるのだろう。

 そう考えれば、僕の方からセックスしてほしいと言い出したことを差し引いても、全体としてあれは強姦だったということになる。

 だが、僕の中には逆に、あのビデオは単なるに過ぎなかったのだという思いがある。

 実際問題として、あのときの僕は栗谷の言葉通り、燃え盛るような性欲により自己崩壊寸前だったのだ。紺野に襲われかけた夜に栗谷のマンションでオナニーせずにはいられなかったほどに……。

 求交配性情動――今やその存在を疑うべくもないTS病の副症状によって、僕の心身は引き返しがつかないところまで追い込まれていたのである。

 栗谷は、そんな僕にをくれた。あの犯罪すれすれのやり口で、膨れ上がった僕の性欲を落とし込む恰好の捌け口を与えてくれたのだ。

 もちろん、それはおそらく栗谷の策略だった。

 今思えば、そもそもの最初から栗谷は僕をものにするつもりでいたのだろうし、悩みを聞いてくれたことやマンションを使わせてくれるようになったことも含めて全部、僕という獲物をとらえるための仕込みだったと考えていい。

 女子としてリラックスして過ごせる環境をととのえておけば、いずれ症状の進んだ僕があの部屋でオナニーをはじめることを栗谷は見越していたに違いない。あのビデオがその証拠だ。栗谷は狡猾に罠を張り巡らして僕を誘い込み、自分の口からセックスしてほしいと言わずにはいられない状況に僕を追い込んだのだ。

 だが、それのどこが悪いというのだろう?

 僕は本心から栗谷とセックスすることを望み、栗谷はその望みに応えて僕の処女を美味しくいただいた。需要と供給が完全に噛み合ったその結果を見れば、そこまでの過程などどうでもよかったということにはならないだろうか。

 あのビデオにしてみたところで、僕の頭の中を読み切った上でうまく罠に誘い込んでくれたのだと、そんな好意的な解釈をしてしまう自分がいる。

 要するに、僕は栗谷の筋書き通りに処女を奪われてしまったことを、少しも悪く思っていないのだ。

 だからひとつめのテーマに結論を出すとすれば、あの性行為は僕と栗谷の合意の上でのセックスだった、ということになる。

 ふたつめのテーマ。栗谷を相手の処女喪失を、女としての僕はどう感じたか。

 これは率直に言って、これ以上は望むべくもない最高の処女喪失体験だったと言わざるを得ない。

 栗谷との性行為が始まったのは金曜の夜だが、土曜の深夜まで、栗谷は僕の処女を奪わないでいてくれた。言い換えれば、栗谷はまる一日かけてゆっくりと僕の中に入ってきたのだ。

 実際、栗谷が最初に僕の中に入ってこようとしたのはまだ金曜日の、行為が始まって一時間も経たない頃だった。

 栗谷は僕の同意を得たあと、限界まで勃起してびくびくとおじぎを繰り返すペニスを僕の膣口にあてがい、ゆっくりと腰を沈めてきた。

 その時点で僕の股間はもうぐしょぐしょに濡れそぼっていて、男を迎え入れる準備はすっかりととのっていたのだけれども、一度も異物の侵入を許したことのない僕の新品の女性器は、はじめての相手となる男性器がもぐり込んでこようとするのを痛みというかたちで拒んだ。

 そのとき栗谷がとった態度は尊敬に値するものだった。僕が小さな声で痛みを訴えると栗谷はあっさりと腰を退き、また丁寧に僕の身体を愛撫し始めたのだ。

 結局、食事休憩を挟みながら土曜日の夜まで、そんなことが何度となく繰り返された。

 僕の中に入りたくてたまらないだろうに栗谷は文句のひとつも言わず、逆に僕のことを気遣って全身を愛撫し、僕の胸や女性器を丹念に舐め回してくれた。

 ゆっくり時間をかけて少しずつ処女膜を押し広げ、丁寧に丁寧に中に入ってきてくれたのだ。

 だから栗谷のペニスが根本まで僕の中に納まりきったとき、栗谷とのキスに舌を絡めながら僕が歓喜の涙を流したのも無理のないことだったと思う。

 そのあと、初めて膣内に射精されたときの衝撃ももちろん大きかった。けれどもあの長い試行錯誤の果てに栗谷が中に入ってきたときのを、僕は一生忘れないだろう。

 あの容姿で栗谷がどれだけの女性体験を重ねてきた男なのかわからない。

 だが、いくら処女が相手とはいえ、前戯にまる一日かけてくれる男がこの世界にいったいどれくらいいるのだろう?

 おかげで僕は痛みすら心地よい夢のようなロストバージンを迎えることができたのだ。

 付け加えれば、そこから日曜日にかけてほぼ連続するかたちで行われることになったセックスも、また格別なものだった。

 二回目以降、栗谷はコンドームを使うと言ってくれたが、まだ初潮がきていないことを理由に僕の方で断った。本音はそれをつけるとセックスの気持ちよさが半減することを直感的に悟ったからだ。

 その結果、僕は処女を喪って早々、一昼夜にわたる濃厚な生セックスを堪能することができた。

 『催淫様容貌』の効果ということなのだろうか。栗谷の目には僕がどんなアイドルよりも魅力的に映るらしく、処女を奪ったあともむしろいっそう激しく僕の身体を求めてやまなかった。

 あの二日間でいったい何回中に出されたのだろう。五回目くらいまでは数えていたのだが、次第に数えるのも忘れて僕の方でも栗谷との行為にのめりこんでいった。

 栗谷のペニスが痙攣しながら膣内に精液を吐き出すたびに、僕は栗谷の腰にきつく脚を巻きつけ、全身でしがみつくようにしてそれを受け入れた。

 あの土日で僕は処女を喪っただけでなく、男の味というものをもうだいぶこの身体に教え込まれたように思う。

 ともあれ、あれは僕にとって最高の初体験だった。それを否定することはできない。もう一度同じことを書けば、栗谷を相手の処女喪失は、これ以上は望むべくもない最高の処女喪失体験だった。

 次のテーマ。僕が現時点で栗谷をどう思っているかについて。

 だがこのテーマはここまでに書いた初体験に関する僕の評価と表裏一体の関係をなす。

 今、僕が栗谷のことをどう思っているかといえば、正直なところ、世にも醜い男だというかねてからの印象が大きく変わったわけではない。

 顔はあの通り誰が見ても不細工だし、身体にしてみても余分な肉こそついていないものの全身毛むくじゃらな上に薄汚い色黒で、不格好にペニスを勃起させた姿はまるで発情した猿そのものだ。

 けれども、もう僕にはそんな栗谷の外見がまったく気にならない。

 栗谷と長時間身体を重ね、何度もセックスしてみてわかったのは、女という生き物は一度その男を自分の中に受け入れたあとは、外見などどうでもよくなってしまうということだ。

 そればかりか、こと栗谷に関しては、その醜さが逆に僕にとって性的に惹かれる要因にすらなりつつある。

 あの世にも醜い男にねっとりと嬲られる美少女という背徳的な構図に、いわば逆説的なエロティシズムを覚えるからだ。
 
 そして何より栗谷は僕にやさしく紳士的である。なおかつ目下僕のパトロンであり、よき相談相手でもあり、僕の身体に強く執着するセックスが巧い大人の男でもある。

 そのように考えれば、僕に栗谷を嫌う理由はない。……この先、その真逆の感情が僕の中に生まれる可能性はあるとしても。

 最後のテーマ。僕はこの先、栗谷とどう付き合ってゆくべきか。

 それはつまり栗谷との間に交わした約束を守るか否か――言い換えれば、毎週末にあのワンルームマンションで栗谷と過ごす愛人関係を受け入れるべきかということに他ならない。

 もちろん、教師としての栗谷の立場を考えれば問題はあるだろう。生徒を自宅に連れ込んでセックスしまくっているわけだから道義的な責任は免れないだろうし、場合によっては懲戒免職もありうる。

 だがそれは僕の問題ではなく、あくまで栗谷の側の問題だ。

 僕との関係がややもすれば身の破滅を招きかねないものであることは栗谷も重々承知しているのだろうし、その上で僕に手を出したのだから、そのあたりの十字架は栗谷に背負ってもらうしかない。

 僕の側の問題は、栗谷と継続的にセックスする関係になることを、僕が感情面で受け入れられるかということだ。

 ただこれについては、僕の中ではもう答えは出ている。

 この日記を書いている間、僕の股間はひっきりなしに疼き続けていて、そこを覆う下着はおそらく絞れるほど濡れそぼっている。

 金曜日の放課後、僕は学校を出たその足で栗谷のワンルームマンションに向かうだろう。あの醜い男と二人、性愛に満ちた週末の時間を過ごすために。

 ……こうして整理することで、はっきりと見えてくる事実がある。

 栗谷を相手に処女を喪ったあの週末の出来事を、僕は好ましく感じている。

 そしてこの先、栗谷の女になることに何ら抵抗を感じないばかりか、期待に胸を膨らませている。

 それが現時点での結論だ。ややこしいことは考えず、まずはその気持ちに素直になってみようと思う。
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