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先生の家に泊まる②
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「……先生のおうちに泊めてください」
この選択肢は迷わなかった。
少しだけためらう気持ちはあったが、僕は素直にはっきりとその言葉を口にしていた。
「わかった。じゃあ、駐車場で待っててくれるか?」
「……はい」
僕が返事すると、先生は笑顔を残して教室を出ていった。
* * *
「……おじゃまします」
「おう、狭いところですまんな」
「そんなことないです」
先生の家はいかにも公団住宅といった感じのコンクリート造りの建物の一室だった。先生は狭いと言ったがそこは明らかにファミリー向けで、先生が一人で住むには少し広すぎるように思えた。
それで、僕には先生が気安く泊めてくれるなどと言い出したわけがわかった。
……きっと誰か他に住んでいる人がいるのだ。結婚しているとは聞いていないから奥さんではないのかも知れない。けどたぶん、彼女さんか誰かが……。
「……」
そのことに気づいた僕が感じたのは、あろうことか失望だった。
実は駐車場で先生のクルマに乗り込んでからここまで、夜の町を走る車の助手席に揺られながら僕は、先生の家についたら自分がどうなってしまうのかと、そればかりを考えていた。
もちろん、先生が邪な気持ちで僕を家に泊めようとしているのではないということはわかっている。
けれどもいつも教室で見ている先生の爽やかな笑顔や、Tシャツからのびるたくましい首の筋肉や……そういったものを思い浮かべると、あとからあとから湧いてくる粘性質の液体にショーツがぐっしょりと濡れそぼつのをどうすることもできなかった。
(……僕、先生とセックスしたいんだ)
そう思って、おまんこの奥がきゅううん♡と疼くのがわかった。
毎日のようにおじさんに中出しされ、すっかり淫らに開発された僕の女体は、連れ込まれた先生の家で強引に――あるいはなし崩しにベッドに連れていかれ、そのまま先生とセックスすることになるのを密かに期待していたのだ。
先生に組みしだかれ、情熱的にキスされておまんこにペニスを挿し込まれる……そのことを想像するともう矢も楯もたまらず、先生が隣にいるというのに思わず自分の股間に指をのばしてしまいそうだった。
だから、先生が一人暮らしではなく誰かと暮らしていることを知って、僕は自分でも驚くほどガックリと落胆したのだ。
「――なんか食べたいもんあるか~?」
キッチンにまわった先生から間延びした声が届いた。……同居している女性ではなく先生が作ってくれるということなのだろうか。
「なんでもいいです」
「――なんでもいいが一番困るんだぞ~」
「だったら、先生の得意料理」
「――お、そうか。なら、とっておきを作ってやる。楽しみにしてろよ~」
* * *
――先生が作ってくれたのはオムライスだった。作りたてのあつあつオムライスは絶品で、ほっぺが落ちるほど美味しかった。
家庭料理に餓えていた、というのもあるのかも知れない。あの部屋にいるときはずっとコンビニ弁当と菓子パンで食いつないでいたのだ。
「すごく美味しいです」
「お、そう言ってもらえると作ったかいがあるな!」
先生はそう言ってこの日一番の笑顔を見せた。それで、僕はまたきゅんとしてしまう。
「こんな美味しいオムライスが食べられるなんて、先生のカノジョが羨ましいな……」
自分でも知らないうちにそう呟いて、僕は自分の口から出た言葉に愕然とした。……それは紛れもない本音だったからだ。
このやさしくてイケメンで料理が上手い先生のカノジョになりたいと、僕は本気でそう思ってしまっている。そのことに気づいて僕は――自分が今、大きな岐路に立っているのを感じた。
「なに言ってるんだ。先生にカノジョなんていないぞ?」
「え……」
「誰だよ。マコトにそんなデマ吹き込んだやつは」
「でも、こんな広いお家に住んでるのに?」
「え? ああ、ここか。この部屋は俺の親の持ち物なんだよ。だから少し広いけど、一人で住んでるんだ」
「……よかったぁ」
またしても自分で知らないうちにそう言った僕の顔には、心底安心したというような笑顔が浮かんでいたと思う。
だがその笑顔を受け止める先生は真顔だった。その真剣な表情に、僕は自分がまたとんでもないことを口にしてしまったことに気づいた。
先生にカノジョがいなくて良かった――女の子である僕がその言葉を口にすることの意味はひとつだ。
「……マコト、おまえ」
「……っ!」
「ひょっとして……先生のこと、好きなのか?」
――――――――――――――――――
1.はい、好きです。
2.そんなわけないじゃないですか。
※いずれか一方を言葉にして下さい。
――――――――――――――――――
この選択肢は迷わなかった。
少しだけためらう気持ちはあったが、僕は素直にはっきりとその言葉を口にしていた。
「わかった。じゃあ、駐車場で待っててくれるか?」
「……はい」
僕が返事すると、先生は笑顔を残して教室を出ていった。
* * *
「……おじゃまします」
「おう、狭いところですまんな」
「そんなことないです」
先生の家はいかにも公団住宅といった感じのコンクリート造りの建物の一室だった。先生は狭いと言ったがそこは明らかにファミリー向けで、先生が一人で住むには少し広すぎるように思えた。
それで、僕には先生が気安く泊めてくれるなどと言い出したわけがわかった。
……きっと誰か他に住んでいる人がいるのだ。結婚しているとは聞いていないから奥さんではないのかも知れない。けどたぶん、彼女さんか誰かが……。
「……」
そのことに気づいた僕が感じたのは、あろうことか失望だった。
実は駐車場で先生のクルマに乗り込んでからここまで、夜の町を走る車の助手席に揺られながら僕は、先生の家についたら自分がどうなってしまうのかと、そればかりを考えていた。
もちろん、先生が邪な気持ちで僕を家に泊めようとしているのではないということはわかっている。
けれどもいつも教室で見ている先生の爽やかな笑顔や、Tシャツからのびるたくましい首の筋肉や……そういったものを思い浮かべると、あとからあとから湧いてくる粘性質の液体にショーツがぐっしょりと濡れそぼつのをどうすることもできなかった。
(……僕、先生とセックスしたいんだ)
そう思って、おまんこの奥がきゅううん♡と疼くのがわかった。
毎日のようにおじさんに中出しされ、すっかり淫らに開発された僕の女体は、連れ込まれた先生の家で強引に――あるいはなし崩しにベッドに連れていかれ、そのまま先生とセックスすることになるのを密かに期待していたのだ。
先生に組みしだかれ、情熱的にキスされておまんこにペニスを挿し込まれる……そのことを想像するともう矢も楯もたまらず、先生が隣にいるというのに思わず自分の股間に指をのばしてしまいそうだった。
だから、先生が一人暮らしではなく誰かと暮らしていることを知って、僕は自分でも驚くほどガックリと落胆したのだ。
「――なんか食べたいもんあるか~?」
キッチンにまわった先生から間延びした声が届いた。……同居している女性ではなく先生が作ってくれるということなのだろうか。
「なんでもいいです」
「――なんでもいいが一番困るんだぞ~」
「だったら、先生の得意料理」
「――お、そうか。なら、とっておきを作ってやる。楽しみにしてろよ~」
* * *
――先生が作ってくれたのはオムライスだった。作りたてのあつあつオムライスは絶品で、ほっぺが落ちるほど美味しかった。
家庭料理に餓えていた、というのもあるのかも知れない。あの部屋にいるときはずっとコンビニ弁当と菓子パンで食いつないでいたのだ。
「すごく美味しいです」
「お、そう言ってもらえると作ったかいがあるな!」
先生はそう言ってこの日一番の笑顔を見せた。それで、僕はまたきゅんとしてしまう。
「こんな美味しいオムライスが食べられるなんて、先生のカノジョが羨ましいな……」
自分でも知らないうちにそう呟いて、僕は自分の口から出た言葉に愕然とした。……それは紛れもない本音だったからだ。
このやさしくてイケメンで料理が上手い先生のカノジョになりたいと、僕は本気でそう思ってしまっている。そのことに気づいて僕は――自分が今、大きな岐路に立っているのを感じた。
「なに言ってるんだ。先生にカノジョなんていないぞ?」
「え……」
「誰だよ。マコトにそんなデマ吹き込んだやつは」
「でも、こんな広いお家に住んでるのに?」
「え? ああ、ここか。この部屋は俺の親の持ち物なんだよ。だから少し広いけど、一人で住んでるんだ」
「……よかったぁ」
またしても自分で知らないうちにそう言った僕の顔には、心底安心したというような笑顔が浮かんでいたと思う。
だがその笑顔を受け止める先生は真顔だった。その真剣な表情に、僕は自分がまたとんでもないことを口にしてしまったことに気づいた。
先生にカノジョがいなくて良かった――女の子である僕がその言葉を口にすることの意味はひとつだ。
「……マコト、おまえ」
「……っ!」
「ひょっとして……先生のこと、好きなのか?」
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1.はい、好きです。
2.そんなわけないじゃないですか。
※いずれか一方を言葉にして下さい。
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